普及進むインスリンポンプ
きめ細かい注入量の調整で血糖管理が容易に
(日経メディカルより)


 米国では1型糖尿病患者の約3割が受けている、持続皮下インスリン注入(CSII)
療法。今年4月の診療報酬改定で点数が引き上げられたのを機に、国内でも導入する
施設が増えつつある。 「間歇注入シリンジポンプ加算」の算定が可能な機器は複数
あるが、微量なインスリン量の調節ができるパラダイムインスリンポンプ722が最も
多く使われている。
 「診療報酬改定のあった4月以降、CSII療法に取り組む施設が全国的に増えている」
と話すのは山梨大第三内科教授の小林哲郎氏だ。
 CSII療法とは、腹部や臀部などの皮下に針を留置し、携帯型のポンプから
インスリンを持続注入する治療法。あらかじめ設定したプログラムにより、
インスリンの注入量を細かく調節できるのが特徴だ。厳格な血糖管理が必要とされる
1型糖尿病患者や妊婦、血糖コントロールが困難な2型糖尿病患者などが主な対象と
なる。
 今年4月の診療報酬改定では、インスリンポンプを用いた際の在宅自己注射指導
管理料が820点から1230点に引き上げられた。また、1日に24種類以上の設定が可能
なインスリンポンプを使用した場合の「間歇注入シリンジポンプ加算」が新設され、
従来の1500点を大きく上回る2500点が付いた。そのため、CSII療法の普及が
進みつつある。

重篤な低・高血糖が防げる
 CSII療法でのインスリンの注入方法は、1日の注入量を細かく設定する基礎注入と、
食事に合わせて行う追加注入の2つからなる。
 基礎注入するインスリンの量は、事前に持続グルコースモニタリング(CGM)を
3日間装着し、組織間質液中の糖濃度を1~5分間隔で持続的に測定して決定する。
これをインスリンポンプに設定すると、24時間継続的に自動注入される。追加注入は、
食事内容に合わせて食前にポンプを操作して行う。
基礎インスリン注入量を患者に合わせて事前にプログラミングし、生理的な必要量に
応じて投与する。プログラムの変更も可能だ。食事の際にはポンプを操作し、食事の
量や質、時間帯に応じて追加注入量を決める。急な運動や間食に応じたインスリンの
増減も容易にできる。
 国内で多く使われている日本メドトロニック社の「パラダイムインスリンポンプ722」
の場合、基礎注入では30分ごとに0.05単位/時の刻みで、追加注入では0.1単位
刻みでインスリンの量を設定できる。
 CSII療法では、プログラムした量のインスリンが継続的に注入されるため、
「頻回インスリン注射(MDI)療法で血糖管理が難しい患者でも、重篤な低血糖や
高血糖が起きる頻度を減らすことができる」と小林氏は言う。特に、これまでMDI
療法では管理しにくいとされていた「明け方に血糖値が上昇する『暁現象』や、
夜半の低血糖による反跳現象で早朝に高血糖を来す『ソモジー効果』が予防できる」
と兵庫医大先進糖尿病治療学特任准教授の浜口朋也氏。血糖値の日内変動が大きい
患者でも高い効果が得られる。
1型糖尿病の50歳女性。MDI療法からCSII療法へ切り替えたところ、血糖値の変動が
少なくなった。BMIは21.4、尿中CPRは検出感度以下。
 またMDI療法では、急な運動を行う場合や食事時間が遅れたときなどに、補食や
ペン型インスリン注射器を用いた追加注入などの調整が要る。だがCSII療法では、
機器を操作するだけで一時的に基礎注入量を減らしたり、追加することができる。
 そのほかにも、針の交換が3日に1度で済み、患者が人前で注射器を出す煩わしさ
がないなどの利点があり、「食事や生活の幅が広がる」と小林氏は言う。

患者負担は月2万円と高額
 CSII療法には多くの長所がある半面、治療コストが高く、米国に比べて国内での
普及は遅れている。使用されるインスリンポンプは35万~50万円と高額なため、
医療機関や機器レンタル会社が購入し、患者に貸し出す形で使われていることが多い。
実際に患者が負担する費用は、「診療に掛かるその他の費用を含めると、成人の1型
糖尿病患者では月に2万円前後となる。MDI療法よりも約8000円高い」と小林氏は
言う。
 コスト以外の問題点として、針を3日間留置することで、刺入部からの二次感染や
色素沈着が起きたり、脂肪組織が変性して硬くなる可能性がある。「針を刺す位置を
変えても、刺した部分に炎症が起こり、傷痕が色素沈着することがある」と
東京女子医大糖尿病センターセンター長の内潟安子氏は指摘する。
 また、CSII療法を始めた直後の患者では、「開始してから6カ月間は機器の使い方に
慣れず、トラブルを生じることが少なくない」と小林氏。そのため、医師は機器が
故障したときの対応や、体調不良時の調整法などを丁寧に指導しなければならない。
導入後は、「インスリンがプログラム通りに注入されているかを確認するためにも、
毎日食前や食後、寝る前など、1日4~6回の血糖測定が付帯すると患者に説明すべき」
と内潟氏は言う。
 とはいえ、「患者が治療に積極的で、食事による血糖の変動を正しく理解していれば、
とても良い治療の選択肢だ」と内潟氏。小林氏も「糖尿病専門医が少ない米国でも、
1型糖尿病患者の3割が受けている治療法だ。コストなどの問題点はあるものの、
国内でも普及が進む可能性は高い」と期待を寄せる。
 小林氏は、CSII療法の更なる普及を目的に、日本先進糖尿病治療研究会で診療
ガイドラインを作成している。「今後、導入施設が増えれば、皮膚にポンプを貼り付け
て直接インスリンを注入する『パッチポンプ』など、欧米で既に実用化されている
高機能なポンプが国内でも使えるようになるのではないか」と話している。
















持続皮下インスリン注入(CSII)療法が保険で治療することが出来るようになり

普及が進んでいるという話題です。

従来の頻回インスリン注射(MDI)治療で血糖コントロールが困難な場合が

持続皮下インスリン注入治療の適応となります。

頻回インスリン注射治療と決定的に異なるのは、生理的な体内インスリン分泌に

合わせてインスリンを皮下に持続注射していることです。

微量のインスリンを持続注入することで個々の患者さんに応じたインスリン投与

パターンを組むことが出来ます。

血糖調節以外の利点としては、人前で注射器を出す煩わしさや気遣いから

解放される事です。

逆に欠点もいくつかあります。

針を長時間留置することで、皮膚感染や色素沈着することがあります。

インスリンは自動で体内に入っても、自己血糖測定は1日4~6回と頻回にする

必要があります。限られた病院でしか治療できません。

現在の体外ポンプはサイズが大きく携帯電話並みの重さがと大きさがあるので

着替える時や入浴時に邪魔になります。

欠点はあっても血糖コントロールが不良な患者さんには非常に有効な治療法ですので

普及してほしいと思います。クリニックなどの外来ででも導入できるようになる日も

いつか来るでしょう。

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