アトピーの乾燥に脱保湿は間違っていた!理由と改善するためにポイント

2016.05.20

アトピー患者の悩みの一つに乾燥があります。乾燥状態に対して一般的にはスキンケア(保湿)で対処しますが、そうした「保湿」を行わない「脱保湿」を医師から推奨されるケースもあるようです。

しかし、脱保湿はアトピー性皮膚炎の根本的な原因に関わっていますので、十分な注意が必要です。アトピー性皮膚炎の方の肌に必要なスキンケアの理由と改善するためのポイントをご紹介します。

アトピーの原因は、お肌の乾燥から

以前、アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患として認識され、治療が行われてきましたが、最新の研究では、アトピー性皮膚炎の主な原因は、「お肌の乾燥」から「バリア機能が低下」して、皮膚の細菌叢が乱れることで、黄色ブドウ球菌(デルタ毒素など)がIgEを増加させ、アレルギー的な要因が発生することであると分かってきました(※注1)。

つまり、「アレルギー」とは、アトピー性皮膚炎にとって「原因」ではなく「結果」であった、ということです。本来、健常な人は自らの力で行う「スキンケア」により、バリア機能を保っていますが、アトピー性皮膚炎の方は、さまざまな理由によりバリア機能が保てない状況に陥ります。

こうしたアトピー性皮膚炎の治療として行われることのある「脱保湿」ですが、肌の状態によってはアトピーを悪化させる場合がありますので十分注意が必要です。

脱保湿がアトピー性皮膚炎の原因を作り出している

脱保湿とは、文字通り「保湿(スキンケア)」を一切行わない方法です。簡単に説明しましょう。スキンケアのアイテムの多くは、ヒトの皮脂に近い形で作られていますが、配合されている成分などが個々人の肌状態に対して刺激を与えることがあります。

部からスキンケアを「手助け」することは、自らスキンケアを行う力を低下させる、などの理由から、スキンケアを一切行わず、自分の力でスキンケアが行えるまで「我慢」する、という方法が脱保湿です。

しかし、「脱保湿」には一つ大きな問題点があります。それは、お肌の乾燥状態が「アトピー性皮膚炎」の原因になっている場合、脱保湿を行っている間は、常に悪化する「原因」を作り出している、ということです。

スキンケアを行うためには、「汗」が必要

自らが行うスキンケアは主に、汗と皮脂が乳化して作られる「皮脂膜」により行われます。しかし、「汗」はダームジンなどの抗菌ペプチドにより肌を守る働きも持つのと同時に、マラセチア菌による痒みを引き起こす、という良い面と悪い面の両面を持っています。

そのため、「汗をかかない」生活を心がけているアトピー性皮膚炎の方が多くいます脱保湿を行うアトピー性皮膚炎の方は、お肌の悪化状態が続くことに耐えきれず、途中で中断することが多いのですが、その原因の一つは、スキンケアを行うために必要な汗をしっかりかくことができないことにあります。

脱保湿のメリットとは?

では、脱保湿にはメリットがないのか、というとそうとも言えません。スキンケアの成分が合わなかったりして炎症が生じている方の場合、スキンケアを行わないことで刺激が減る、というメリットがあります。

自分の力でスキンケアが行えるようになれば、アトピー性皮膚炎の根本的な原因の一つを解決することにつながります。

しかし、実際には常に悪化要因を抱えながら(乾燥状態)行わなければならず、重症化したアトピー性皮膚炎の方の場合、脱保湿による改善が見られるようになるまでには年単位での年月が必要になることが多く(その期間は悪化した状態が続く)、そもそも汗をかける状態にならないと、基本的には悪循環の輪から抜け出せず、実質的に考えると、誰しもに「有効な方法」とはいません。

乾燥状態が痒みの神経線維を増長させる

痒みとは、皮膚に炎症が生じることで「知覚」するわけですが、あくまでその感覚は神経を通して「脳」が判断しています。そして皮膚には「痒み」という感覚を脳に知らせるための神経がありますが、その神経線維は健常な方の場合、真皮内に留まっています。

しかし、角質層が乾燥状態に陥ると、その痒みを知覚する神経線維は真皮内から角質層内に侵入し、アレルギー的な炎症だけでなく、皮膚に触れた際などの刺激を「痒み」として認識しやすい状況を生み出しています。

そして、角質層内まで伸びた痒みを知覚する神経線維は、角質層内の「水分」が保持された状態が続けば、真皮内に戻っていくことが確認されています(※注2)。

脱保湿の問題点の一つは、乾燥状態が続いている間、この痒みを知覚する神経線維が常に角質層内まで伸びた状態にあることで、刺激による痒みを感じやすくなる、ということにあります。

スキンケアを行うことによるメリット

お肌の乾燥状態から生じる悪化要因は、「乾燥」→「バリア機能の低下」→「異常な細菌叢」→「IgEの増加」→「痒みの増加」→「お肌のかき壊し」→「乾燥」→「バリア機能が低下」→~~という悪循環を生みやすくなります。

そのため、この悪循環の輪をどこかで断ち切らなければなりません。一般的なアトピー性皮膚炎の治療としてスキンケアが用いられる理由の一つは、スキンケアを行うことで、悪循環の中の「乾燥」という部分が断ち切れるためです。

もちろん、アトピー性皮膚炎の悪化要因は「乾燥」だけではありませんが、最も大きな悪化要因であることは確かですので、この悪循環を断ち切ることで、お肌の状態を大きく改善させることが可能になります。

脱保湿よりも、適切なスキンケアを目指そう

アトピー性皮膚炎の原因は「免疫機能(アレルギー的な要因)」と「皮膚機能(バリア機能の要因)」の二つに大別されます。汗がかける状態にある方や、免疫機能が主な原因の方であれば、脱保湿も有効な方法かもしれません。

しかし、お肌の乾燥状態を抱えていたり、体に冷えを感じていたりする方は、バリア機能低下による悪化要因から悪循環の輪を形成しているケースが多く、脱保湿を行うメリットよりも、スキンケアを行わないことによるデメリットの方が大きいと言えるでしょう。

また繰り返す痒みが神経の経路の中でグリア細胞を刺激して痒みを増幅する(※注3)ことも研究で分かっていますので、悪循環を断ち切り、お肌の状態を早期に改善していくためには、自分の肌状態に合わせた「適切なスキンケア」を心がけることが大切と言えるでしょう。

<まとめ>

アトピー性皮膚炎が悪化する要因としてお肌の「乾燥」は、かなり大きなウェイトを占めています。この乾燥状態をいち早く改善するためには、適切な「スキンケア」を行うことが大切なポイントであり、「悪循環」から「好循環」に切り替えるための重要なキーと言えるでしょう。

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