かねてから“美肌の湯”で知られる軽井沢の
「星野温泉 トンボの湯」に勤務する温泉王子よっしが、
美のエキスパート・ミューズけいこの導きのもと、
世の中の女性を健康でイキイキした温泉美人にするためのビューティーラボ。
第4回目は、温泉のpH(ペーハー)値と美肌作用との関係を解き明かします!

  • 軽井沢 星野温泉・トンボの湯勤務♪ 
    温泉で世の中の女性たちを美と健康を届けたい!と温泉王子になりました。得意技は「トンボ温泉体操」デス。

  • 美と健康を自ら実践する輝くスパ・ディレクター。好き事はお散歩に入浴♪ 足になにやら敏感で、嫌いなものは、足がたくさんあったり(蜘蛛とか?)なかったりするもの(なに?)。

王子、立派な「温泉王」を目指しての修行はどう?フィアンセの「姫」は元気?
それがミューズ、この間、姫から質問されたことにうまく答えられなくて…。温泉のpH値はいろいろあるけれど、それが美容にどう影響してくるのか教えてほしいと言われたんです。温泉に入ると肌はキレイになりますが、pH値の違いとからめて説明するとなると…助けてください!
温泉の分類にはいろいろあって、温泉が湧いて出たときのpH値はその一つ。「液性分類」といって、水素イオン濃度で分類しているの。pH値が小さいほど酸性で、中央値の7前後が中性、値が大きくなるほどアルカリ性になるのよ。それぞれのお湯の特徴を知って、美肌に効く入り方を姫に教えてあげてね!

■ 湧出時のpH値による分類

強酸性pH2未満
酸性pH 2以上3未満
弱酸性pH 3以上6未満
中性pH 6以上7.5未満
弱アルカリ性pH7.5以上8.5未満
アルカリ性pH 8.5以上
強アルカリ性pH 10以上
身の周りのもののpH値
胃液pH 1.5~2
レモンpH 2.5付近
皮膚pH 4.5~6
水道水 pH 6.5
汗 pH 7~8
血液 pH 7.4付近
海水 pH 8~8.5
石けん pH 7~10
酸性の温泉はpH値によって強酸性、酸性、弱酸性に分類されるの。日本で一番強酸性の温泉は玉川温泉(秋田)で、pH1.2よ。草津温泉(群馬)がpH2ぐらいで、胃液とほぼ同じ値ね。
胃液と同じぐらいとは、ピリピリしていそうなお湯ですね。
実際に酸っぱいわね。酸性のお湯は、肌の一番上の古い角質を溶かす、いわゆるピーリング効果があるの。だから酸性の温泉に入ると、肌がツルツルになる美容効果が期待できるわ。
酸性が強いほど、ピーリング効果も高くなるんですよね?
そうね。ただそれだけ刺激が強いので、強酸性や酸性のお湯は肌に温泉成分が残ったままだと荒れてしまう場合があるの。特に肌の弱い人は、湯上り時に真湯(まゆ:沸かし湯のこと)で温泉成分を洗い流したほうがいいわね。それから、一日に何回も入るのも、肌に負担がかかりすぎるのでお勧めしないわ。入浴後は保湿をしっかりしてね。
そういえばトンボの湯は、昔から“草津温泉の仕上げ湯や直し湯”と言われてきたんです。これは、草津温泉が酸性の湯であることと関係があるんでしょうか?
草津温泉のお湯はpH2。酸性の湯で身体が受けた強い刺激を、最後に緩和させるという意味で“直し湯”となってきたのよ。トンボの湯はpH7.4で中性だから、身体にはやさしい温泉ね♪ 昔の人はちゃんとわかってたのね。

酸性のお湯の美容効果、これで姫に説明できます!それでは、pH値が高いアルカリ性のお湯はどうなんでしょう?
アルカリ性のお湯は、言ってみれば“石けん”。主に皮膚の油分を落とすのよ。人間の健康な肌は弱酸性の皮脂膜におおわれていて、だいたいpH 4.5~6ね。でも、肌に汚れがたまっていくと、だんだん酸性に傾いていくの。そこで弱アルカリ性の温泉に入ると、皮膚の汚れが中和されるのね。
アルカリ性が強くなるほど、汚れがよく落ちるんですか?
ええ、より洗浄力の強い石けんを使うようなものね。油分も身体にとって必要なもの。強アルカリ性のお湯だと、油分が取られ過ぎて肌がカサカサになってしまうことがあるので、温泉成分を肌に残さないよう真湯で洗い流し、湯上りは水分をふきとってすぐに保湿をしてね。ちなみに、日本で一番強アルカリ性の温泉は、白馬八方温泉(長野)でpH11.3よ。
石けんで肌を洗いすぎると荒れてしまうのと同じことですね。
もうひとつ美肌のために気を付けたいのは、身体を洗いすぎないことね。温泉に入るだけで肌の汚れは自然に落ちるの。さらに身体をごしごし洗うと肌荒れしてしまうわ。温泉に入る前には気になるところをやさしく洗うぐらいがちょうどいいのよ。
姫は乾燥肌だと言っているので、洗いすぎないようにアドバイスしなきゃ。
乾燥肌にやさしいのは、中性~弱酸性の温泉ね。弱アルカリ性の温泉も、お湯に入るだけで肌の汚れをやさしく落としてくれるわ。強酸性、強アルカリ性は、とろりとした感じがしても実は刺激が強いので、決して何度もお肌をこすらないでね!あと、これまでの繰り返しになるけれど、どの温泉に入っても、入浴前後の水分補給を十分に行うこと、のぼせないこと、そして湯上りに肌の保湿をしっかり行うことが美肌作りには欠かせないわ。
pH値による分類のほか、今回は「浸透圧分類」についても教えるわね。温泉の浸透圧を知って上手な入り方をすれば、美容効果も違ってくるのよ!
浸透圧とは、濃度の異なる2種類の溶液を半透膜で仕切ったとき、同じ濃度に近づこうと、濃度の薄い液体から濃い液体へと水分が移動することでしたね。
そのとおり。温泉の塩分濃度と、人間の身体の細胞液である「等張液」との塩分濃度を基準に3つに分類されるの。等張液は1リットルの水に8.8グラムの食塩を溶かした食塩水の濃さに相当するわ。
おいしい空気を吸って、鳥の声を聞きながらゆっくりお風呂に入れば、心身ともにリフレッシュですね!

■ 浸透圧分類

低張泉等張泉より浸透圧が低い温泉
温泉の塩分濃度 < 等張液の塩分濃度
溶存物質総量8g/kg未満、凝固点 -0.55℃以上
等張泉等張液と等しい温泉
温泉の塩分濃度 = 等張液の塩分濃度
溶存物質総量8g/kg以上10 g/kg未満、凝固点 -0.55℃未満、-0.58℃以上
高張泉等張泉より浸透圧が高い温泉
温泉の塩分濃度 > 等張液の塩分濃度
溶存物質総量10g/kg以上、凝固点 -0.58℃未満
トンボの湯は低張泉です。ということは、身体の細胞のほうが温泉より塩分濃度が高いんですね。
皮膚を半透膜として、低張泉では身体から塩分が温泉へ出ていき、温泉の水分が体内に入ってくるの。だから、皮膚がふやけるのね。低張泉は湯あたりもしにくいけど、長時間入っていると手足の指先がシワシワになるのは、皮膚が水分を吸収したからなのよ。この状態でスクラブなどを使ってお肌をごしごしこするのはNG!肌の弱い人だとかなり傷んでしまうわ。
高張泉は低張泉と反対で、温泉のほうが身体の細胞より塩分濃度が高い…ということは、身体の水分が温泉へ移動する?
正解よ。高張泉に入ると、短時間でも温泉の塩分が身体に入ってくるので、温まりやすい。でも、身体から水分が出ていくので、湯あたりを起こしやすくなるわ。脱水症状で血液が濃くなるような感じかしら。高張泉はあまり長湯をしないほうがいいわね。等張泉は細胞液と等しいので、特に目立つ変化はないわ。
姫はけっこう長湯が好きなので、高張泉では気を付けるように話します!よーし、今度のデートでは姫に見直してもらいますよ♪
それから、硫黄や鉄を含む温泉は高張泉でなくても刺激が強くて湯あたりしやすいの。長湯はせずに、真湯で成分を流して上がってね。もちろん、湯上がりの保湿と水分補給を忘れずに!
次回は、いよいよ最終回です。
入浴に適した水温と時間についてご紹介します!