古城「シャトー・ミラヴァル」とワイン「ミラヴァル・ロゼ」
2014年8月、ハリウッドスターのブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが結婚式を挙げた。
その会場は南フランス、コランス村にある17世紀に建てられた古城「シャトー・ミラヴァル」で行われた。
コランス村の存在は、古城「シャトー・ミラヴァル」がある村として、そしてブラッド・ピット夫妻の式でサーブされたロゼ「ミラヴァル・ロゼ」の生産地として、突然世界中に注目された。
しかしこの挙式のニュース以前から、コランス村の大胆な取り組みが注目されたいた。
今回は日本ではあまり知られていない南フランスにあるコランス村の「村を丸ごとオーガニックにする」というスローガンやブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーのワイナリーについてお伝えする。
芸術家やセレブたちを魅了する南フランス
昔から南フランスはハリウッドスター、世界中のセレブや芸術家を魅了し、故に別荘を持ち、アトリエを構えた。
南フランスは地中海性気候なので乾燥する夏季には長期休暇(ヴァカンス)を過ごしに、世界中から外国人観光客やフランス人をはじめ太陽に恵まれない地域からビーチや夏を満喫しに訪れる。
ホテルのクラスも民宿のような所から超高級ホテルまで様々ある。
ニース海岸(コートダジュール)
映画監督や作家にも人気のある南フランスだが、多くの画家、ルノアールなどの印象派、そしてマチス、シャガール、ゴッホなども南フランスの光を求め制作活動に励んだ。
セザンヌが好んで描いた山、サント·ヴィクトワール山(Montagne Sainte-Victoire)も南仏にある。ちなみにこの風景をテーマにセザンヌは多くの作品を作り、現在でも油画44点と水彩画43点も残っている。
そして南フランスは2000年以上の歴史的にも古い地域で、フランスの財産ともいえる有名な世界遺産が少なくとも5箇所ある。
紀元前25年ごろ建造された古代ローマ時代の建築物、紀元前1世紀に建てらた水道橋、中世ゴシック様式建築物のなかでは最大級を誇るアヴィニョンの建築など、歴史上重要なものばかりだ。
- オランジュのローマ劇場とその周辺及び「凱旋門」
- アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群
- ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋)
- アヴィニョン歴史地区:教皇庁、大司教座総体およびアヴィニョン橋
- フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路
夜間にライトアップされたポン・デュ・ガール Author: hamon jp Date: June 2010
「シャトー・ミラヴァル」敷地内ワイナリーで作られた「ミラヴァル・ロゼ」
さて、はじめの話に戻るが、2014年8月、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが結婚式を挙げた。
南フランスにあるコランス村産「シャトー・ミラヴァル」は17世紀に建てられた古城で、敷地面積400万㎡内にブドウ園や20箇所以上の噴水、プールなどありブラッド・ピット夫妻が購入した。
敷地内にブドウ園があり、そこで栽培されたブドウで作られたワインが「ミラヴァル・ロゼ」。
2013年に初リリースとなった2012年ヴィンテージの「ミラヴァル・ロゼ」は、ハリウッドセレブ夫妻が手掛けるワインとあって、初回ウエブ販売の6000本は5時間であっという間に完売したという。
米国「ワインスペクテーター誌」の「2013年間トップ100」にロゼワインとして唯一ランクインし、実質「世界No.1ロゼ」という栄誉に輝いた。
二人が生産に関わっている「ミラヴァル・ロゼ」は南仏プロヴァンス地方のコランス村で製造され、南仏屈指の5つ星の生産者によって作られている。
約150エーカーのぶどう畑は、完全無農薬有機栽培で管理されている。
コランス村の気候は、昼と夜の寒暖差が激しい海洋性気候で、「ミラヴァル・ロゼ」の畑はテラス状に作られ標高350mに位置する。
寒暖差が大きいのでフレッシュでバランスのよいブドウができ、粘土質と石灰岩が入り混じった土壌は保水性と水はけのバランスが良くブドウの栽培に適している。
畑にはサンソー、グルナッシュ、シラー、ロールという4種類のブドウが植えられている。
「ミラヴァル・ロゼ」は決して高級ワインではないが、値段と比べて美味しい。
今後の収穫といかに質の高い味に挑戦していけるか、期待されている。
南仏コランス村の戦略「村を丸ごとオーガニック化にする」
コランス村は若い世代の深刻な過疎化が続いていたが、1995年に「村を丸ごとオーガニックにする」という取り組みを始め、村外からの若者を惹きつけ人口が回復している。
農業、建築のあり方も含め、丸ごとオーガニックにするという大胆な発想が話題を呼び、オーガニックという若い人の興味が上手にマッチした世界でも珍しい成功の例とも言える。
村の耕地の約95パーセントがブドウ畑で”無農薬有機農法”で育てられている。
そしてオーガニック化に伴い、アレルギー対策など子供たちの健康面に配慮し、真っ先に学校給食のほとんどの食材がオーガニック食材に変更したという。
この「村を丸ごとオーガニックにする」という村の方針が成功し、フランス一番のオーガニック村として認識されるようになった。
試行錯誤の中今では、虫除けにはハーブなどのミネラル成分を利用し、雑草を抜くために馬が畑を耕すことで、同時に馬糞が堆肥になるなどの工夫が行われている。
村の経済を支えている果実、野菜、蜂蜜、鶏肉、山羊等、それらは全てオーガニック栽培で1990年代より取り組まれている。
コランス村の環境保護への取り組みは、公共建設においても環境保護に重点を置き、学校、公共施設の食堂ではオーガニックな食事や、時には完全菜食の食事を提供させ、普及にも務めているという。
さらに農産物のみならず、村内の建物の新築・改築には、南仏に残る漆喰などの従来の建材と伝統的な技術などを用い、新建材や化学薬品は使わない「エコロジー建築」を推奨し、2000年の村役場改修時にもエコロジー建築を採用した。
まとめ
南フランスというとのんびりとした雰囲気のバケーションの場所というイメージがあるが、ご紹介したコランス村の取り組み「村を丸ごとオーガニックにする」は大胆で革新的だ。
よってオーガニックという若い世代の興味がマッチし、若者が移り住むようになり村が活性化された。
これはハリウッドスターの功績ではない。
こうした発想力と実行力も南フランスの財産の一つだ。
(第7研究室)