多くの女性が悩みを抱える「肌荒れ」。自分なりにケアしているつもりでも、間違った方法では逆効果になってしまうことも。正しい肌荒れ対策は、その症状や自分の肌タイプについて知り、スキンケアに関する基礎知識を身につけることから始まります。
「肌荒れ」とは?
「肌荒れ」とは、肌にかゆみや赤みが出たり、乾燥でカサカサしたり、吹き出物が出たりしている状態の総称です。目に見える部分だけでトラブルが発生しているように見えますが、実は皮膚の表面だけではなく、ホルモンバランスや水分、油分のバランスの乱れなど、目には見えないところが原因となっていることも少なくありません。肌荒れに対処するには、原因別に適切なケアをする必要があります。
まずは皮膚がどのような構造なのかを把握し、肌荒れが生じるメカニズムについて理解しましょう。
皮膚の構造
皮膚は大きく分けると「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つで構成されています。
表皮
皮膚の最も外側にある「表皮」。「角質層」や「基底層」などで構成されています。薄さ0.02mmの膜「角質細胞」が約20層も積み重なっている層を角質層といい、その下に顆粒(かりゅう)層や有棘(ゆうきょく)層と呼ばれる層が重なり、一番下に基底層があります。
角質層の役割
・肌の潤いを守る
角質層のすき間には、肌の潤いを保つための保湿物質「セラミド」があり、水分が蒸発するのを防止したり、外からの刺激から肌を保護したりしています。
・肌のなめらかさを保つ
角質層の表面を拡大すると、三角形や四角形などの模様が網目状に並んでいることがわかります。線のように見える溝は「皮溝(ひこう)」、三角形や四角形に盛り上がっている部分を「皮丘(ひきゅう)」と呼び、これらがいわゆる肌の「キメ」と呼ばれるもの。皮溝が深くはっきりしていて、皮丘が均一な三角形にそろっているほど、キメの細かいハリのある肌といえます。
一方、皮溝が浅く、模様も不均一であれば、キメの粗い弾力のない肌となります。
基底層の役割
・肌を生まれ変わらせる
基底層では、角質層を形成する「表皮細胞」をつくっています。表皮細胞はやがて角質細胞に変化し、はがれ落ちてしまう古い角質細胞の代わりに角質層を形成します。この肌の生まれ変わりを「ターンオーバー」と呼びます。
加齢や乾燥などによって新しい角質層をつくるサイクルが乱れてしまうと、刺激を受けやすいデリケートな肌になります。
真皮
表皮の下にある「真皮」は、肌の弾力をキープしたり、肌に栄養や酸素を送り届けたりなど、表皮の土台としての役割を担っています。
真皮の構成
・三大保湿成分から形成されている
真皮の成分は、肌の弾力を保つ主成分となる、網目状にはりめぐらされた「コラーゲン」が全体の約70%を占めています。その他、コラーゲンをつなぎとめて支える繊維「エラスチン」、コラーゲンとエラスチンの隙間を埋めているゼリー状の「ヒアルロン酸」から形成されています。
■三大保湿成分を生み出しているのは?
上記三大保湿成分を生み出しているのが、「線維芽(せんいが)細胞」です。加齢によって線維芽細胞が減ったり、衰えたりすると、保湿成分が正常に生み出されなくなります。保湿成分の不足で弾力を失ってしまうと、真皮は表皮を支えられず、肌はハリを失ってしまいます。
皮下組織
真皮のさらに下にあるのが、皮下脂肪とも呼ばれる「皮下組織」。外からの刺激を緩和する、クッション的な役割を担っています。
皮下組織の役割
・皮膚の温度を調節する
熱が伝わりにくい脂肪の特性を生かし、寒さや暑さから身体を守っています。
・栄養分と老廃物を循環させる
皮下脂肪には動脈や静脈が通っているため、皮膚に栄養分を送ったり、老廃物を排出したりする役割があります。
肌荒れは、最も外からの刺激を受けやすい表皮や、その表皮を支える真皮にトラブルが生じることで起こりやすいとされています。
肌荒れはなぜ起きる?
肌荒れは、皮膚の再生や保護などを担う機能が正常に働かなかったり、肌の水分や油分のバランスが崩れたりすることで発症します。
肌荒れを起こす要因
自分の肌荒れの要因を知ることは、肌荒れを根本的に改善するための手がかりになります。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは前述の通り、基底層で作られた表皮細胞が徐々に上へと押し上げられることで新しい角質細胞になり、古くなった角質細胞がはがれ落ちること。年齢や部位により異なりますが、通常、約28〜56日間のサイクルでターンオーバーが行われます。
しかし、サイクルが早すぎるとバリア機能が低い未熟な角質層が表面に出たり、サイクルが遅すぎると古い角質が表面に残ったりと、肌荒れの要因になってしまいます。サイクルの乱れは、ストレス、便秘、睡眠不足、運動不足、そして脂肪分が多い偏った食生活などによって引き起こされます。
ホルモンバランスの乱れ
女性は、生理前になると「黄体ホルモン」が増加し、皮脂の分泌量を増やすためにニキビなどが現れやすくなります。ホルモンバランスの乱れによるニキビは、特におでこや口まわりに現れやすいといわれています。
また、生理が終わると「卵胞ホルモン」が増加します。卵胞ホルモンはコラーゲンを増やして肌の潤いを保とうとしますが、生理後にストレスがたまったり、無理なダイエットをしたりしていると、卵胞ホルモンの分泌量が減少して肌荒れにつながります。
角質層のバリア機能低下
肌の油分と水分のバランスが乱れることで、乾燥を引き起こし、頬などを中心にカサつきやかゆみ、あるいは赤みなどが生じます。乾燥した角質層は表面を保護する力を失い、紫外線や花粉などの外からの刺激を受けやすくなります。角質層は薄くてデリケートなため、熱いお湯で顔を洗ったり、タオルで強く拭いたりするのも肌荒れの要因になります。
加齢
真皮の保湿物質であるコラーゲンやヒアルロン酸は、加齢とともに徐々に量が減少していきます。保湿物質の減少は、皮膚の水分や油分の低下につながります。また、傷ついた肌を修復するための「成長ホルモン」の分泌も徐々に低下するため、肌荒れの修復に時間がかかってしまいます。
喫煙
喫煙によって、血行が悪くなるといわれています。血行が悪化すると肌に酸素や栄養分を十分に届けることができないため、肌が栄養不足となり、肌荒れにつながります。
肌荒れは乾燥などの直接的なダメージが原因の場合もあれば、身体の中で何らかのトラブルが生じて起こる場合もあります。まずは睡眠や食事などの生活習慣を見直し、ストレスをためこまないようするなど、予防が重要です。
肌荒れの症状
次に一般的な肌荒れの症状ついてご紹介します。
カサつき
肌がカサついてゴワゴワした状態です。潤いをキープするセラミドの不足、セラミドが正常に働かないといったことが原因で角質層が乾燥している状態です。前述の通り、乾燥した角質層は表面を保護する力を失います。結果、バリア機能は肌を守ろうと生成を早めて角質細胞を厚くするため、肌にカサつきが生じます。
くすみ
肌が薄く黒ずんでいる状態です。肌が乾燥したり、古い角質がはがれ落ちずにたまったりすると、薄く黒みを帯びている角質層が厚くなり、肌がくすんで見えます。睡眠不足などにより血行が悪化すると、顔色が悪く見える場合もあります。
ニキビ
毛穴とそのまわりが赤く腫れ上がっている状態です。毛穴の中にある「皮脂線」から皮脂が過剰に分泌されると、毛穴にたまった皮脂に「アクネ菌」が集まって毛穴内で炎症を起こし、ニキビとなって現れます。乾燥などによって角質層が厚くなり、毛穴を塞いでしまうことが原因の場合も。炎症が進むと毛穴の壁を壊し、炎症の範囲が広がったり、あるいは毛穴がクレーター状に凹んでニキビ跡になったりすることもあります。
毛穴詰まり、毛穴のたるみ
毛穴の皮脂が詰まったり、毛穴がたるんでいたりする状態です。Tゾーンと呼ばれる鼻周辺などの毛穴は、皮脂が過剰に分泌されやすく、皮脂や古い角質がたまると毛穴に皮脂が詰まり、黒く見えることがあります。
また、加齢などが原因で真皮の保湿成分が減少してしまうと、毛穴を支えきれなくなり、頰などの毛穴がたるんで見えてしまいます。
しみ
肌が斑点のように茶色く色づいた状態です。表皮細胞が紫外線を浴びると、肌を守るために「メラニン色素」が過剰につくられ、角質層まで上がって「しみ」となって現れます。ニキビ跡が茶色いしみのような状態で残る場合もあります。
シワ
肌に細かい筋目が現れている状態です。真皮の保湿主成分であるコラーゲンなどが加齢によって減少し、肌の弾力を失うことが原因です。肌が弾力を失うと、笑ったりするとできるシワを元の状態に戻す力が足りず、シワがそのまま残ってしまいます。
肌荒れには他にも「たるみ」や「湿疹」など、さまざまな症状があります。まずは自分の肌荒れの症状が何かを見極め、どんなケアを行えばよいかを判断しましょう。
肌荒れの症状別スキンケア
肌荒れには、症状ごとに適したスキンケアがあります。正しいスキンケアで、効果的な対策を行いましょう。
症状別のケア方法
カサつき
肌のカサつきには、肌の内部まで潤いを保つ効果のある保湿成分を与えることが重要。肌を保湿する主成分セラミドや、ヒアルロン酸などを多く配合した美容液、保湿パックを使用するのが効果的です。冬など乾燥がひどい場合は、「ワセリン」などの保湿剤を使い、肌の水分蒸発をガードしましょう。
くすみ
乾燥などによって角質が厚くなってくすみが生じているときは、古い角質を「剥ぎとる」という意味の「ピーリング」効果があるスキンケア商品を使用しましょう。肌に刺激の少ないピーリング剤を選ぶのがおすすめです。古い角質を取り除くと、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が浸透しやすくなるので、肌の潤いを保ち、くすみを明るくする効果があります。また、血行不良によるくすみは、適度に運動して血流を促すことで解消されることがあります。
ニキビ
ニキビは過剰に分泌した皮脂にアクネ菌が増殖して生じるため、油分を多く含んだスキンケア商品は控えましょう。しかし、油分が不足して乾燥すると角質が厚くなって毛穴をふさぎ、やはりニキビができてしまいます。保水力のあるスキンケア商品を使うことが大切です。
毛穴詰まり、毛穴のたるみ
古い角質が詰まった毛穴の場合も、くすみのケアと同様、ピーリングを行って古い角質を除去しましょう。さまざまな種類があるピーリングの中には、真皮のコラーゲンを増やす効果もあり、加齢や乾燥などによってたるんだ毛穴にも効果的です。
また、「ビタミンC」にはコラーゲンを増やす効果と、皮脂の分泌を抑える効果があります。ビタミンCをより肌に浸透しやすい形にした「ビタミンC誘導体」と呼ばれる「リン酸型(リン酸アスコルビル)」や「APPS(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)」を含んだ化粧水や美容液などもおすすめです。
しみ
紫外線によるしみには、美白効果が期待できる成分を含んだスキンケア商品で、メラニン色素の生成を抑制することが必要です。紫外線は一年中浴びるものなので、美白対策は定期的に行うことが大切。ニキビ跡が原因でしみのように見える場合は、メラニン色素が原因ではないため、ニキビと同様のスキンケアを行ってください。
シワ
加齢が原因のシワには、真皮のコラーゲンを増やす成分を配合している化粧品を使うことが効果的です。代表的なものとして、年齢とともに働きが衰えるとされる、コラーゲンを生み出す線維芽細胞を活性化させる、「レチノール」という成分が配合されたスキンケア商品で対処しましょう。
スキンケアで肌荒れが改善しない場合、薬を服用したり、皮膚科や内科を受診したりする必要があります。いずれ治るだろうと油断せず、症状の度合いによって正しいケアを行いましょう。
自分の肌質がわかる簡単セルフチェック
皮脂が出やすい肌、乾燥しやすい肌など、肌質は人によってさまざま。肌質が違えば、肌荒れの症状の現れやすさも人によって異なります。自分の肌の状態を把握し、自分にどんなケアが必要なのか知りましょう。
肌質セルフチェック
自分の肌質を知るためには、美容医療などで精密な検査をするというイメージがあるかもしれません。でも、実は簡単に確かめられる方法があるんです。
肌タイプの診断方法
朝目覚めたら、洗顔をする前にUゾーンの肌に触れてみましょう。次のどれにあてはまりますか?
A:ベタッと全体に皮脂が浮いて乾いた感じはまったくない→オイリー肌
B:ベタつくところが多いけれどところどころカサつく→オイリードライ肌
C:ベタつきもカサつきもほとんどない→ノーマル肌
D:全体にカサカサしてつっぱる→ドライ、つまり乾燥肌
出典:『素肌美人になれる 正しいスキンケア事典』吉木伸子、岡部美代治、織田真規子(高橋書店)
肌質ごとの効果的なケア
上記のセルフチェックで自分の肌質が分かったら、どのようにケアすればよいのかを確認してみましょう。
オイリー肌
洗顔で余計な油分を落とし、油分が含まれていない、皮脂を抑えるためのスキンケア商品を使う。
オイリードライ肌
肌の油分と水分のバランスが崩れているため、保湿ケアを中心に行う。カサカサしているところに水分を与えることで、皮脂が浮くのを抑制する。
ノーマル肌
肌の水分を失わないよう、保湿ケアを徹底する。
ドライ肌
肌の深部まで浸透するセラミドなどの保湿成分が入った美容液などを使い、肌の保湿力アップに努める。
肌荒れに悩んでいないという人も、肌質に合ったスキンケアを心がけることで肌荒れ対策につながります。
肌荒れ予防につながる快眠法
「規則正しい習慣で、よく眠ること」が、美肌への近道です。睡眠が美肌をもたらす理由をご紹介します。
睡眠が肌荒れ予防に効果的なわけ
睡眠で肌荒れを予防するためには、「睡眠のゴールデンタイムを逃さない」「成長ホルモンの正常な分泌を促す」という2つのポイントが大切です。いくらスキンケアを頑張っても、睡眠が改善されなければ効果も薄くなってしまいます。
①睡眠のゴールデンタイムを逃さない
肌を新しく生まれ変わらせるターンオーバーは、睡眠中に活性化します。最も盛んに行われる時間帯は、いわゆる「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれる夜10時から深夜2時まで。肌荒れを予防するためには、このゴールデンタイムに睡眠を取っているかが重要となります。
②成長ホルモンの正常な分泌を促す
ターンオーバーは「成長ホルモン」の分泌によって、さらに動きが活性化します。成長ホルモンは、眠り始めてから約3時間のあいだに盛んに分泌されます。しかし、起床時刻や睡眠時間がバラバラになったり、睡眠時間が不足したりしていると、成長ホルモンが正常に分泌されにくくなります。
忙しい日常ではなかなか難しいかもしれませんが、夜10時もしくは11時に就寝することができれば、成長ホルモンの分泌とターンオーバーが活性化する時間が重なり、美肌効果もUPします。
美肌を育む快眠法
睡眠は、美肌の大敵であるストレスを緩和する効果もあるといわれています。布団に入ってもなかなか眠れないと悩んでいる人は、ちょっとした工夫で寝つきが良くなる、以下のような方法を試してみてください。
明るい照明やブルーライトに注意する
眠る前、目に明るい光が入ると、体内時計が乱れて寝つきが悪くなります。目に入る光の量を減らすため、間接照明などを使って心地よく感じられる薄暗い環境をつくりましょう。また、眠る前にスマートフォンやパソコンを触るのはNG。電子機器から放出される「ブルーライト」には、眠りを促す「メラトニン」の分泌を抑制する作用があります。寝つきが悪い人は、睡眠の1時間前には使用を控えるようにしましょう。
お風呂やホットドリンクで身体を温める
睡眠の1時間前までに約38〜40℃のぬるめの湯船に浸かり、身体を温めましょう。心身ともにリラックスすることができるほか、お風呂上がりには体温が徐々に下がり、自然な眠気を誘うことができます。白湯などの温かい飲み物を飲むことでも、同様の効果を得ることができます。眠る前は、利尿作用が高く、神経を興奮状態にするカフェインを含んだ飲料は避けてください。
肌荒れを引き起こす病気とは?
ウイルス感染などが原因で、重度の肌荒れ(皮膚病)が生じることがあります。
皮膚病の症状例と対処法
皮膚病はそれぞれ特徴的な症状や原因を持っています。
接触皮膚炎
「かぶれもの」とも呼ばれ、かゆみ、赤み、吹き出物、水ぶくれが起こった状態です。肌質に合わない化粧品や、衣類など刺激の強いものに触れることで発症する「一次刺激性接触皮膚炎」と、特定の物質にアレルギーを持つ人にだけアレルギー反応として現れる「アレルギー性接触皮膚炎」の2つがあります。
対処法:原因となりうる物質に触れないことが大切です。症状が軽い場合は薬局などで購入できる、赤みやかゆみを抑える「ステロイド外用薬」でケアできますが、症状が重い場合は皮膚科で治療を受けましょう。
脂漏性皮膚炎
何らかの原因によって好脂性真菌「マラセチア菌」が増殖し、皮脂の分泌量が多い髪の生え際や鼻の脇などにカサカサした湿疹ができる炎症です。赤くなってかゆみが出ます。
対処法:一般的にはステロイド外用薬で治療します。マラセチア菌に効くとされる抗真菌外用剤を用いることもあります。
線状皮膚炎
「ペデリン」という毒性の体液を持つ「アオバアリガタハネカクシ」という虫の体液が肌に付着し、線状の炎症が起こります。
対処法:アリのような虫が皮膚に止まっている場合、押しつぶさないように注意しましょう。万が一体液が付着してしまった場合は、早急に洗い流し、すぐに皮膚科で診てもらいましょう。
口唇ヘルペス
photo:Getty Images
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