急に感じる頭痛や、ひどい倦怠感。意味も無くイライラしてしまったり、頭が回らなくなってしまったり。
仕事をするのもつらくて、とてもダイエットする気力も湧いてこないでしょう。
それでも痩せるために、無理して運動をしようとしてしまうかもしれません。
でも、それはとても危険な行為です。
この記事では、生理中の貧血状態でダイエットすることの危険性と、それを改善する方法として、食事療法で何とかするのではなく、薬やサプリメントから鉄分を摂取するべき2つの根拠について紹介します。
体から鉄分を失ってしまう3つの理由
ヒトの体から鉄分が失われる理由として次の3点があります。
①は月経による理由。②、③は運動による理由です。
①経血による排出
周期的に始まる生理によって、平均18 mg もの鉄分が体内から排出されてしまいます。
さらに失った血液を作るために、また鉄分を必要とします。
②発汗による排出
ヒトは普段の生活の中でも汗をかいて体温調節をしています。
特に運動をすると発汗量は増大し、1日1 mg の鉄分が失われてしまいます。
③赤血球の破壊による排出
スポーツ性貧血という貧血があります。
これは運動することによって特に足の裏の血管中の赤血球が破壊されることによって起こる貧血です。
破壊された赤血球中のヘモグロビンは腎臓によって回収されますが、運動をしすぎると回収が間に合わず尿中に鉄分が排出されてしまいます。
では鉄分が不足して貧血になると、どんな症状が現れるのでしょうか。
鉄分不足より貧血が起こる原因と2つの能力低下
貧血とは血液中のヘモグロビン濃度が基準値以下にまで低下してしまった状態を言います。
ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で酸素を肺で吸収し、体の隅々にまで運搬するという大切な役割があります。
貧血状態では、酸素の運搬輸送が不十分になり、各組織は酸素不足になってしまいます。
ヘモグロビンは鉄分を使って作られているため、体内の鉄分が不足するとヘモグロビンを作ることができなくなり、鉄欠乏性貧血と呼ばれる貧血症状を引き起こします。
これにより次の2つの能力低下が起こります。
①脳に酸素が行き渡らなくなることで認知機能や計算能力の低下
②筋肉に酸素が行き渡らなくなることで運動機能や代謝の低下
そして糖からエネルギーを産生するための重要なタンパク質であるチトクロームやコハク酸還元酵素も貧血状態では減少してしまいます。
このような問題により、今までできたことができなくなるため精神的にも大きなストレスが生じることになります。
恐ろしいことに妊娠時や幼児期の鉄分不足は知的能力の発達にも影響を及ぼすとされています。
このように体の中で重要な役割を持つ鉄分ですが、ヒトの体内にある鉄分の総量はどのくらいなのでしょうか。
フェリニチンと呼ばれる貯蔵鉄
ヒトは体内にフェリニチンという形で鉄を貯蔵しています。
その量は成人女性で160~800 mg 程度です。
こう聞くと十分な量の鉄分が体内にあると感じるかもしれませんが、もちろんこの全ての鉄分を血液のためだけに使うことはできません。
体内の多くの組織で鉄分は使用されています。
成人女性が1日に必要とする鉄分は、10.5 mg とされていますが、実際にはこの半分も摂取できていません。
このため4人に1人は貧血症状を持っていると考えられています。
では鉄分の多い食事を取れば良いのでしょうか。
鉄分は消化管から吸収されにくい
鉄分は非常に吸収しにくい栄養素でもあります。
平均的な鉄分の吸収率は15%とされています。
鉄分を多く含むとされる「ほうれん草」でも、100 g 中に含まれる鉄分は2.7 mg にすぎません。
普段の食事以外にほうれん草から鉄分を補給するためには毎日200 g のほうれん草を食べ続ける必要があります。
また野菜から鉄分を摂取する際には次の問題があります。
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄がある
栄養素としての鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。
ヒトの体内でヘモグロビンに使われているのはヘム鉄です。
そして、ほうれん草に含まれる鉄分は非ヘム鉄です。
ヘム鉄に比べて非ヘム鉄はさらに吸収率が悪く、また大量に摂取すると胃の不快感や便秘などの胃腸症状が現れます。
貧血が治っても別の不快な症状が出てしまっては意味がありません。
ヘム鉄を含有する食品としてレバーが有名ですが、それでも毎日50 g 程度のレバーを食べ続ける必要があります。
またカロリーへの影響が大きいため、あまりオススメできません。
そこでオススメするのが、薬やサプリメントにより効率的に鉄分を摂取することです。
鉄剤や鉄サプリメントの豊富なヘム鉄
鉄分を摂取するための薬やサプリメントをオススメする1つ目の根拠として、当然ですが豊富に鉄分が含まれていることをあげます。
薬やサプリメントはヘム鉄を使用しているものも多いため吸収率もよくなっています。
では貧血症状を改善するために、取れるだけの鉄分を摂取すればいいのでしょうか。
じつは、ここにきちんと含有量が決まっている薬やサプリメントから鉄分の摂取をオススメする2つ目の根拠があります。
鉄分の過剰摂取は体に深刻な影響をもたらす
鉄分は体にとって重要な栄養素であり、また吸収されにくいため、貧血を改善するためにできるだけ多くの鉄分をとろうとしてしまいます。
しかし過剰な鉄分は体内で活性酸素を発生させ、細胞やタンパク質、DNAにダメージを与えます。
それが長期間に亘ると臓器にも影響が現れ、特に肝臓や心臓に対する影響が報告されています。
ある研究によると1日50 mg 以上の鉄分の摂取は死亡率を有意に高めるとのことです。
となると1日に摂取すべき鉄分は10.5 mg 以上50 mg 以下という非常に狭い範囲で摂取量をコントロールしなければなりません。
よって鉄分の含有量が不明確な食べ物からではなく、厳密に含まれている鉄分の量が決まっている薬やサプリメントを用量を守って摂取するほうが調整しやすいということになります。
まとめ
鉄剤や鉄サプリメントによる貧血の改善は運動機能、エネルギー産生の回復を意味します。
しかし鉄分の過剰摂取は副作用があるため注意が必要です。
成人女性に1日に必要な鉄分は10.5 mg とされています。そのうち食事から5.5 mg を摂取できるため残りは5 mg となります。
この不足分のみ補充できるような鉄剤や鉄分サプリメントを適切に摂取するべきです。
それにより安全に貧血による不快な症状を軽減することができます。