ウェブブラウザのJavaScript(ジャバスクリプト)の設定が無効になっています。Javascriptが無効になっていると、サイト内の一部機能がご利用いただけません。 CoCシナリオ『透明のアイ』2017年2月16日 21:41【基本情報】■シナリオ名:透明のアイ■システム名:CoC■製作者:陶兎■推奨人数:2人■プレイスタイル:探索・RP主体(戦闘要素も少々)■場所・時代:現代、学校■推奨技能:目星、聞き耳、オカルト、水泳■準推奨技能:心理学、戦闘技能(特に回避)、医学■その他:HOあり以下は、KP情報になります。[newpage]〈HO〉PCは幼馴染、親戚、友人などある程度の親しい関係にあるとやりやすいでしょう。また、違う学校の生徒だったり、年の差があったりすると面白いと思います。PC1のみ、必ず小~高校生にしてください(おそらく中高生がやりやすいです)。以下は、違う学校に通う幼馴染の設定で進めます。HOは適宜改変してください。PC1 あなたは×学生だ。あなたはこの二か月以上、毎晩のようにPC2の出てくる夢にうなされている。夢はまるで幼馴染が死んでしまうかのような暗示的な夢だ。 夢の中で見るPC2の表情は透明で、儚い。あんな顔をする人だったっけ? あなたの使命は、「幼馴染の心の奥にあるものを知ること」だ。PC2 あなたはPC1と幼馴染だ。あなたは今日が六十七夜目だと知っている。なんのための六十七夜目なのかは知らないけれど、それだけは覚えている。 そしてあなたは焦っている。何に焦っているのかも、よく思い出せない。 あなたの使命は「あなたの忘れてしまった願い事を思い出すこと」だ。※この【願い事】は、セッションでのRPを通して、PC2が自分でアドリブで答えを見つけるように促してください。[newpage]〈導入〉導入1 PC1のみ。 学校から帰ってきて、憂鬱な気分を抱きながら、家のベッドに横になった。うとうとしていると、夢を見た。ここ二カ月以上、ずっと君を苛んでいる夢。 幼馴染(PC2)が夜空の見える開けた場所に立って、柵の向こう側にいる。しばらく話をするけれど、幼馴染は朝焼けの空に溶けるように消える。飛び降りたのかもしれない――慌てて下を見ても、君の影がそこには落ちているだけ。 嫌な夢を見て、君は起きた。帰ってきた時には、赤い夕焼けの光が差し込んでいた部屋も、薄暗くなっている。あたりに視線を移せば、わずかに残る夕日の名残陽に照らされた学生鞄が目に留まる。学生鞄を見て、ふと思い出すだろう。あ、宿題学校に忘れてきた……取りに行かなきゃ。導入2 また別日の話。※時間は16時から17時の間で設定してください(これは、空が青から赤に変わる境目の時間)青い空に赤がにじみ始めた夕暮れ。2人は、両方の親から買い物を頼まれて一緒に道を歩いている。(ここで会話を促してください。) ぽつぽつと、そんな風に言葉を交わしているうち、二人は馴染みのスーパーにつく。空を見ると、赤が増えて、オレンジ色や紫色、ピンク色の筋が重なり美しいグラデーションを呈している。 雑然とした街並みの中、目を奪われるようにきれいなその夕焼けを見ているうち、ふとPC1はあることを思い出す。 ――あ。宿題のプリント、学校に置き忘れてきた。町の無線放送が『夕焼け小焼け』の曲を流し、17時を告げる。曲が終わると、アナウンスが流れた。「小学生、中学生の皆さん。早くお家へ帰りましょう」(PC1には、学校に行くように促してください。) PC2は、自分のスマホに通知が入ったことに気付く。・LINE/クラスの連絡網:【先生から連絡です。**通りの辺り、最近不審者が出るんだって。女の子は夕方以降一人で帰らないように気を付けて、とのことだよ。みんな塾とかで帰りも遅くなるだろうし、気を付けてね。】→アイデア成功で、該当の場所がPC1の通学路だったことを思い出す。(二人でPC1の学校へ行くように促してください。) 通学路はしんとしていて、木々も生えているから黄昏時には余計に薄暗い。そこを抜けると、古い鉄の校門と、運動場、奥のほうに校舎が見える。運動場には、なぜか、普段ならこの時間もまだ部活動をしているはずの生徒たちがいない。校門と玄関をくぐって、PC1は勝手知ったるという様子で靴を上履きに履き替え、中に入る。(PC2には来客用のスリッパ、何も履かない、誰かの上履きを借りるなど。)構内もまた、しんと静まり返っている。先生たちもいる様子がない。 教室につくと、ここにも誰もおらず、窓はしまっている。(なお、これ以降どこの窓も開かない。)黒板に奇妙な絵が描かれている。子供の描いたようならくがきだ。否、震える手で書いたのだろうか? 線が波立っていて、お世辞にも上手とは言えないし、手でところどころを消したのか汚い。頭部のない、体部の膨れた奇妙な裸体の人間の姿が白いチョークで描かれている。なんとなく気持ち悪い。→目星:黒板に描かれた絵の化け物の手に、歯の鋭い口が描かれていることに気付く。そのおぞましさに、背筋が凍る。SANC 0/1 PC1の机には、置き忘れていたプリントがある。(ここでPC1にはトイレに行くように促すこと。PC1とPC2を一度引き離す必要があります。ここから個別処理になります。)▼PC2 取り残されたPC2は、床に屋上の鍵が落ちていることに気付く。それからしばらくして、自分を呼ぶ声……いや、あるいは歌だろうか? 不思議な音が聞こえてくる。【最上階へ、空が見える場所へ】――屋上へ向かうように、誘われているような心地がする。(屋上に行くように促してください。)※行くのを渋る場合耳に届く音が一層大きくなって、頭が吐きそうなほどに痛くなる。 うねりのような激しい感情に突き動かされる。行かなきゃ、行かなきゃ、早く、もうすぐもうすぐ、六十八夜どうにかしなきゃ探さなきゃ空を見てこなきゃ行かなきゃ行かなきゃ……幻聴だろうか。なんだかおかしくなってしまったんだろうか? SANC 0/1薄暗い廊下を渡る。なぜか君は、屋上へ行く階段への道を知っている。足が自然とそちらへ向かう。歌はまだ聞こえている。階段を上り続けると、少しずつ歌が穏やかになってくる。ドアがある。 鍵を開け、屋上に足を踏み出せば、薄青色の澄んだ空が広がっている。。・目星:屋上から下をのぞき込むと、プールが見える。水の張られたプールの水面には、誰かが浮かんでいる。それは、PC2自身だ。プールに浮かんでいる君の体は、血の気がなく、まるで荷物のように浮かんでいる。もう一人自分がいることに、SANC 0/1→アイデアまたは目星:その荷物のように浮かんでいる自分の体を見て、気づいてしまう。まるで、死んでいるみたいだ。 SANC 1/1d3 ぞっとして身を引けば、風が吹いて、辺りの景色が目まぐるしく変わっていく。空の雲々が形を変えちぎれて繋がって。空が青から赤になって濃紺になって、また赤になって青に戻って。最後に、夕焼け。 そして視界の端で何か白いものがはためいている。それは風でロール状に巻かれたり、広がったりしている。 風が再び吹いて。旗が広がる。そこにはこう書いてあった。《ずっと、僕らの声も聞こえはしない》※PC2はここで、自分のHOを思い出す。【声】という言葉を認識して、無意識に君は自分ののどに手をやるだろう。そうして、思い出す。いつの間にか、歌は聞こえなくなっている。頭の中にあった靄が晴れたようになって、思い出す。あなたは今日が六十七夜目だと知っている。なんのための六十七夜目なのかは知らないけれど、それだけは覚えている。そしてあなたは焦っている。何に焦っているのかも、よく思い出せない。何か、願い事があったはずだ。心の奥底に閉じ込めた、願い事が。思い出さなくては。六十八夜目までに。思い出さなくては。※PC2は必ず、次にPC1に出会ったとき、ここになぜいるのか、何をしていたのかを誤魔化さなければいけない。「なんのこと?」「そろそろ日が暮れるから、夕焼けでも見ようと思って」 その理由は、思い出せない。→合流処理▼PC1 トイレまでの道のりで、PC1は、廊下に点々と水滴が落ちていることに気づく(ここで掃除をするならあとでボーナスを上げてください)。 用を済ませ手を洗い、蛇口を閉めようとすると蛇口が回らない。水が流れ続けて、溢れてくる。おろおろしているうちにも水は流れて流れて、勢いを増して、洗面台からあふれ出してくる。まるで洪水のように。いくらなんでもおかしいではないか。水かさは更に増して、廊下にも漏れていく。気づけば水位は、胸の高さまで上がってしまった。まだ洪水は止まらない。SANC 0/1(水泳ロールを促してください。失敗の場合、溺れそうになります。) 泳いでいる、あるいは溺れそうになっていると、目の前にPC2が現れる。だが様子がおかしい。PC2は青白い顔をしている。彼/彼女は無言でPC1に何かを投げた。(溺れている場合は抱きしめて泳いでくれる。) 受け取ると、それは屋上の鍵だ。屋上に続く階段まではまだ浸水はしていない。階段まで泳ぎ切り、駆け上って、息も絶え絶えにどうにか鍵を開けて屋上へ踏み入れば、空が真っ暗になっている。その中で、浮き上がるようにはためく白い旗が見えた。 そこにはこう書いてあった。《きっと、君らの愛は見つかりはしない》 そして旗の下にたたずむ誰かを見つける。PC2である。 声をかけたり、近づいたりすると、目がくらんで、目の前に広がっていたのは、グラデーションの美しい、夕焼け空だった。→合流処理[newpage]〈本編〉(再会の会話を促してください。)▼PC1話がかみ合わず、さっきのことは夢だったのだろうかと思い始めるだろう。手の中からは、鍵がなくなっている。しかしPC2にもなんだか違和感を覚える。→PC2に目星またはアイデアまたは聞き耳:PC2の口は動いているのに、その声は耳から聞こえない。ただ、心で繋がることができているのか、うまく会話は成り立つ。▼PC2 自分自身に違和感を覚える。→アイデアまたは聞き耳:声を出しているはずなのに、喉が震えない。声が出ているような感覚がない。ただ、心で繋がることができているのか、うまく会話は成り立つ。※スマホなどを確認する場合、電波を使う部分が文字化けしていることを示唆してください。電波は使えません。メモを取ったり写真を撮ることはできます。時計は使えません。→オカルト:こういう話をオカルト掲示板などで読んだことがある。異世界に行ってしまった人の経験談。存在する人間や建物は同じなのに、言葉と文字が同じ日本語の文字でも組み合わせ方が違ったりする世界に時々人が迷い込んでしまうことがあるらしい。(ここで、探索可能な場所を提示してください。以下が探索可能な場所のリストです)▽探索1階 教室 理科室 職員室 体育館 保健室2階 教室 放送室 音楽室屋外 運動場 階下へ降りると、水はなくなっている。※また、ここから各探索場所を移動中に随時PC1には甘い匂いがしてくること(聞き耳:匂いの元はPC2である)、PC2には歌が聞こえてくることを伝え、それぞれ空が暗くなるに従い増悪させてください。PC1の場合は、2回目以降POW*4→POW*3→POW*2と対抗ロールを振らせ、失敗するごとに「甘くていい匂いがする」→「いい匂いがする、その匂いを嗅いでいるとお腹がきゅうと痛くなる」→「匂いを嗅いでいるとお腹がすいてくる」→「PC2を、おいしそうだと思う。食べたいとは思わないけれど」というように描写を変化させていってください。PC2の場合はPOW*3の対抗ロールをさせ、失敗するごとに少しずつ息苦しさと渇きを感じ、水を求め、最終的にはプールへと行きたくなるように誘導してください。 同時に、移動ごとにPC1にはPC2の歩いた跡が水滴で濡れていることを伝えてください。 ▼運動場 PC1の靴はなくなっている。辺りには誰かの靴が散乱しているため、そこから靴を借りて外に出ることができる。→幸運:サイズがぴったりな靴を見つけることができる。玄関は鍵が開いていて、外に出ることができる。人一人いない。カラスやとんびのような、空を舞う鳥もいない。運動場には、グラウンドいっぱいに白線で何かが書いてあり、二人で砂の上に足跡をつけながら、それを追って調べてみると、《SO…NG》と書かれている。→目星:OとNの間には、Sという字が書かれていたようだ。それを足で消したような跡がある。白線の白い粉と砂の混ざり合い具合から察するに、NGという文字は後から書き足されたようだ。 校門は施錠されており、振れれば怪我をする(HP-3)ような針金がたくさん巻き付いている。また、飛び越えようとしても目まいに襲われ、どうやっても外に出ることができない。SANC 0/1校舎のほうへ戻り、玄関をくぐる手前で、運動場をつっきった奥のほうにプールがあるのがちらと見える。▼職員室雑然と物が置かれている。誰もいない。時計、机、床を探索できる。また、各教室の鍵がついた鍵束を取得できる。・時計:現在時刻(物語中。16時~18時の間で設定してください)・机→目星:【レベルS 緊急事態職員用レポート】と書かれた冊子を見つける。赤いハンコで「門外不出」と書かれ、赤い文字で「レベルSの事態が確認されるまで開いてはならない」と書いてある。▶中には細かい文字で文章が書かれているが、ところどころ文字化けのような奇妙な言葉になっている。例えば目についたところだと、「肉つ目リかササたの徒」――意味をなさない文章。漢字も見たことのないような気味の悪い難しいものが混じっている。読んでいるだけで少し吐き気を覚えるだろう。SANC 0/1 読み取れたところだけで内容を要約するとこうだ。【飢餓時において、食人行為が発生した場合、該当の職員・生徒は体育館に収容し、施錠すること】→目星:教頭の机を見つける。鍵付きの引き出しがあるが、鍵はかかっていない。引き出しを開けると、【郷土史】と書かれた分厚い本が見つかる。中にはこのあたりの風土・風習について白黒写真付きでまとめられている。一部カラーの写真もある。読み進めるうち、これは自分達の住んでいる地域の話ではない、と感じる。書かれている地名も、内容も覚えがない。文字は一部文字化けしている。その中で、一つの項目に目を惹かれる。▶【食人俗について】内容は、読み取れる範囲からまとめるとこうだ。この辺りは古くから貧しい土地であり、農作物が育たず、飢饉も多く、食人俗の風習があった。高度経済成長において風土の慣習も見直され、食人の文化は廃れてきていたが、まだ廃絶されたとはいいがたい。本の最後のページを見ると、発行年日が書いてある。昭和50年代の日付だ。・床床は埃っぽく、コピー用紙などごみが散乱している。→目星:学生名簿と新聞記事の切れ端を見つける。▶【新聞記事】昭和60年代の日付。高校生集団失踪事件について書かれている。全校生徒の半数以上の生徒が行方不明になっており、該当の高校は廃校が決まったらしい。そのプールの淵には、多数の生徒の足跡が消えずに残っているという。▶【学生名簿】たくさんの生徒の名前が書いてある。その名前の過半数以上は赤の二重線で名前を消されている。→アイデアまたは目星:名前が少し前の世代の名前だということを伝えてください。例えば女の子の名前は「~子」が多い、など。田中や林などの一般的な名字のほかに、他では聞いたことのないような独特の名字がいくつか散見される。例えば「鬼姫」とか「腕切」とか「首狩屋」そして、どのクラスも赤線で名前がほぼ消されているが、一つのクラスだけその赤線が少ない。PC1と同じクラス――鍵のかかっていた教室のクラスだ。▼理科室鍵は開いている。しんと静まり返っている。見慣れたような理科室。机の上には何もなく、椅子は机の下に収納されている。教室の奥には、黒い布のかけられた何かが置いてある。黒い布のかけられた何か、棚、机の下が探索可能。時計がある。・棚→目星:薬品棚の中に、一つだけほぼ空っぽになってしまった瓶を見つける。ふたはよく閉まっておらず、ラベルには硫酸と書いてある。・机の下→目星:一つの椅子の足の下に、紙が落ちている。それはレポート用紙のようで、濡れて乾いたの後のようにごわごわとしている。ボールペンで書いたのだろう字は滲んでほとんど読めなくなってしまっているが、かろうじて【人魚】【襲って】【硫酸】【しばらく、安全】とだけ解読できる。・黒い布のかけられた何か→布を剥ぐと、中からガラスのような透明な瓶が出てくる。内壁は汚く、中にたまる液体は濁っている。 だが、それよりも、君たちの目を奪うものがその中には―― 人。人間が、四肢を不自然な形に曲げられ、瓶の中、液体の中に閉じ込められている。とうの昔に息絶えたのだろう。肌は茶色く、硬く、眼球はくりぬかれ、痩せこけている。まるで、ミイラのようだ。SANC 1/1d3 瓶には【人魚】と書かれたラベルが張り付けられている。→人魚に目星または医学:「擦過傷」、いわゆるひっかき傷がその肌に見受けられる。爪や指でひっかき抉り取ったような痕だ。腕や足、喉にも。その指や爪の間には血肉がついている。誰かからひっかかれたのかもしれないし、自分でもひっかいたのかもしれない。▼保健室 鍵は開いている。やはり誰もいない。棚とベッドが調査できる。時計がある。・棚 目星:聴診器を見つける。→心音を確認するなら、PC2の心音は聞こえない。・ベッド: 目星:枕の下に生徒手帳を見つける。ぱらぱらとめくれば、どこの高校にでもあるような校訓が書かれているのが、一つ奇妙な項目を見つける。【家庭での習慣の如何を問わず、校内及び校外における食人を禁ずる。】 後ろのメモ欄には学校のうわさ話や七不思議が書き留められており、その中でも【・夜中にプールに行き、水面に向かって「人魚さん人魚さん、願い事をかなえてください」と呼びかければ人魚が現れ、なんでも願いをかなえてくれるらしい。】という項目が気になる。 最後のページは折れ曲がっていてぐしゃぐしゃになっている。さらに鉛筆で文字が書きなぐられている。それまでの文字と比べたら雑な字だ。【**ちゃんが**くんをたべてた。みちゃった。みつかった。わたし、指たべられた。おそわれる。いまここにいるけど、みつかったら、みつかる】▼教室 一階と二階含め、どこも酷いありさまで机も椅子も壊れている。血痕のついた場所もある。そのうち一つの教室だけ(PC1の教室に当たる)が、鍵が閉まっている。時計がある。→鍵を開けると、他の教室と違い、整然としている。ドアの鍵は内側からも施錠できるようだ。図書の類は濡れてしまったのか中身をまともに読めず、使い物にならない。→目星:一つの机の引き出しから、手帳型の電子機器を見つける。随分と古い型の電子辞書のようだ。蓋には【i c q】と油性ペンで書かれている。 蓋を開けると、液晶画面とキーボードがある。画面では文字が点滅して、この項目を写している。《【捜す】【捜し求める】【seek】例文:I seek you. 君を探している。》他のボタンは利かず、やがて画面の文字も消えてしまう。もう動かない。▼音楽室 扉には鍵がかかっている。鍵を開けると、グランドピアノが一つあるだけの殺風景な部屋だ。グランドピアノには黒いカバーがかかっている。時計もある。→グランドピアノ:鍵盤の蓋の近くにメーカー名が金色の文字で書かれているが、【ICQCQ】という文字であり、聞いたことのないメーカーだ。※グランドピアノの天蓋を持ち上げ(つっかえ棒などで支えてもよい)、弦の中を見ると弦の間に巻貝が挟まっている(※※これがシナリオクリアの条件の一つである)。天蓋を持ち上げるには、天蓋のSTRを10としてSTR対抗ロールをさせること。失敗した場合、手を挟み、使った手が使えなくなる(HP-3)。→巻貝:耳に当てると波の音が聞こえる。PC1にのみ、その音に紛れてPC2の声が聞こえる。聞き耳ロールをした場合、PC2は波の音以外は聞こえないと確信してよい。※中に閉じ込められたPC2の声を取り出すには、PC1が貝殻をPC2の側で壊す必要がある。離れたところで壊しても声はどこかへ逃げて行ってしまう。PC2には貝殻を壊すことができません。壊そうとするとSANC 1d6/1d10です。※※参考 グランドピアノの構造は以下の通り。・鍵盤の蓋・天蓋・天蓋用のつっかえ棒・ペダル・椅子▼放送室 鍵は開いている。薄暗い室内。放送に使う機材が並んでいる。それらのスイッチには【勝手に触るな!】と書いてあったのだろう、文字の滲んだ紙が貼ってあり、電源ボタンには赤いテープがばってん状に貼られている。時計もある。→目星:カセットテープレコーダーを見つける。中にはカセットテープが入っているようだ。取り出しボタンを押しても取り出し口が開かない。再生・巻き戻し・録音ボタンが使える。そのほかのボタンは使えない。※後に声を上書きして録音することもできる。 再生ボタンを押すと、雑音がじじじ、と聞こえる。しばらくすると、その中に、はきはきとした、雑音の中でも発音の聞き取りやすい女生徒らしき声が聞こえてくる。『テステス、マイクテス』『このテープが、何の役に立つのか、誰かの役に立てるのか、私にはわかりません。ですが、記録を残すことはきっと大事だと思う』『私は、きっと人魚になるでしょう。もしもこのテープの最後に、私が新たに録音をしていなければ、それは私が負けたということです』『この構内にいる生徒たちなら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。【プールの人魚さん】の話を』『人魚さん、人魚さん、願い事を叶えてくださいな。そう、黄昏時のプールの側で唱えると、人魚が現れて、なんでも願いをかなえてくれるそうです』『私の友達は、それをやって、生還しました。人魚は、願い事を聞いて、大事なものをとってしまうそうです』『願いを唱えた人間は、そのとられたものを奪い返さなければ、自分が人魚になってしまうそう』『今、私たちの中には人魚が紛れ込んでいます。人魚はとてもおいしそうな匂いがします。私たちは、ご先祖が食人を行っていた村の民です。きっと本能に、食人の行為が刻まれている。中にはそれを悪しとする概念のない子たちもいます』『私達はきっと、あの匂いに弱くて、自分の食欲に抗えない』『一度人の味を覚えた人間は、また同じ味を求めると言います。もうこの学校で、誰が人魚で誰が食人鬼なのか、血の匂いに紛れてよくわかりません』『巻き込まれて食べられてしまうくらいなら、私は人魚さんに願い事をします。こんな血を、生まれを消したい』『もし負けたら、私は人魚になって、食べられるだけです』『では』……声はそこで終わり、テープはそのままジージーと雑音を流し続ける。 ※最後まで聞く場合、テープはそれから長いこと雑音を流し続け、その間に外が薄暗くなっていくことをPCたちは窓から見て知るだろう。やがて、カタン、と金属を弾くような音がして、テープは止まってしまった。(30分経過としてください。)▼体育館 厳重に扉を閉じられている。鍵を開けた上で、扉のSTRを15とし、対抗ロール成功で開けることができる。 中には、体の一部が食いちぎられた屍や人骨が風化して山と積まれている。おぞましい光景にSANC 1d6/1d10→死体の山の中に、本を見つける。それは人魚姫の童話である。→声を代償に人になったが、願いが叶わず泡になった人魚の話。▽図書室 PLから「図書館・図書室を調べたい」という要望があった時のみ、探索を許可しましょう。どの本も濡れてしまった後なのか、ページが破けたり、文字がにじんだり、使い物にならない。→目星:床に何かが落ちている。拾うと、それは中のページがすべて抜け落ちてしまい、表紙だけになった本のようだ。中身は水で流されたのかもしれない。 タイトルは、『グラーキの黙示録』。クトゥルフ技能+1成長。+++++窓の外、地平線の向こうに、太陽が沈んでしまったのが見える。太陽がその光の裾をわずかに空に残している。少しずつ少しずつ光が小さくなって、空がふっと暗くなった。夜と言うにはまだ早いけれど、夕暮れと言うには色がない空。黄昏時が終わってしまって――ふと、PC1は気づくだろう。PC2の姿がない。さっきまで、すぐそばにいたのに。残っているのは、彼/彼女の足跡代わりの水滴だけ。空がどんどん薄暗くなっていく。不意にべたべた、ぼたぼたと、水滴がどこかから落ちてきて床を濡らし始めた。ぼたぼたぼた、ぼたぼたぼた、壁にも窓にも水滴がつく。床には薄い水の膜が張って行く。足跡が、わからなくなってしまう。水は床を侵食してどこかへと進んでいく。PC2は、どこだろう…?(18時になった時点で、空から赤い色が消え、薄暗くなる。するとPC1にはPC2の姿が見えなくなります。その時点でPC2は歌声に惑わされ、ふらふらとプールへ向かうように誘導してください。渋る場合は、プールから溢れてきた水が手の形になってPC2を捕らえ、引きずり込むようにしてください。PC1には、再び床に水が浸水し始めたことを伝えてください。階上からも階下からも水が押し寄せてきます。水を避けて逃げればプールにつきます。行動をためらっているとPC1はかさの増した水に沈みます。水泳ロールを指示してください。成功の場合は流されてプールへ強制移動、失敗の場合は意識を失い、プールへ強制移動し、目が覚めます。また、PC2にはPC1を纏う水・洪水は見えません。溺れているのも、ただ普通の場所で急に呼吸困難に陥ったかのように見えます。人工呼吸は少しは役に立つかもしれません。 また、このシナリオは夜を一度迎えても翌日調査しそびれた場所を探索できます。無理に一日目で探索させようとせず、時間経過を気にしてタイムリミットを忠実に守ってください。)@プール 不意に、水が弾けて、息苦しさから解放される。息を整えて辺りを見回せば、PC1(及びPC2)はプールサイドにいた。周囲は暗闇に包まれている。(ここでも、PC1にはPC2の姿が見えず、言葉を交わすこともかないません。もしもこの時点で傍で貝殻を割るのであれば、PC2が声を取り戻すことにより会話だけは可能となるでしょう。) プールの水面が、揺れたような気がした。→目星やRPでPC2が自分の姿を水面に映すと、その陰からずるりと凶暴な顔をしたPC2自身の姿が這いだして来て、PC2に襲い掛かります。PC2と化け物の戦闘開始です。PC1には、それが人型をした屍のような姿の化け物に見えます。化け物は甘く強い匂いを纏い、それはとてもおいしそうな匂いです。SANC 1/1d4 また、プールにたどり着いた時点で巻貝を回収済みである場合、PC1にはプールの底に巻貝が見えます。先刻の洪水で手元を離れてしまったのでしょう。プールに潜る際には水泳ロールを指示してください。成功でバケモノに気付かれずにプールに潜り、巻貝を回収できますが、失敗で気づかれてしまい、PC1を巻き込んでの戦闘発生です。 化け物を目にした時、二人は忘れていた記憶を取り戻すことになります。二人はデジャブを感じる。そう、こんな日暮れ時、PC2がプールサイドにいて、同じようにPC2の影から化け物(人魚)が這いずり出してきた。 PC1:その瞬間、日が落ちて、空が暗くなる。化け物の姿も、PC2の姿も消えていた。おかしいなと思って、思ったはずなのに、プールのカルキの匂いが漂って、それを嗅いだ瞬間忘れた。どうして忘れていたんだろう。PC2はずっと行方不明だったじゃないか。そして六十七夜目のその日、また忘れ物をして、この校舎に迷い込んだんだ。 PC2:目の前の化け物が美味しそうに思えてならない。欲望に負けて、その肉を食べた。自分が自分じゃないようだった。ゲームに負けた。食べちゃいけなかったのだ。人魚のゲームのルールは実に単純明快で簡単。食欲を抑え、この校舎のきっとどこかにある彼/彼女の【声】を見つけて返してあげること。 人魚が人に戻れるとき、願い事が叶う。でも人魚を食べてしまうと自分も人魚になる。人魚化して六十八夜が過ぎてしまえば、叶えたかった願い事も忘れてしまう。【声】と【願い事】を取り戻さなければ、人には戻れない。〈戦闘〉化け物は【歌】を歌い、PC1も惑わせようとします。その際、PC1には自分のターンでまずPOW*3ロールを指示し、以下の処理を行ってください。・成功時:回避ロール成功で1d100を振らせる。この100はプールの長さと考え、出た目に応じてあと何回の回避ロール成功で逃げ切ることができるか伝えてください。 例)出目が33の場合→あと2回、出目が57→あと1回、出目が89→0回。この辺りは大雑把な目安で良いです。・失敗時:歌があなたの心を惑わす。【願い事はなあに、願い事はなあに、願い事はなあに】→計3回のPOW対抗ロール失敗で、PC1は願い事を唱えなければならなくなります。また、目の前の化け物を食べたい衝動に駆られ、抑えきれず、噛みつくことになります。噛みつかれればその時点で化け物は戦闘から脱落しますが、PC1は声を奪われPC2と同じ状態に陥ってしまいます。ただしその場合、見えなかったPC2が見えるようになるでしょう。しかし、言葉を交わすことが叶いません。PC1は人魚になってしまったせいで、PC2との心のつながりが切れてしまったのです。この場合、PC1の声を収めた巻貝は再びグランドピアノの天蓋の中にあります。PC1の声を取り戻すには、PC2がPC1の側で巻貝を壊す必要があります。PC1には自分の巻貝を壊すことはできず、壊そうとするとSANC 1d6/1d10です。 化け物のHPは5なので倒すことも可能ですが、攻撃力が2d6+1d3と高く、DEXは18として処理されます。化け物の技能は以下の通り。 ・頭突き60 ・こぶし60 ・組みつき60 戦闘から離脱、あるいは戦闘終了すると、空が白んできていることに気付く。PC2は六十七夜目が終わってしまったと知るだろう。そうして、空が明るく色づいていくのを眺めながら、同じだけ自分の感情の色が褪せていくのを感じる。PC1を見ても、何の感慨も浮かんでこない。ただ、ああ、もうすぐ終わってしまうと、絶望の影が心を染めて行く。また、あの空を見たい、朝焼け色の空を見たい。夕焼け色の空を見たい。どうして空が見たいんだっけ。色が移り変わるから、まるで心みたいだから。(PC2を、屋上へ行くよう誘導してください。) PC1は、恐怖と心細さが募り、疲れがどっとその身に襲い掛かってくるだろう。逃げられた、と思った瞬間に、気を失う。空が色づいている。夜から朝になったその一瞬、PC2の姿が見えた気がした。PC2は空を見ている。そしてどこかへと歩いて去ってしまう。手を伸ばそうとするけれど、体が重く、まるで深海の中にいるようだ。動かない。PC2は朝焼けの中に透けて消えてしまった。 キーン、コーン、カーン、コーン…… チャイムの音が鳴る。PC1ははっとして目を覚ます。空がまた赤く色づき始めていた。今は朝? それとも夕暮れ?(ここからは、PC1が屋上に行くように誘導してください。ただし自発的に屋上を思いつかない場合は、序盤のように再び水が浸水し、屋上へ逃げるように指示してください。) PC1が屋上へと足を踏み出せば、空に向かってはためく白い旗が視界に飛び込んでくる。 旗には文字が浮かんでいた。《ずっと、僕らの愛は見つかりはしない》 空はあの日のように、赤く染まる。旗が大きく揺れて、その向こう側に、空を見上げるPC2の姿が見えた。その日のPC2の陰は、まっすぐにPC1の足元に伸びている。繋がっている。その影を踏みしめて、PC1はPC2に近づく。→合流処理・六十八夜目へ※六十八夜めのPC2の芳香はより強いものとなっており、共に行動すればするだけPC1を苛むことになります。POW*2対抗ロールを適宜指示し、失敗するごとにPC2を求める(食べたいと思う)気持ちを募らせてください。〈エンディング〉 PC2、すなわち人魚が人に戻るための条件は、【声を取り戻すこと】と【願い事を思い出すこと】です。PC2がPC1との交流を通して何かを乗り越えることができた時点で、鼓動の音は蘇り、PC2はPC1と共に帰還することができます。少し距離が縮んだ二人は、また変わらない毎日を少し変化した気持ちを抱えて過ごすのでしょう。八十八夜めを過ぎるころには、互いの存在をもっともっと大切だと思えるようになっているかもしれないね。どれくらい? それはあなたたちしだい。→トゥルーエンド 六十八夜目を過ぎてもその両方を達成できない場合、PC2は感情と記憶をなくします。やがてはプールで見たあの化け物のようになり、また誰かを歌で惑わせるのでしょう。PC2はプールに沈み、帰ってきません。→PC2ロスト PC1、PC2双方ともに人魚になり、人に戻ることなくPC2の六十八夜を終えてしまった場合、二人は水の中で共に生きることになるでしょう。PC1は自身の六十八夜を終えるまで、PC2と言葉を交わすことができませんし、PC2はもう人としての感情も失っています。六十八夜を終えたら、PC1もすべて忘れてしまうでしょう。それでも心が通わせられる日が来るでしょうか。化け物として生きて行っても、未来はあるでしょうか。→2人ロスト また、PC1がPC2を食べてしまい、一人残ったまま人魚となるエンドなどもありえるでしょう。〈報酬〉二人で生還 1d6使命達成 1d3水泳 +1d3×10成長[newpage]〈シナリオ背景〉・関わる神格はイゴーロナクとグール。・今回PC達が迷い込んだ高校、その町はグールの血が混じる村民が作った町であり、食人の慣習を「人魚伝説」として伝えていた。後世になり、その子孫である子供たちの間で、それは「人魚さん」のおまじない、学校の七不思議のひとつとして広まっていった。 この「人魚さん」おまじないに縋り願い事を叶えたいと思っていた生徒の仄暗い心にイゴーロナクが目を付け、煉瓦の向こうから干渉した。生徒はグラーキの黙示録を読んでしまい、悪意に憑りつかれ、その血に眠る食人本能を呼び覚まされて、クラスメイトを食べてしまう。やがて悪意は伝染し、高校は集団カニバリズムが蔓延する惨状と化した。 イゴーロナクは、【声】を媒介に生徒たちに干渉した。そのためその【声】を閉じ込めた貝殻を壊して【声】を取り戻し、人間としての自覚を促す願い事を取り戻せばイゴーロナクの干渉から抜け出せる。おそらくイゴーロナクはこの町の人魚伝説と西洋の人魚姫の物語を混同し、声に目を付けたのだと思われる。 PC1が何度も溺れた水は、高校に残る人魚たち(元は生徒たち)の残留思念である。その中に、この空間に迷い込みすでに六十六夜を彷徨ったPC2の思念も混ざっており、冒頭でPC1を助けたのはそのPC2の残留思念である。PC2はすでに人魚化しているため、その残留思念を水として認識せず、またPC2の側にいることでPC1は水に飲み込まれることなく探索をすることができる。 人魚は黄昏時にしか姿を現すことができない。空が暗くなる逢魔が時に差し掛かると、人魚であるPC2は魔であるため闇に紛れてしまう。 時系列でいうと、導入2→本編冒頭→導入1→本編という形である。六十七日前の夕暮れ、PC1とPC2はPC1の高校で離ればなれになり、PC2だけが裏世界に迷い込んでいた。六十七日目の夕方、再び学校に宿題を取りに行ったPC1は、逢魔が時、しかもPC2の人としてのタイムリミットが近づく夜が来るその時に、裏世界に迷い込み、PC2の残留思念に導かれて屋上にいるPC2と再会した。 この六十七日目の夕暮れ時、PC2は願い事も忘れ声のことも忘れ、なぜ自分がここにいるのかもあまり思い出せなくなっている状態だった。PC2の時は、裏世界に迷い込む直前の記憶で止まっていた。さまよい続けて殆ど自我もなくしかけていたPC2の、最後の人としての記憶は、PC1と見た夕焼け空であり、それを見るために、一番空がよく見える屋上に来ていた。そうして、PC1に見つけてもらったのだ。・六十八夜の意味について 八十八夜という日本の雑節から。この日にお茶を飲むと長生きするという言い伝えがあり、長寿のお茶と不老不死の妙薬に、似たものを感じそこから人魚をモチーフに使うことを思いつきました。このシナリオ内では八十八夜経てば不老不死の妙薬たる人魚になるという設定です。人魚になるのは六十八夜めですが、さらにそこから不老不死の妙薬になるまでに時間がかかり、八十八夜目に不老不死の妙薬になります。人に戻れる、まだ引き返せるターニングポイントとして、未熟な人魚と成熟した人魚の境目としての六十八夜を設定しました。・タイトルの「アイ」 愛と哀、逢、相などいろいろな意味をかけています。PC2の【願い事】が鍵となる物語になっているため、キャラ作成の段階で設定を練り込んでいるとよりRPと物語を楽しめるのではないかと思います。・SOSとSONG たすけて「SOS」(PC2からのメッセージ) きっとむりだよ「NG」 こえをだすばしょ、うたをうたうばしょってどこだっけ?「SONG」→音楽室 また、お気づきの方がいらっしゃると思いますが、こちらのシナリオは某曲から想起して作成したシナリオです。そちらの曲のほうも併せて聞いていただけましたら幸いですが、くれぐれも使用の際には本家曲様にご迷惑をかけないようお願いいたします。 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。