ベタインは、ビートという野菜から分離された成分です。筋力やパワーの向上、アナボリックホルモンを増やしてカタボリックホルモンを増やす、クレアチンの生成を増やすなどの作用が期待できます。
ベタインとは
基本情報
ベタインはビートという野菜から分離された成分です。人間の体内にも元々存在し、肝臓でコリンという物質から生成されています。
ベタインはまたの名をトリメチルグリシン(TMG)といい、その名の通りグリシンというアミノ酸に、メチル基(-CH3)が3つ付いた構造をしています。
このメチル基は化学的に反応しやすいため、ベタインは体内で他の物質にメチル基を与える“メチル供与体”として働き、ヒトの生理機能において重要な役割を果たします。
ベタインは、心筋梗塞や脳梗塞の原因となるホモシステインを減らす働きがあるほか、筋力やパワー向上にも効果のある成分として注目を集めています。
ベタインの働き
クレアチンの生成促進
ベタインが筋力とパワーを増大するメカニズムは詳しく分かっていませんが、その要因の一つは、クレアチンの生成を促進するためであると考えられています。クレアチンは肉や魚を食べることで摂取できますが、アミノ酸のグリシン、アルギニン、メチオニンから体内で生合成することもできるのです。
まず、グリシンに対してアルギニンがアミジノ基を与え、次にメチオニンがメチル基を与えることによりクレアチンが合成されます。この経路において、ベタインはメチオニンにメチル基を与えるメチル供与体として働くことにより、クレアチンの生合成を増加させると考えられます。
実際、ラットを用いた研究ではありますが、クレアチンを含まない食事にベタインを混ぜて摂取させたところ、クレアチンの合成が促進されたという報告があります。[1]
同化ホルモンを増やし、異化ホルモンを減らす
ベタインが筋量を増やすメカニズムとして、アナボリックホルモンの生成、及びカタボリックホルモンの減少が考えられます。2週間のベタインの摂取により、IGF-1(インスリン様成長因子-1)のレベルが増大し、コルチゾールが減少したという研究報告があります。[2]
その研究ではトレーニング経験者に対して2週間に渡りベタイン1.25gを摂取させてトレーニングをさせたところ、偽薬を摂取したグループに比べてIGF-1が7.8%増加し、コルチゾールが6.1%減少していました。
IGF-1は筋肉の同化(アナボリック)を促進すると考えられているホルモンです。一方、コルチゾールはカタボリックホルモンの代表格であり、筋肉の分解を促してしまいます。
ベタインはアナボリックホルモンを増やし、カタボリックホルモンを減らすことで、筋量増加に貢献していると考えられます。
ベタインの効果
筋力・パワー向上
ベタインの摂取は筋力とパワーの向上に効果があるようです。
2010年に行われた研究では、最低3か月以上のトレーニング歴のある被験者グループに、ベタインを摂取させて14日間トレーニングを行わせたところ、上半身のパワーが20%増大、上半身筋力は25%増大しました。[3]
別の研究では、男女の被験者たちにサイクリングマシンで12秒のオールアウトスプリントを行わせたところ、ベタイン入りドリンクを飲んだ時には炭水化物と電解質だけのドリンクを飲んだ時よりもペダルをこぐパワーが平均3.3%増大しました。[4]
この実験ではワークアウト直前にベタインを一回投与しただけなので、パフォーマンス向上に関しては即効性があるのかも知れません。
トレーニングのボリュームを増やす
ベタインにはトレーニングのボリュームを増やす効果もあります。
トレーニング経験者に2.5gのベタインを14日間摂取させて、ベンチプレスを限界回数×10セット行わせたところ、1セットあたりの挙上回数が増え、トータルのトレーニングボリューム(重量×挙上回数)が6.5%増加しました。[5]
ベタインの摂取により筋力が伸びることで、同じ重量を楽に挙げられるようになった結果、挙上回数が伸びたものと考えられます。
ボリュームは筋肥大の最も重要なファクターの一つなので、ベタインの摂取によりトレーニングのボリュームが向上することで筋肥大を促す効果も期待できます。
筋量増加
ベタインには、トレーニングのボリュームを増やしたり、IGF-1を増やしてコルチゾールを減らしたりする働きがあるので、筋量増加にも効果があると考えられます。
しかし、その効果のほどについては研究で確認されてはいないので、「間接的に貢献する」といった程度だと思われます。
ベタインの摂取量
1.5~2gを1日2回、食事と一緒に摂取します。誰でも大抵1日の食事から推定1~2gのベタインを摂取していると考えられていますが、サプリメントから余分にベタインを摂ることで健康とパフォーマンスに有益効果があることが研究で明らかにされています。
また、ヒトでの研究で、ベタインを摂取すると、急速な吸収と分配が起こり、血液中において1~2時間でピークに達すると分かっています。これらのことから、トレーニング前に摂取することで、エルゴジェニックエイドとしての効果が得られると考えられます。
ベタインと一緒に摂りたいサプリメント
アルギニン
ベタインは体内でクレアチンを生合成するのに使われますが、ベタインのみではクレアチンを合成することは出来ません。共に合成に利用されるアルギニンも一緒に摂取することで、さらなる効果を得られると考えられます。
クレアチン
ベタインの摂取により体内でのクレアチンの合成は高まりますが、同時にクレアチンをサプリメントで直接摂取することで、更なるクレアチンレベルの引き上げが可能になります。この2つは相性の良いサプリメントとして知られており、単独摂取で効果が感じにくかった人も一緒に摂ると効果が感じられる場合があります。
ベタインの副作用
過剰摂取すると吐き気を催す可能性がありますが、その他重大な副作用は報告されていません。ベタインの安全な上限量は9~15g/日と考えられています。この用量の範囲内であればまず問題ないでしょう。
おすすめのベタイン
Now Foods TMG(トリメチルグリシン)
こちらは私が利用しているNow社のベタインです。タブレット型なので、いちいちドリンクに混ぜなくても摂取できて重宝しています。
バルクスポーツ ベタイン
粉末でも構わないという方には、バルクスポーツのベタインが安くておすすめです。
[1] A further investigation of the role of betaine in transmethylation reactions in vivo. J Biol Chem. 1946 Oct;165(2):639-48.
[2] Betaine supplementation enhances anabolic endocrine and Akt signaling in response to acute bouts of exercise. Send to Eur J Appl Physiol. 2013 Mar;113(3):793-802. doi: 10.1007/s00421-012-2492-8. Epub 2012 Sep 14.
[3] Ergogenic effects of betaine supplementation on strength and power performance. J Int Soc Sports Nutr. 2010 Jul 19;7:27. doi: 10.1186/1550-2783-7-27.
[4] Effect of betaine supplementation on cycling sprint performance. J Int Soc Sports Nutr. 2012 Apr 3;9(1):12. doi: 10.1186/1550-2783-9-12.
[5] The effects of chronic betaine supplementation on exercise performance, skeletal muscle oxygen saturation and associated biochemical parameters in resistance trained men. J Strength Cond Res. 2011 Dec;25(12):3461-71. doi:10.1519/JSC.0b013e318217d48d.