2006年 01月 10日

ベルウィックサーガ

タリホー。ハハハ、新年早々放置気味の当サイトだが、これはなぜか手元に『ベルウィックサーガ』などがあるせいだ。プレステ系はザ・ベストと称して以前出たゲームを安く再販するが、そのせいで通常版の中古は良い感じに値崩れでありお買い得。パッケージも通常版の方がデザインいいし。

そんなわけでベルウィック中。これはよく練られていることが分かる、良いゲームだ。そのぶん変更点の影響が大きく、「ティアリングサーガシリーズ」と銘打ってはあるが、前作『ティアリングサーガ』や兄弟ゲーム(?)の『ファイアーエムブレム』と同じ感覚で取り組むとこっぴどい目に遭ってクソゲー呼ばわりするハメになるだろう。

しかし何だ、『天誅』と『忍道』といい『ファイアーエムブレム』と『ティアリングサーガ』といい、ゲーム業界も長くやってると色々あるんだなぁ。……というのはさておき、自分への反省も兼ねて以下にその変更やら感想やらを書いてみよう。……とその前に(前フリ長いな)、エンターブレイン発行の攻略本を買ってきたのだが、なぜか帯が三枚も。(右写真)

誤植は公式サイトで訂正されているが、帯が三枚ついていた場合の対処は載ってない。まあ、俺は本の帯を始末するタイプなので全部ゴミ箱行きだが、三枚もあると不思議にもったいない気がしてしまうから嫌だ。

捨てたけどね。

さあ気を取り直していってみよう。まずはシミュレーションロールプレイングの一方の主役であるストーリーだが、戦時下の大陸で小国の公子リースとなって同盟軍のために東奔西走する、というのを基本とし、その間に街の人々や騎士団のエピソードが挿入されてくる。

個々の任務(ステージ)が戦争全体においてどんな意味を持つのか説明してくれるため、「戦争してる感」は高い。しかし、肝心な「戦争の目的」はいまいち見えてこない。一応、主人公リース君が「みんなのために戦うんだ」みたいな事は言うのだが、その理由は信仰心でありかなり私的な領域の話になっている。

まあ、この辺が「戦後ニッポン的物語」――戦争は無条件で悪であり戦争するような指導者は悪者であり被害者はいつだって無力な一般人――の限界であり、良い王様と有能な家臣団でできた国どうしが死力を尽くして民衆のためにぶつかり合うような物語は望むべくもない。野望達成のために陰謀を巡らせている悪者集団とか、もう飽きたんだけどなぁ。

また、街の人々や騎士団のエピソードも凡庸で、テーマはほぼ男女の恋愛か肉親の情である。戦時下なんだから、もっとこう、祖国愛とか無いのだろうか。まあ、それは戦後ニッポンの病理として許すとしても、エピソードの見せ方が平板にすぎる。戦場から戻ってきた恋人がいる一方でいつまでも帰らない人を待ち続けている者がいる、などの陰影が無く、戦時下とは思えないほど愛に満ちた世界なのである。

目的の定かではない戦争の進行の合間にありふれたテーマが平たい演出で連続……正直、あまり程度が良いとは言えない映像表現と相まって退屈さえ感じる出来映えである。……少しフォローを入れておくと、音楽は雰囲気が出ていて良い。

そんなわけでストーリーは気にせず、シミュレーションパートにどっぷり漬かるのが良いだろう。それこそがこのゲームの華、ストーリーなんて飾りです偉い人にはそれが(以下略)

ではまず、システム面の特徴から。これまでは曖昧だった兵種や人物ごとの特徴づけ、長所と短所がはっきりしている。ステージもそれを見越した構成になっており、各ユニットの長所と短所を見極めた上で出撃メンバーを選ばなければならない。同じ騎兵ユニットでも攻撃的な奴と防御的な奴がいたりするから注意が必要だ。

ユニットの成長も抑制されており、今回は攻撃しただけでは経験値が入らなくなっている。武器や盾の技能は上がるがこれは命中率や防御率が上昇するだけ(と言っても、その命中・防御の確率が肝心なのだが)で、ストレートな「強さ」には結びつかない。延々とボスをつついて序盤でレベルアップ楽々攻略! とかできないので注意が必要だ。

レベルアップが大変なぶんは成長補正なるものが用意されており、各ユニットのパラメーターは最大でも基準値の±3の範囲に収まるようになっている。一応+3を狙ってリセットを繰り返すこともできるが、セーブは5ターンごとであり後のステージになってくると1ターン20分近くかかったりするので、リセットの際には自己責任という言葉がのし掛かってくる。

ちなみに俺にその勇気はない。

このレベルアップと命中率を切り離したシステムは素晴らしい。このテのゲームでレベルアップに拘る最大にして唯一の要因は戦闘を楽にするためだが、いくらレベル(とパラメータ)の高いユニットでも、攻撃が当たらなければ意味がない。

しかし、命中率を上げる手段はほぼ戦闘に限られている。従って戦闘を楽にするには戦闘するしかないという状態、目的と手段の無限ループに陥るのだ。育成マニアなら下手な育成ゲーよりハマる危険性があるので注意が必要だ。

一応、技能上げのために固い敵をダメージがいかない武器で延々とつつく事も可能だが、今作は軍資金の運用が非情(間違いではない)にシビアであり、安い武器とはいえ大量に消費してしまうと後々困ったことになりがちである。この行き止まりの作り方も上手い。

そして同時ターン制である。同時ターン制では敵味方が入り乱れて動き、敵の行動順も特に決まってはいないため、交互ターン制で基本となる「味方1、2、3で敵1を撃破すれば敵2と3の攻撃には耐えられるから次のターンで全滅させられる」というようなパターンが通用しなくなっている。そうやってるとバタバタ死ぬかターン制限でゲームオーバーになるので注意が必要だ。

これについては、端的に言うのが難しい。プレイヤーに戦略的思考が求められると言うか、どのステージ内にも概ね2、3の状況があり、その優先順位を見極めた上で行動計画を立てないとならないのである。

この計画立案とそれに見合ったユニットの選択、そして実行という流れの面白さこそ、本作が目指したものだろう。全滅・ターンオーバーによるやり直し前提というネガティブな面はあるが、それを補ってなお余りある。前半で書き連ねたようなユニットの「駒」としての限定はこのためにあったのだ。

いやはや、「戦略を楽しむ」という明確なコンセプトといい、それを実現するゲームデザインといい、それらを根底で支えるシステムの作り込み具合といい、シリーズの極致点と言っても過言ではない。

そして、それら全てを根底からひっくり返す「捕縛プレイ」――

長々と書いてきたが、これもベルウィックの出来がよく、俺がこのゲームをとても気に入ったからだと解釈してくれ。キーボードに慣れるためではないぞ。
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