なんでもかんでも相談 サンプルページ 消炎鎮痛薬の外用剤による光線過敏症とは?2011.04.04 |
相談内容
「プロスタグランジンの生成を抑え、痛みを鎮めます。」という決まり文句で数多くの外皮用消炎鎮痛薬が販売されています。これらの外皮用消炎鎮痛薬の副作用で光線過敏症があると聞きます。どのような点について注意しなければいけませんか?
回答 プロスタグランジンの生成を抑制し、腫れ痛みの症状を抑える薬を非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)といいます。NSAIDsの副作用の一つとして、光線過敏症という副作用が発現する可能性があります。光線過敏症とは、日光などの照射を受けた皮膚に,異常な皮膚反応を起こしてしまう疾患群です。通常,顔面,頚部,上胸部 V 領域,手背などの露光部位に限局して皮疹がみられます。 薬剤性のものを含め多くの光線過敏症は、主に UVA (長波長紫外線:320~400nm)が作用波長です。NSAIDsのうち特にケトプロフィン、ジクロフェナクナトリウム、ピロキシカムは医療用外用剤において重篤な光線過敏症の副作用が報告されており、十分な情報提供が必要です。 |
解説
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)は、炎症の原因物質の一つであるプロスタグランジン※1の生成を抑制することにより炎症を抑制します。同効果のステロイド系抗炎症薬と比較して、効果は穏やかですが、ステロイド薬特有の副作用がないということが特徴です。そのため、NSAIDsは副作用が弱いと思われがちですが、NSAIDs特有の副作用があり、使用方法を誤ると重篤な副作用を発症する危険性もあります。 今回は、外皮用NSAIDsの光線過敏症の副作用について説明していきたいと思います。
※ 1 プロスタグランジン
不飽和脂肪酸を原料として体内で産生される生理活性物質。痛みや発熱等の原因となる1)
1) 一般用医薬品で扱われるNSAIDs
一般用医薬品の外皮用薬で扱われているNSAIDsを表 1 にまとめました。一般用医薬品の外皮用薬としてNSAIDsは、関節痛や筋肉痛などに使われる消炎鎮痛薬や、アトピーやにきびなどに使われる皮膚炎薬に使用されています。
一般的に、消炎鎮痛薬には痛みを抑える鎮痛作用の強い成分が使われ、皮膚炎には腫れを抑える抗炎症作用の強く、皮膚への刺激の弱い成分が使われる傾向にあります。
2) NSAIDsの副作用
・ 光線過敏症
外皮薬共通の副作用の一つに、光線過敏症があります。
すべての外皮用NSAIDsで光線過敏症の副作用の注意は必要ですが、特に、ケトプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ピロキシカムは重篤な副作用が報告されており注意が必要です。ケトプロフェンは、多くの光線過敏症の副作用が報告されており、以前より様々な対策が行われていますが、副作用の症例は減少していません。
表 1 外皮用薬の一般用医薬品で扱われるNSAIDs
| 分類 | 成分名 | 用途 | 代表的な製品 |
|---|---|---|---|
| 1 類 | ジクロフェナクナトリウム | 消炎鎮痛 | ボルタレン AC ゲル、フェイタスZ |
| (2) 類 | ケトプロフェン | 消炎鎮痛 | エパテックAクリーム |
| 2 類 | インドメタシン イブプロフェンピコノール | 消炎鎮痛 皮膚炎 | バンテリンコーワ 1% 液、サロンパスEX ペアアクネクリームW、フレッシングアクネクリーム |
| 3 類 | サリチル酸グリコール | 消炎鎮痛 | サロンパス 30、新ノイガンハップクール |
医薬品医療機器総合機構ホームページより引用
・ 日焼け止め(オキシベンゾン・オクトクリレン)との併用
近年、海外ではケトプロフェンと日焼け止めを併用することにより、光線過敏症が増強され重篤な副作用へ発展する症例が報告されています。これは、日焼け止めに含まれるオキシベンゾンやオクトクリレンという物質とケトプロフェンが共に光線過敏症を発症(交叉感作※ 2)するためです。表 2 にオキシベンゾン・オクトクリレンを含む製品例を示しましたが、この他に多数販売されていますので注意してください。
※ 2 交叉感作
アレルギーの原因物質と、それと類似した化学構造をもった物質が含まれた薬を併用することにより、両者でアレルギー反応が発症し副作用が増強される作用
表 2 オキシベンゾンやオクトクリレンを含んだ代表的な全身用日焼け止め薬の例
| 成分名 | 代表的な製品 |
|---|---|
| オキシベンゾン | キスミーサンキラー シリーズ |
| DHC サンカットQ10 50プラス(スーパー) 30ml | |
| オクトクリレン | アネッサ パーフェクトUV シリーズ |
| シーブリーズ UVカット シリーズ | |
| デクレオール アロマホワイト シリーズ |
3) どう対処するか
外皮用NSAIDsを販売する際には光線過敏症を防止するために以下の情報提供を行ってください。
3-1. 過去に光線過敏症を発症したことがある人には販売してはいけません。
- 過去に外皮用NSAIDsや日焼け止めを使用して、光線過敏症を発症したことがないかチェックしてください。過去に光線過敏症を発症したことのある人は再発する危険性が高いため販売してはいけません。
3-2. 使用部位への紫外線の暴露を回避する。3)
光線過敏症は紫外線の暴露を回避することで防止することができます。使用時には紫外線対策として以下のことを情報提供してください。
- 使用時は、炎天下の作業や屋外スポーツなどで使用部位を直射日光に長時間さらさないよう指導してください。
- やむ得ない場合は、長袖シャツやスラックスなどを着用したり、日焼け止めを使用し、使用部位への紫外線の暴露をなるべく抑えるよう指導してください。
ただし、ケトプロフェンは、オキシベンゾン及びオクトクリレンを含む製品と使用すると交叉感作により副作用が増強される危険性がありますので、これらの成分を含まない製品を選択するよう指導してください。 - 医療用医薬品のチアプロフェン酸(スルガム錠、チオガム錠)を含有する解熱鎮痛薬,スプロフェン(トパルジック軟膏・クリーム、スルプロチン軟膏・クリーム、スレンダム軟膏・スレンダムクリーム)を含有する外用鎮痛消炎薬,フェノフィブラート(リピディルカプセル 67/リピディルカプセル 100、トライコアカプセル 67 mg/トライコアカプセル 100 mg)を含有する高脂血症治療薬にアレルギーのある人は使用しないでください。
- ケトプロフェンは、使用後しばらくしてから光線過敏症を生じた症例が報告されています。使用後約 4 週間も引き続き紫外線への対策を行うよう指導してください。
- 発赤や湿疹、皮膚変色などの異常を認めた場合は、すぐに患部を日光から遮断し使用を中止し皮膚科へ受診するよう指導してください。
4) その他の注意
- 購入した製品を本人以外に使用させないでください。使用後残った薬を、情報提供を受けていない人が使用し副作用が発症する危険性があります。
<アイレドシスノート>
☆ケトプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ピロキシカムは重篤な光線過敏症を発症する危険性がある。特にケトプロフェンは注意。
☆日焼け止め(オキシベンゾン・オクトクリレン)との併用は、交叉感作により重篤な副作用を発症する危険性がある。