食事制限中心のつまらない人生なんてイヤ!自分のためにできることは何?

    性別女性
    年齢43歳
    イニシャルH.S.さん
    身長163cm
    一番やせていた時の体重44kg
    一番太っていた時の体重65kg
    現在の体重55kg

    食べ物をできるだけ口の中に入れたくない。カロリーの高いものを食べてしまったら下剤を使ってすぐにでも出したい。生まれて初めてこのような気持ちをもつようになったのは、19歳の大学2年のときでした。

    摂食障害のきっかけ

    高校時代、私はもちろん、周囲の友人達の多くが肥満というほどではないものの、ぽっちゃり太め。だから、身長163センチ、体重60キロの自分が太めであることをあまり気にしていませんでした。

    でも、高校を卒業後、地元を離れて県外の大学に進学し、環境が一変しました。大学で仲良くなった友人達は、みんなほっそりタイプ。

    ここで初めて、自分が普通よりもかなり太めであることをはっきり認識し、少しずつダイエットをするようになりました。一人暮らしで親の目も届かなかったため、食事制限も自由にできました。

    今考えると、これが摂食障害への第一歩だったと思います。

    下剤の使用

    食事制限を始めると、便秘に悩むようになりました。食事の量が減ったのですから、当然便の量も減り、出にくくなります。便秘になると、お腹がポッコリと張ってきてとても嫌でした。

    それだけで、太った気分になるのです。そこで、下剤の使用を思いつきました。市販の便秘薬を常用するのは抵抗があったので、安全な印象のある漢方薬を使うことにし、漢方の専門店で購入しました。

    やはり、下剤は効果があります。最初は少量を服用していたのですが、下剤によってお腹がいつもぺちゃんこになるのが嬉しくて、量がだんだんと増えていきました。

    ついには手放せなくなり、数箱ずつまとめ買いするようになりました。

    摂食障害の時の食事その1

    下剤の使用により痩せてくるにつれ、食事の量もどんどん減らしていきました。体重が減少し、特にお腹周りがほっそりしてきたのがよく分かったので、もう止まらなくなっていたのです。

    食べるものは、主に、カロリーの低いこんにゃくそうめんやところ天、ノーカロリー飲料。家では雑炊が中心でした。ご飯の量が少なくても、ご飯が汁を吸って多いように見えたからです。

    このようなものを食べていると、食後は満腹感があっても、すぐにお腹が空いてきます。そろそろ、甘いお菓子も食べたくなってきました。

    摂食障害の時の食事その2

    ある日、女性雑誌を読んでいると、「朝はいくら食べても太らないから、カロリーの高いものは朝に食べ、カロリー消費の減る夜にかけて食事量を減らすとよい。」という記事が目に止まりました。

    この方法なら、食べたいものも食べることができると、早速実行。朝食には、ケーキ、ドーナツ、菓子パンなど高カロリーのものを同時にたくさん食べるようになりました。

    そして昼食は、うどん一杯。夕食は、白ご飯一口と野菜を入れて煮込んだ雑炊。こんな食生活を5ヵ月ほど続けると、体重は45kgを割るようになっていました。

    半年で15kg以上の減少です。月経も止まりましたが、痩せることが楽しくて仕方がありませんでした。

    摂食障害時の精神状態

    夜にかけて食事の量を減らしていったので、就寝時には常に空腹状態でした。寝てしまえば、お腹が空いたのもわからなくなるだろうと、眠ろうとするのですが眠れません。

    時々甘いお菓子の幻覚を見ました。ベッドに仰向けになっていると、天井にさまざまな種類のドーナツが浮かんできて、なぜか円を描いてぐるぐる回っているのです。

    そんな時は、目をギュッと固く閉じました。真夜中に、空腹がどうにも我慢できず、家の中の食品を調味料以外、すべて食べ尽くしたことがあります。

    翌日の朝食用にと買ってきておいたドーナツ7個、アイスクリーム約500mlを1箱、塩辛いおせんべいを(小袋がいくつか入っている)1袋、食べかけのポテトチップスの残りを全部など。

    食べ物という食べ物を食べ尽くしました。ここまできても、自分で自分の精神状態がおかしいことに、まだ気づいていませんでした。

    ダイエットの終了を決意したきっかけ

    友人達は、私の異常なやせ方を心配していました。また、その一方で、それぞれ大好きな彼氏がいて勉強のほか私生活も毎日楽しそうでした。

    でも、これがきっかけとなって、休日に一人ぼっちでいることが多くなり、「私って彼氏いないんだな、、、」と、ふと自分を振り返るようになったのです。

    ダイエットのために、友人のご飯の誘いを断っているうちに、交友関係も狭くなっていて、気づけば何ともつまらない大学生活を送っていました。

    これを自覚したのは、大学2年生の2月でした。

    摂食障害の克服

    このまま大学生活を終わらせるのは絶対に嫌だ。私も楽しい学校生活を送りたい。少しずつ、そう思うようになりました。そのためにはまず、ご飯をおいしく食べること、無月経の治療のために病院に行くことが必要です。

    それからは、まず、大学病院の婦人科に行って無月経の治療を開始しました。食事は、ひとまず、食べたいものを食べてみることにし、1週間ほど、毎食満腹になるまで食べました。

    何だか生き返ったような気分でした。その後は、前向きな気持ちが徐々に戻ってきて、友人達を自分から誘っておいしいお店に食べに行くようにもなりました。

    体重は徐々に増加しましたが、以前のように嫌悪感を抱くこともなく、病院も定期的に通いました。

    その後

    大学生活はとても楽しいものになりました。学校生活も部活と勉強に充実し、大切な彼もできました。大学4年生の3月に無事卒業して就職。

    その後、何度か転職したのち、30歳の時に同じ会社の人と結婚しました。当時の体重は53kgぐらいだったと思います。ただ、結婚したあとも、大学時代のダイエットの影響で、依然として月経不順でした。

    10年近く経つのに、です。周期が安定しないため、なかなか子どもができませんでした。もう、子どもはできないかもしれないと自分のしたことをどれだけ後悔したかわかりません。

    そのことを不妊科の医師に相談すると、「そのことはもう忘れて、前をみて治療しましょう」と言われ、診察室で涙が出そうでした。幸いにも、不妊治療を始めて約半年後、妊娠することができました。

    ささやかな助言

    私は自分が太めなのが嫌でダイエットし、効果もありましたが、人生はちっとも楽しくなりませんでした。毎日毎日考えるのは食べ物のことばかり。

    でも、友人達のおかげで、自分がつまらない考えに蝕まれていることに気づいたのです。太めでも魅力的な人はたくさんいます。太めでも話しをしていると楽しい気分になる同級生、勉強を頑張って人生を謳歌している同級生。

    結局、健康で自分らしくいることが大切で、体重の数値なんておまけみたいなものなのです。ただ、痩せることに心を奪われているときは、そのことになかなか気づくことができません。

    時々でいいので、自分ではなく他人に眼を向けてみてはいかがでしょう。近くにいる人でいいです。私がそうだったように、自分は何をしているのか、どう生きたいのかを考えるきっかけになるかもしれません。今、私の子どもは8歳。子どもは細身だけど、私は相変わらず太め。でも、健康で家族といられることに感謝する日々です。