執筆:南部 洋子(助産師、看護師、タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社 とらうべ
「爪の黒い線」が気になっているという人はいませんか?
もっともこの黒い線、急に出るというわけではないので、あまり気にならない、気にしていない人もいるでしょう。
しかし、爪の色やツヤは健康のバロメーターといわれており、爪の黒い線も、健康上の問題を示している可能性があります。
この記事では、爪の黒い線がでる理由や対処法について説明します。
改めて知る、爪の役割
爪は皮膚のいちばん上にある、「角質」部分が変化して硬くなったもので、手足の指先を保護する役割を担っています。
また、爪は指の腹に力がかかるのを支えています。ですから、爪がないと小さなものをつまむこともできませんし。さらに、爪は感覚が敏感なので、細かい作業をすることも可能です。
成分は繊維状のタンパク質「ケラチン」からできています。
成人では、大体1日に0.1mmくらいずつ、乳幼児では0.07~0.08mm伸びます。
爪の伸びについては、その速さがピークに達するのは20歳ころです。その後は、加齢につれて速度も遅くなりますし、爪に厚みも出てきます。手より足のほうが爪に厚みがあり、成長の速度も遅いようです。
また一般的には、冬より夏のほうが伸びは早いです。
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「爪の黒い線」の原因は?
若い年代、主に10代後半ころまでにできる黒い線は、色素沈着によるものだとみなされます。メラニン色素が爪に増加して発生します。
ほくろと同じように考えられますので、病気とは違いますから、心配はいらないでしょう。
この場合は爪に黒い線が一本ハッキリと出ます。
しかし、病気のケースもあるのです。とくに、爪の根元部分に出る黒い線の形や大きさや変わってくるときは、悪性である可能性が高いです。
また、黒くなっている部分の境界線をよく見ましょう。
たとえば境界線がぼやけていたり、色素が染み出ているように見えたら、悪性の可能性があります。すぐ受診をするようにしてください。
メラノーマ(皮膚がんの一種)
メラノーマとは悪性黒色腫というもので、皮膚のメラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)が「がん化」した腫瘍です。早期発見、早期治療が非常に重要です。
できやすい部位などにより、いくつかのタイプがあります。
- 1. 足の裏や手のひら、爪部に発生しやすく、日本人に最も多いタイプ。全体の約30%が該当します。
- 2. 胸、背中、腹など、手足のつけ根や身体の中心部分に発生。白人と日本人のうち肌の白い人に多いタイプ
- 3. 部位に関わらず、結節(けっせつ:ふし)のようながん細胞の固まりが大きくなっていくタイプ
- 4. 高齢者の顔に発生しやすい。不規則な形のシミが徐々に大きくなっていくタイプ
<メラノーマの爪>
メラノーマの場合、爪に黒い線が出ますが、だんだん帯状に広がっていき、爪全体が灰色に黒っぽく変色していきます。
境界線がボヤケていたり、黒い色素が染み出ているように見えるのも特徴です。黒い線がだんだん太くなる、濃くなるという場合は、すぐに皮膚科を受診しましょう。
アジソン病
もうひとつ、爪に黒い線ができる病気に「アジソン病」があります。これは、ホルモンの異常から起きるものです。
アジソン病とは、先天的または後天的に副腎皮質の機能不全がおき、低血圧(※)、全身倦怠感、胃腸症状、色素沈着などの症状がでます。
(※血圧の正常値については、Mocosuku運営姉妹サイト血圧正常値.topで詳しく説明していますので、参考になさってください)
副腎は両方の腎臓それぞれの上に左右2つあります。この両側の副腎が、副腎結核やがんの副腎転移などによって90%以上そこなわれると、アジソン病になるとされています。
特徴的な症状としては、全身の皮膚が黒くなり、重症化すると全身が真っ黒になってしまいます。
また、アジソン病には先天性のものもあります。
<アジソン病の爪>
爪の黒い線は、手ばかりではなく足爪にもでて、1本の爪に何本もの黒い線ができることさえ起こります。
黒化はゆっくりと進むため、目に留まる割には気がつかないことが多いことも特徴的です。
その他
<老化・ストレス>
爪の黒線が薄く、どちらかといえば茶色っぽい場合は、良性の色素沈着であることがほとんどです。茶色い線の太さが何ヶ月、何年たっても変化していない場合も心配ありません。
正式名称は爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)と言います。
線が入る原因は、栄養の偏りや、ストレス、薬の副作用などの、生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れによって、爪を作り出す爪母の部分に異常が起こり、茶・黒の色素沈着が起こり、爪が伸びるのに伴って、直線状の色素沈着が次第に爪先へと移動し、黒い線になります。
できてしまった線を消すことはできませんが、原因となってしまった生活習慣を改善し、ストレスを溜めないように心がけて、保湿をしっかり行っていくことで、新しく生えてくる爪は綺麗な状態に変えていくことができます。
<血豆・爪下血腫>
爪の先に、細く短い線が出ている場合は、爪の中にできた血豆が原因です。血豆はぶつけたり、強くはさんだりしたことにより、爪の先に圧がかかって出血したものです。
この場合も、できてしまっている線は消すことはできません。痛みがない場合は、1か月ほどで自然治癒します。
出血が多い場合は、皮膚科で血を抜く治療を行うと良いでしょう。
まとめ
- ・10代後半までの爪の黒い線は、ほくろと同じで、心配ない
- ・メラノーマやアジソン病という病気の兆候かもしれない
- ・メラノーマの爪の黒い線の特徴は、境界線がぼやけて、帯状に広がって、黒い色素が染み出ているように見える
- ・メラノーマの爪の黒い線はだんだん太く、濃くなっていく
- ・アジソン病は、手だけでなく足に出る
- ・1本の爪に何本もの黒い線ができることもある
- ・薄い黒い線の場合は、生活習慣や加齢によるものなので、心配ない
- ・爪の先に細く短い線が出ている場合も、爪の中の血豆のため、心配ない
- ・爪の黒い線を根本的に消す方法はない
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師 株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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