白癬菌を顕微鏡で拡大すると、右記【写真 画像.Ⅰ】のように細長い糸のような形状に見えることから皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)とも呼びますが、白癬菌とは簡単に言ってしまえば〝皮膚に寄生したカビ〟のことです。
この白癬菌というカビは身体のありとあらゆる部位に寄生しますが、寄生した場所によって病名が変わってきます。
そのため、意外と知られていませんが、足白癬(いわゆる水虫)も股部白癬も、ともに同じ真菌が原因で発症している疾患なのです。
白癬菌は他のカビと同様、ジメジメした環境を好むため、水虫に感染している方の約9割は足回り(足の指・股(指と指の間))に発症しますが、股部も比較的蒸れやすく、全水虫患者の5%程度の方が股部白癬患者だといわれています。
股部白癬は、主に性器周辺部である股の付け根(場合によってはお尻・ももにも感染します)の皮膚から発症しやすく、痒みを伴う(体温が上がり患部が熱を持つと痒みが増す方も多い)のが大きな特徴です。
※ 陰嚢(いんのう)は皮膚の角質層が薄いため白癬菌は感染しにくいと考えられています。したがって、陰嚢だけが激しい痒みをもっている場合は、いんきんたむし以外の疾患を疑ってみる必要もあるでしょう。
股部白癬に感染すると右記【写真 画像】のように、赤くポツポツとした発疹や水泡が現れ、その症状が徐々に円形状に広がりをみせ縁が盛り上がっていき、症状によっては周辺部の皮が剥けることもあります。
また、股部白癬に感染している方は足に水虫が発症していることも多いといった特徴がみられます。
股部白癬は自宅で飼っているペット(犬・猫など)などから感染することもなくはありませんが、その主な感染経路は〝人から人〟によるものがほとんどで、不特定多数の人が利用する公共施設などが主な感染経路として考えられます。
また、先にも軽く触れましたが、股部白癬患者は足白癬(いわゆる水虫)に感染している方も多く、自分の足水虫に触れた手を介して陰部に感染している方も少なくありません。
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従来、股部白癬は若い男性(20~30代)を中心に発症する病気であるといわれてきたため、性器の痒みやただれを感じた女性の多くは、性器カンジタ症などの別の病気であると思い込みがちですが、股部白癬は老若男女問わず感染します。
そのため、たとえ女性であっても股部に白癬菌が寄生していれば、それは股部白癬(いんきんたむし)に感染していることになります。
※ 女性特有(稀に男性にも発症します)の性器カンジタ症も、白癬とおなじく真菌(カビ)の一種が原因で発症する疾患ですが、性器カンジタ症の原因菌は〝カンジタ・アルビカンス菌〟です。
近年はパンストやレギンス(スパッツ)などの衣類を長時間履き続けている女性も増えており、陰部が蒸れやすくなっているので股部白癬を発症する女性は増えているといわれています。
爪や頭部に感染した水虫は別として、他の部位に発症した水虫であれば、基本的に外用薬を使った治療が中心となります。
※ 股周辺部は角質の厚い足に比べ皮膚の薄い部位なので、早期治療を行えば比較的完治も早いといわれています。
そのため、あなたの股部の疾患が股部白癬ならば、最近は作用の強い水虫薬(第一三共ヘルスケアの『ピロエース』やノバルティスファーマの『ラミシール』など)も市販されているので自己治療も可能です。
※ 一般的に液状やパウダータイプのものよりも、クリームや軟膏系の治療薬の方が効き目があるとされています(ただし、べたつき感は強い)。
ちなみに、現在、白癬菌は数十の種類が確認されていますが、日本人は〝トリコフィトン ルブルム(紅色白癬菌)〟と〝トリコフィトン メンタグロフィテス(毛瘡白癬菌)〟と呼ばれる2種類の真菌に感染している方が大多数を占めます。
白癬菌治療には、主に抗真菌剤が用いられますが、真菌の種類によって薬剤の効果が大きく変わってくるというものでもないので、市販の治療薬を利用する際、真菌の種類まで特に意識する必要はないでしょう。
一方、医療機関においても股部白癬に対しては、基本、外用薬による治療(場合によっては紫外線治療なども併用されています)が試みられますが、医療機関では、個々の症状に最適な抗真菌剤が使用されるので市販薬よりも完治は早いようです。
※ 難治性の疾患に対しては飲み薬(内服治療薬は市販されていません)で治療を試みることもあります。
また、白癬菌は死滅させることが治療を行う上での重要ポイントなので、痒みが治まったからといってすぐに治療を止めるのではなく、数ヶ月間(2~4ヶ月程度)は継続して治療し続けることが大切です。
※ 治療を止めるその時期の判断が素人目では難しいので、できれば専門医に診てもらいながら治療を続けた方が賢い選択かもしれません。(皮膚科では感染していると思われる患部の皮膚を採取し、顕微鏡で検査することで白癬菌の確認をします)
| 水虫と間違えやすい皮膚病とは… 水虫では?と疑いのある患部に白癬菌が寄生していなければ、それは水虫ではありません。 実は専門医でも目視だけでは水虫かどうかの判断がつかないこともあるのです。 そのため皮膚科等の医療機関では、感染していると思われる患部の組織(皮膚)を採取し、顕微鏡で検査することで白癬菌の有無をチェックしています。 最近はスイッチOTCと呼ばれる効き目の強い治療薬も市販(ラミシール/ピロエース等)されており、誤った治療を行っていると、場合によっては症状が悪化してしまう恐れもあるので、できれば自己判断で水虫治療を始める前に、一度、皮膚科等で診てもらうことをおススメします。
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