砒素(ひそ)中毒

砒素(ひそ)arsenic

窒素系元素のひとつ
雄黄、鶏冠石、硫ひ鉄鉱として存在
合金添加剤として用いられる 
銅に少量まぜると耐熱性がます
鉛に加えると硬さをます
ガラス製造、防腐剤、農薬、半導体、レンズなどに使用される

原因

三酸化砒素(亜砒酸)による中毒が多い。
単体の砒素は毒性が低い。
急性中毒:*食物やビールへの混入による。
*自殺目的や犯罪の場合が多い。
   
慢性中毒:
*鉱山の近くの地下水の飲用による。

*金属(銅・鉛・亜鉛などに砒素がふくまれている)の精錬の際に砒素の粉塵が発生するが、これの吸入による。

胃腸や肺から吸収される。
排泄は速やかであるが、毛髪や爪には何年ものこる。

症状

急性中毒:亜砒酸を大量に経口的にとると数時間後に症状がでてくる。胃痙攣、ニンニク臭、嘔吐、コレラ様下痢、嚥下困難、咽頭食道胃の灼熱感、めまい、ーーー>頻脈、循環障害、脱水、痙攣、末梢神経麻痺、ーーー> 虚脱、血圧低下ーーー>死亡
危機を脱したときは10日から3週間後に四肢のしびれ感・知覚鈍麻があらわれる。に白い横しまがあらわれることがある。

慢性中毒:脱力、食思不振、嘔吐上気道粘膜の刺激、鼻中隔穿孔、メラニン沈着、皮膚角化末梢性ニュウロパチー

接触すると:皮膚炎、結膜炎、口内炎などを引き起こす。肺癌・皮膚癌を生ずることがある。

アルシン(砒化水素)の場合(気体)
強い溶血性がある。
黄疸、貧血、無尿

検査

血液・尿・毛髪などからの原因物質の検出
原因物質の尿中代謝産物の検出

治療

胃洗浄
塩類下剤の投与
腹痛にはモルヒネを投与
BAL5mg/kg/4時間を24時間続ける
輸液
呼吸管理
人工透析

いたみ・しびれに対して
カルパマゼピン(テグレトール)200-400mg/日 内服
ブロマゼパム(レキソタン)6-15mg/日 内服
アミトリプチリン塩酸塩(トリブタノール)30-150mg/日

神経線維再生促進
メコバラミン(メチコバール)1500r
ニコチン酸トコフェロール3カプセル/日

アジ化ナトリウム中毒(Sodium Azide)

アジ化ナトリウムとは何ですか?

ナトリウムアジドに亜酸化窒素を通して作る。
無色無臭
六角形の結晶
加熱すると爆発する事がある。

どんな用途がありますか?

エア バッグのガス発生
爆弾の信管
抗生物質の原料
木材の防腐剤
検査室での使用

どんな経路をとりますか?

口から(経口摂取)
吸入
皮膚から

どんな症状がありますか?

急性中毒(経口摂取の場合)
めまい、吐き気、血圧低下、腹痛、発汗、息切れ、流涙、頭痛、鼻・気管の刺激、低体温、筋力減退、不整脈、肺浮腫、瞳孔散大、呼吸不全痙攣、昏睡、死亡

急性中毒(吸入の場合)
咳、頭痛、鼻ずまリ、かすみ目、息切れ、意識喪失、血圧低下、脈拍は増加または減少肺浮腫、虚脱

皮膚:発赤、水泡

眼:発赤、痛み

慢性中毒
鼻つまり血圧低下めまい、気管支炎

どんな検査に変化がありますか?

白血球増多
代謝性アシドーシス

これの致死量はどのくらいですか?

100-200mgの服用で頭痛・呼吸障害・下痢などの症状が出てきます。
1.2g-2gの服用で死亡した例とやっと助かった例がありますから、致死量はこの辺でしょう。
10-20gの服用では確実に死にます。

治療にはどんなものがありますか?

*吐かせる、または胃洗浄
*木炭を懸濁液にして、水か塩類下剤かソルビトールと一緒に服用する。
  木炭の量は大人で30-100g
                     子供で15-30gを目安とする。
*下剤の使用は慎重にする。
  腸閉塞を起こしているおそれガあります。
*発作がおきたら、随時下記の薬を使用する。
  ジアゼパム
  フェニトイン
  フェノバルビタール 
*低血圧にたいして
  補液
  ドパミン
  ノルエピネフリン
*肺浮腫(24-72時間後に生じる)にたいして 
  人工呼吸
  酸素吸入
  ステロイド剤
*高圧酸素療法
*その他対症療法

応急処置はどうすればいいですか?
 
経口摂取の場合
口をすぐにすすぐ
安静にして病院ヘ運ぶ

皮膚の場合
シャワーで石鹸を使って洗い流す。

眼の場合
多量の水で洗い流す。

トリカブト中毒

トリカブト中毒は一時世間を騒がせました。このトリカブトに含まれている毒は猛毒で、フグ毒に次ぐともいわれております。薬草と間違えて服用しないためにも、トリカブトについて一般的なことをおさらいしてみましょう。

トリカブトってなんですか?

トリカブト(aconite)はキンポウゲ科の多年草です。
トリカブト属に入っており、世界には300種類ほどあります。
日本では30種位です。

本邦では平地から山間部まで広く自生しており、ヤマトリカブト・ホソバトリカブト・タンナトリカブトが主なものです。

トリカブトはマルハナバチと共生関係にあります。
昔は矢毒として使われたこともあります。

トリカブト

葉は葉状に五裂に分かれております。
花は茎の上に散房状についております。
左右対称に青紫色を呈します。
形が鳥帽子に似ております。(それで鳥兜の名がついております)。
根は附子(ぶし)・烏頭(うず)ともいいます。毒性が一番強いところです。

高さは80-150cm位になります。

トリカブトにはどんな毒物が含まれておりますか?

トリカブトには猛毒のアルカロイドーー アコニチン(aconitine)が含まれております。

aconitine    C3447NO11

アコニットアルカロイドの一つです。
ジテルペン系の構造を持っております。
激しい神経麻痺作用を持っております。

致死量はどのくらいですか?

アコニチンの致死量ー→2mg
 
トルカブトの葉の致死量ー→1g

部位による毒性の強さ
  
根>花>葉>茎

トリカブト中毒の症状はどんなのがありますか?

初期症状

のぼせ、顔面紅潮めまいしびれ感(口唇や舌)心悸亢進胸(心臓部)の灼熱感、さらに中毒症状が進むと、流涎言語不明瞭悪心・嘔吐冷感腹痛・下痢

末期症状

チアノーゼ瞳孔散大体温低下血圧低下不整脈呼吸麻痺

トリカブト中毒の治療はどうしますか?

あ)、胃洗浄

い)、吸着剤・下剤の投与吸着剤ーー活性炭

う)、呼吸管理ーー酸素吸入

え)、循環系・不整脈治療
   徐脈・房室ブロックーー硫酸アトロピン 1mg 静注

   心室性不整脈ーーキシロカイン1mg/kg   静注
   アミサリン・メキシチール・アレビアチンなどを随時使用する。

漢方薬にも使われてますか?

加熱や石灰で減毒したものを「ほう附子」といいます。

附子(ぶし)は烏頭(うず)・天雄ともよばれ漢方薬の配合剤として使われます。

漢方薬では麻黄附子細辛湯などにつかわれております。

附子(ブシ)はどんなのに効果がありますか?

附子はカラトリカブト(中国産)・オクトリカブト(日本産)の塊根を使用します。

aconitineの猛毒アルカロイドを分解して用いられます。

附子の効果にはつぎのものがあります。

鎮痛・強心・利尿
新陳代謝機能の衰弱の改善
体温・血圧低下の改善
冷えと虚脱を改善

次の病気に利用されます。

神経痛・リウマチ激しい下痢感冒

どんな植物と間違われますか?

ヨモギ、ニリンソウ、ゲンノショウコ、モミジガサ