有機養液栽培とはどういうもの?やり方と共にご紹介します。

水耕栽培は、水の代わりに肥料を溶かした溶液を使って植物を栽培する方法です。
有機養液栽培とは、有機肥料を水に溶かすことによって植物を栽培する方法になります。
では、従来の水耕栽培と何が違うのでしょうか?
そこで、今回は有機養液栽培の定義ややり方をご紹介します。
有機養液栽培を開発したのは日本の「野菜茶業研究所」という企業ですが、現在ではその技術は世界中で注目を集めているのです。
また、初心者が成功しやすい有機養液栽培のやり方もご説明しましょう。
興味がある方はぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. 有機養液栽培とは?
  2. 有機養液栽培の仕組みとは?
  3. 有機養液栽培のメリットとは?
  4. 水耕栽培のやり方とは?
  5. おわりに

1.有機養液栽培とは?

有機養液栽培とは、有機肥料を水に溶かして植物を栽培する水耕栽培の一種です。
このように説明するととても簡単なように見えますが、長い間水耕栽培で有機肥料は使えないと思われてきました。
有機肥料は生ゴミなどの有機物が原料です。これをそのまま水に溶かせば、あっという間に腐敗してしまいます。
汚れた川や池の水から臭いがするのは、その中に溶けこんだ有機物が腐敗しているからです。
腐敗した水に植物の根をつければ、それまで腐ってしまいます。
ですから、水耕栽培の肥料はずっと化学肥料のような無機肥料が使われてきたのです。
しかし、2006年に「野菜茶業研究所」という企業が有機養液栽培を実現する画期的な方法を編み出しました。

2.有機養液栽培の仕組みとは?

野菜茶業研究所は、水耕栽培をする溶液の中に有機肥料を無機化する微生物を生息させることによって、有機肥料を直接水に溶かしても無機化させることに成功させました。
それまでの有機養液栽培の実験では、有機物を一度人の手によって無機化してから水溶液に溶かそうという試みが一般的だったのです。
しかし、いくら時間をかけて無機化しようとしても有機物を完全に無機化することはできません。
ですから、残存した有機物が水耕栽培中の植物の根にダメージを与えたり成分バランスが崩れたりしたのです。
そのため、成分調節に化学肥料が不可欠でした。
しかし、これでは有機養液栽培とは言えません。
新しく開発された技術では、微生物さえ溶液の中に溶かしていれば、有機肥料を直接水の中に溶かすことができます。
無機化をしない分時間も短縮できますし、難しくもありません。
さらに、微生物が有機物を無機化してくれるので病気にもなりにくいのです。

3.有機養液栽培のメリットとは?

この項では、有機養液栽培のメリットをご説明しましょう。
有機養液さえ作れれば、通常の水耕栽培よりも簡単に植物が栽培できます。

3-1.肥料代がかからない

有機養液栽培に利用する有機肥料は生ゴミなどでも大丈夫です。
どの家庭でも生ゴミは出ますし、生ゴミ以外のものを使っても化学肥料よりもずっと安価に調達できるでしょう。
水耕栽培は土が無いので、立派な野菜や植物を育てるためには肥料が大切です。
しかし、化学肥料を大量に使うとどうしても割高になってしまうでしょう。
ですから、コストダウンにも有効な方法なのです。

3-2.清潔さにそれほど気を配らなくてもよい

現在、水耕栽培を行っている場所はまるで精密機械を製造する工場のようなところです。
水耕栽培は、土壌栽培のように土を媒介とする病気にかかるリスクはありません。
しかし、水中でも繁殖する菌がありますし、水耕栽培では多くの植物が密集しています。
ですから、どこかに病気が発生するとあっという間に広がってしまうでしょう。
また、カビが繁殖しても根をいためてしまいます。
しかし、有機養液栽培の場合は、有機物を無機物にする微生物が水の中で繁殖しているのです。
ですから、多少雑菌が入ったところで微生物に無機化されてしまうでしょう。
そのため、それほど清潔にこだわらなくても水耕栽培が可能になるのです。

3-3.植物の根がよく育つ

水耕栽培は、現在葉物野菜やトマトなどの実がなる野菜に対して行われています。
立派な野菜を作るには根の成長が大切。
水耕栽培を行うと細かい根が生えないのが一般的です。
しかし、有機養液栽培をすると細かい根が生えます。
そうなると、より多くの溶液を吸収できますので、トマトなどはより立派に育つでしょう。

3-4.安全

化学肥料が悪いとは言いませんが、有機栽培にこだわっている方は「できるだけ使いたくない」と思っている人も多いでしょう。
また、有機栽培で育てた野菜は付加価値がついてより高値で取り引きされます。
一般的に水耕栽培は土壌栽培よりも高価ですが、「有機栽培」と銘打てば、高くても納得してくれる方が多いでしょう。

4.水耕栽培のやり方とは?

では最後に、水耕栽培のやり方についてご紹介します。
通常の水耕栽培と何が違うのでしょうか?

4-1.溶液作りが大切

有機養液栽培は、溶液作りが大切です。溶液作りが失敗すれば植物は育ちません。
ですから、まずは1週間くらい時間をかけて溶液作りをしていきましょう。
溶液は、土壌栽培を起こっている畑の土を細かい穴の開いた袋に入れて水に浸します。
そして、有機肥料を入れてエアポンプで空気をひたすら循環させてください。
You tubeなどの動画サイトに「有機養液栽培のやり方」などが投稿されていますので、参考にしてもよいでしょう。
投入が終わったら、そのまま2日ほど光を遮断して発酵させてください。
黒いゴミ袋などで周りをおおうとよいでしょう。
そのまま2日ほどして臭いが無ければ成功です。
2日以上たっても悪臭が収まらない場合は発酵が成功せずに腐敗菌が発生しています。
残念ですが、失敗です。溶液を捨ててやり直してください。

4-2.空気を送りながら植物を育てよう

溶液さえうまくできれば、後は通常の水耕栽培と同じように植物を育てれば問題ありません。
ただし、水中の微生物を活発化させるために水中には絶えず新鮮な空気を送り続けましょう。
そうしないと、有機肥料が溶け込んだ水が腐敗してしまいます。
ですから、必ずエアーポンプを用意してください。
また、育てる野菜は何でもよいのですができればトマトなどの実のなる野菜の方が有機肥料のすごさを実感できるかもしれません。
全く水耕栽培を行ったことのない人には少し難しいかもしれませんが、経験者ならば問題ないでしょう。
水作りにだけ失敗しないようにして有機養液栽培を行ってみてください。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は有機養液栽培の定義ややり方をご紹介しました
水耕栽培は1年中安定して農作物が提供できる反面、最盛期の露地栽培の野菜に比べるとどうしても割高になってしまいます。
そのため、季節によっては売り上げが落ちることもあるでしょう。
しかし、「有機栽培」という付加価値をつければ「高いお金を払っても欲しい」という方も出てきます。
実際に露地栽培の野菜でも有機栽培で行えば通常の育て方をした野菜よりも高くても、売れているのです。
また、有機肥料は前述したように化学肥料よりも割安なことが多いでしょう。
肥料の代金を節約できれば、野菜の価格も抑えられます。
さらに清潔さにそれほどこだわらなくても大丈夫でしたら、露地栽培に近い場所で水耕栽培もおこなえるでしょう。
施設代がかからなければビニールハウスのようなところでも水耕栽培が可能になり、より価格が抑えられるのです。
そうすれば、露地栽培と変わらない値段で提供できるかもしれません。