9月7日(土)、19時より東京・秩父宮ラグビー場では、トップリーグの1stステージ・プールAの東芝ブレイブルーパス対クボタスピアーズの試合が行われた。開幕から2連勝の東芝と2連敗のクボタが対戦するということで、東芝が有利と思われていた(観客:6338人、天気:晴れのち雨/微風)
見事な飛ばしパスでトライを演出した東芝SO廣瀬
「今日の試合も先週に続いて良い準備をしてこの日を迎えた」と冨岡鉄平ヘッドコーチが言ったように、東芝が序盤から攻勢に出る。前半2分、CTBリチャード・カフイが自陣から突破してチャンスメイク。SO廣瀬俊朗が裏へキックを蹴ると、FLスティーブン・ベイツらが素早い集散でターンオーバーし、右に展開。SO廣瀬が2人飛ばしてWTB松延泰樹へパスし、WTB松延がインゴール右隅に飛び込んで先制のトライ。SH小川高廣のゴールも決まって7-0。
8分にクボタもPGを決めた(7-3)が、18分にCTBアイザイア・トエアバが故意の反則でシンビン(10分間の一時的退場)に。20分、数的有利となった東芝は、今度はスクラムからチャンスメイク。再びSO廣瀬がWTB松延への絶妙な飛ばしパスを見せて、WTB松延が連続トライを挙げて14-3。「練習からやっていたBKラインの形が出せた」(SO廣瀬)
クボタはSO森脇、CTBに立川&トエアバの布陣で臨んだ
だが、ここから「思い切ってやってこい!」と石倉俊二監督に送り出されたクボタフィフティーンが意地を見せる。FWは攻守に渡って近場で前に出て、BKはSOには森脇秀幸が入り、インサイドCTBに立川理道、アウトサイドCTBにはトエアバが入った布陣が功を奏した。「(開幕から2戦は)僕が10番に入って上手くボールが動かせていなかったので10番に森脇さんが入ってキック、僕が12番で(ランとパスで)ボールを動かそうと思った」(CTB立川)
立川のキックも正確だった
25分、CTBに入った立川が自陣からランでゲインし、自陣奥深くに攻め込む。トエアバが戻った後の28分、FWで近場を攻めた後、左の大外に展開し、CTBトエアバからWTB田中健太にパスが通り、そのまま左隅にボールを押さえてトライ。CTB立川のゴールも決まって12-10とする。その後はクボタが東芝のゴール前の猛攻を粘り強いDFでしのぎきり、12-10で前半を折り返した。
トエアバのトライ!
後半、先に得点をしたのはクボタだった。7分、CTB立川のPGで12-13と、ついに逆転に成功する。クボタは10分にPGを決められ15-13と逆転されるも、13分、準備してきたサインプレーを見せる。SO森脇がゴール前にハイパント。CTB立川が相手と競って、こぼれたボールをCTBトエアバが拾い上げてインゴールの真ん中に押さえて15-18と再逆転に成功、ゴールも決まり15-20とする。
元南アフリカ代表のNO8キーガン・ダニエル
その後、東芝も反撃を見せ、2度のPGのチャンスを狙わず、ゴール前からのドライビングモールでトライを狙った。だが、クボタはFLフィナウ・フィリペサーリ、後半から入った元南アフリカ代表のNO8キーガン・ダニエルの働きもあって、後半はゴールラインを割らせなかった。「試合中、ずっとここで引いたら負けると言っていました」(LO今野達朗ゲームキャプテン)
32分にはクボタ、37分に東芝がそれぞれPGを決めて18-23に。東芝は試合終了のホーンが鳴った後も、ボールを継続して攻め続けたが、クボタの激しいブレイクダウンにターンオーバーを許してしまい、トライに結びつけることはできずノーサイドを迎えた。結局、クボタが18-23で今シーズン初勝利を挙げて勝ち点4を獲得、東芝は敗れたものの7点差以内の負けで勝ち点1を得た。なおMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には正確なプレースキックなどで勝利に貢献したクボタCTB立川が選出。
記者会見:今野達朗ゲームキャプテン(左)、石倉俊二監督(右)
試合後の記者会見で、勝利したクボタの石倉監督は開口一番に「率直に嬉しいです! 私が選手だったときから11年ぶりに東芝から勝利することができました。80分頑張ってくれた選手たちを誇りに思う」と言った後、こう続けた。「ディフェンスで前に出て激しく止めようということを今週1週間、フォーカスしてやってきました。そしてFWが頑張って、外でトライを取ろうというゲームプランだったので、最初のトライはプラン通りでした。SOで先発した森脇はゲームコントロール、キックの使い方が非常に良かったです。まだ1勝2敗で満足できる結果ではないですが、次に向けて頑張っていきたい」。
勝利に大きく貢献したSO森脇
クボタの今野ゲームキャプテンは「すごく嬉しいです。FWが前に出るというクボタの良いところをしっかり出せた結果、勝ちにつながりました」と言えば、SOで先発して勝利に大きく貢献した森脇は「2節までクボタらしいプレーができなかったですが、今日の試合はクボタらしいプレーができたと思います。(後半のハイパントに関しては)あのようなオプションは事前に話していました。今後もどのポジションで出ても、自分のパフォーマンスをするだけです」とプレー同様、冷静にコメントした。
記者会見:大島脩平ゲームキャプテン(左)、冨岡鉄平HC(右)
僅差で敗れた東芝の冨岡鉄平ヘッドコーチは「どこかでこういう試合が来るとは思っていました。今日はクボタさんがしっかりと準備して全員で戦っていた。改めてラグビーの厳しさを勉強することができました。敗戦を振り返ることも大切ですが、次の試合にどういう準備、気持ちで臨むがことが大事だと思います」と、次節の重要性を説いた。
接点での激しいブレイクダウン、東芝はクボタのプレッシャにボールを継続することができなかった
東芝のWTB大島脩平ゲームキャプテンは「序盤は良い展開だったが、クボタさんの激しいブレイクダウンでボールを継続できず、やることなすことうまくいかなかった。試合後、クボタさんには泣いている選手もいました。東芝はこの試合に賭ける覚悟がなかったと思います。同じことを繰り返さないように次の試合に臨みたい」と前を向いた。
1stステージのプールAは、第2節でヤマハ発動機ジュビロがパナソニックワイルドナイツに敗れて全勝チームがなくなり、混戦模様になってきた。第4節、東芝は9月12日(金)に秩父宮ラグビー場でNECグリーンロケッツと、クボタは14日(日)に茨城・水戸にあるケーズデンキスタジアム水戸でNTTコミュニケーションズシャイニングアークスと対戦する。
◆プールA順位表(第3節終了時点)
1位 ヤマハ発動機 勝ち点11(2勝1敗)
2位 NTTコミュニケーションズ 勝ち点10(2勝1敗)
3位 東芝 勝ち点10(2勝1敗)
4位 パナソニック 勝ち点9(2勝1敗)
5位 NEC 勝ち点6(1勝2敗)
6位 宗像サニックス 勝ち点5(1勝2敗)
7位 豊田自動織機 勝ち点5(1勝2敗)
8位 クボタ 勝ち点4(1勝2敗)
| 斉藤健仁 スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ |