色素沈着の原因①(病気/内臓・ホルモン系疾患)
内臓・ホルモン系疾患を原因とする色素沈着、皮膚変色について紹介しています。- 肝斑
- アジソン病
- クッシング症候群
- 肝臓疾患
- 膵臓疾患
- 腎疾患
- 甲状腺機能障害
- 糖尿病
- 吸収不良症候群
その他の色素沈着の原因については、色素沈着の原因一覧をご参照下さい。
肝斑
肝斑は女性の発症率が高く、顔に症状が出やすい色素沈着です。
肝斑の原因は未だ完全には分かっていないものの、肝斑の部位と正常な皮膚の比較をした結果、主に以下の5つ、あるいはその複合要因と考えられています。
- メラノサイト、メラニンの増加
- 日光暴露によるエラスチンの増加
- 日光暴露による細胞の炎症(特にマスト細胞)
- ホルモンの変化
- 血管内皮細胞増殖因子(糖タンパク質)の増加
また、肝斑は別名「妊娠のマスク」と呼ばれる様に、ホルモンの変化も原因と考えられています。
このホルモンの変化は、妊娠以外に、擬似妊娠状態を作り出す経口避妊薬の服用やホルモン補充療法、メラニン生成を刺激する甲状腺疾患、遺伝なども肝斑の原因となることが分かっています。
皮膚科学・サイエンス誌に2007年に寄稿された論文(肝斑の血管特性)によると、「肝斑における血管の数とサイズが色素沈着との間に有意な関係があった。」と報告しており、血管の形成に影響を与える血管内皮増殖因子(VEGF)が肝斑に影響を与える可能性を示唆しています。
また、肝斑は男女比では1:9と圧倒的に女性が多く、20歳~50歳の女性での発症が多いことも特徴です。
肝斑の治療は、肝斑の大きさ、深さによって治療薬が異なるため、肌分析器(ウッドランプ)を用いた皮膚科医での診断を必要とします。
アジソン病
別名「慢性副腎不全」または「副腎機能低下症」とも呼ばれる様に、副腎の機能が低下し、副腎が本来作り出すステロイドホルモンを十分に作り出せないことが原因の病気です。
アジソン病による色素沈着は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が副腎に働く様に指示を出すものの、副腎そのものが機能していないため、ネガティブ・フィードバック(ホルモンの産出を停止するよう指示を出す)が機能せず、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰に生産されるため起こります。
この過剰産出によって作られた前駆体(PMMC)を、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)も利用するため、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰になることは、メラニンも過剰となり、色素沈着につながります。
アジソン病による色素沈着箇所は、身体の様々な部位で発生する可能性があり、手のひら、乳首、関節などの他、傷跡や口腔内(歯茎)などでも色素沈着が発生する場合があります。
国から難病指定されており、専門医での治療を必要とします。
クッシング症候群
アジソン病は「副腎の機能低下」を原因としますが、反対にクッシング症候群は「副腎の機能亢進」を原因とする病気です。
副腎を亢進する原因は、脳下垂体に腫瘍ができ、その腫瘍が常に副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を刺激してしまうケースや、副腎の異常によるコルチゾールの過剰生産、外因性ステロイド薬(糖質コルチコイド)の過剰投与などです。
その結果、アジソン病同様、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰産出により、メラニンの合成が亢進してしまい、色素沈着を引き起こす場合があります。
その他、クッシング症候群では、体重増加が皮膚を薄く伸ばし、毛細血管の拡張や出血を引き起こすことから、赤ら顔、肉割れ(線状皮膚萎縮)が現れることがあります。
肝臓疾患、膵臓疾患
肝臓疾患や膵臓疾患による皮膚変色の原因は「黄疸」です。
黄疸とは、血中ビリルビン濃度が高くなった結果、皮膚が黄色味を帯びる症状です。
黄疸の原因には、肝炎や肝硬変のほか、アルコール性肝疾患、肝臓がん、胆管閉塞、膵頭部癌などでも起こります。
また、出生直後の新生児の肝臓には、このビリルビンを十分に除去する機能が備わっていないため、ビリルビンレベルが少し高くなり、黄疸の症状が出る場合があるものの、通常2週間以内に消えてなくなります。
腎疾患
腎臓病による皮膚の変色は様々な形で現れます。2012年インドで取られた慢性腎臓病患者を対象とした統計によると、99人のうち96名が皮膚疾患を有し、以下の様な結果が出ています。
- 蒼白(血の気がなくなり青ざめる)(45.45%)
- 皮膚の色素沈着(32.3%)
- 紫斑病(10.1%)
- 黄色の皮膚(5.05%)
- 乾燥症(66.7%)
また、末期腎臓疾患による色素沈着は、血漿免疫反応性のβ-メラノサイト刺激ホルモンの増加によるものと考えられています。
甲状腺機能障害
甲状腺機能低下症では、黒色表皮症の多数ある原因の1つであるほか、黄色い肌(カロチン血症)による色素沈着を引き起こします。
このカロチン血症は、黄疸とは異なり、手のひらや足の裏などに症状が現れやすいものの、目には症状が現れません。
また、肌の色を変える要因となる皮膚の乾燥も甲状腺機能低下症の特徴の1つです。
甲状腺機能低下症については、甲状腺機能と目のクマをご参照下さい。
糖尿病
糖尿病あるいは合併症を原因とする皮膚変色、色素沈着は非常に多く、数十種類以上になります。
そのうち、幾つかの代表的な皮膚変色は以下の通りです。
- 先端紅痛症(細動脈の拡張による手の発赤)
- 黒色表皮症(異常な皮膚の肥厚と黒ずみ)
- 強皮症、皮膚肥厚(皮膚が固くなる)
- チアノーゼ(還元ヘモグロビンの増加による青紫)
- 噴火黄色腫症(高トリグリセリドなどによる黄色イボ)
- リポイド類壊死症(血管壁の肥厚、脂肪沈殿など)
- カンジダ・白癬などの真菌感染による紅斑
- 糖尿病水疱(赤黒水ぶくれ)
- 環状肉芽腫(赤色や紫色の突起)
- その他血管障害による色素斑、皮膚潰瘍
原因は悪性と良性に分類され、糖尿病のほかに、インスリン過剰、アンドロゲン過剰、甲状腺機能低下症、ホルモン剤、肥満、ガンなどでも発症します。
吸収不良症候群
吸収不良症候群は腸が十分に栄養を吸収できない疾患の総称です。重症度は病気の内容により異なるものの、必要な栄養を吸収できないことから、幾つかの皮膚変色を有する場合があります。
吸収不良による皮膚色の変化の代表は、ビタミンB12の欠乏、鉄分不足、重度の乾燥肌によるものです。
ビタミンB12の欠乏は、巨赤芽球性貧血の原因となり、赤血球が肥大化し、皮膚に赤みを生じます。
また、鉄分が不足すると、赤血球内の赤色色素を生成することができないため、皮膚は淡く、青白くなることを特徴とするほか、薄い肌から血管が透けて見える場合もあります。
その他、ウィップ病などの場合には、症状として皮膚の黒ずみを発症します。