和漢(さ行)

古くから日本で用いられてきた和漢植物を由来とした、美容成分をご紹介します。

山椒(サンショウ)






 
日本人にはなじみ深い香辛料

葉には極上の芳香、実にはピリッとした辛味などがあり、ほとんどの部分が香辛料として使われ、日本人にはなじみ深く、なくなてはならない香辛料です。
木の芽は緑鮮やかで香りがよいため料理の彩り、花を漬けた花山椒、未熟な果実の青山椒、実山椒は佃煮など、塾した実の皮の乾燥粉末(粉山椒)はご存知うなぎの蒲焼の香辛料や七味唐辛子の材料などさまざまに用いられています。
縄文時代の遺跡から出土した土器から果実が発見された例もあり、古くから日本人に利用されていたようです。
古くは山野に自生していたものを利用しており、栽培されるようになったのは明治以降とのことです。

化粧品では、抗炎症、抗酸化などの効果が期待されています。




紫蘇(シソ)






紫色の葉が魚を蘇らせる

シソは「紫色の葉が魚を蘇らせる」という意味よりその名が与えられ、古くから魚肉などによる中毒の解毒、殺菌、防腐といった目的に用いられてきました。
現在でも刺身のつまにシソを添えるのは、生魚の中毒を防ぐという先人の知恵が生かされているといえます。

シ ソは漢方で繁用される生薬であるとともに、東洋諸国では食品香味料として広く用いられ、日本においても、薬用としてよりも天然着色香味料としての需要がは るかに多いといわれ、日本のピクルスである「梅干し」の着色などに使われています。また、シソの独特の強い香りは日本料理には欠かせないもので、薬味とし て、またその色鮮やかさから、料理の色どりの上からも貴重な役割を果たしています。さらにシソは添え物としてだけではなく、栄養的にも、ビタミンA、 B1、B2、C、E、カルシウム、鉄、アミノ酸などを豊富に含み、中でもカロチンは野菜の中では最高の含有量を誇っています。

シソは古くより漢方の重要な生薬として位置づけられ、咽喉部の異常感を改善する方剤や、体力低下時の風邪症候群や精神神経症状(特に頭痛)を改善する方剤など種々の漢方処方に用いられてきました。

化粧品では、炎症に対する効果、アレルギーに対する効果などが期待されています。



紫根(シコン)






 
 古くから皮膚外用剤にも使用されている生薬

紫根(シコン)とはムラサキ科の紫:ムラサキの根のことをいい、日本薬局方に収載されている生薬の一つです。
漢方では解熱、解毒剤として用いられ、わが国でも皮膚外用剤として古くから伝えられてきた赤色を呈した軟膏「紫雲膏(シウンコウ)」が著名な存在です。
一 方、染料としても古くから利用があり、紫色が高い品位を表現することから、現在でも神宮、僧侶等が用いる上衣や房などの主役色として使用され、高貴なイ メージとともに心に安らぎと静けさを与えてくれる効果もあるとされることから、ステージ装飾や貴金属宝石箱などにも使用されています。

化粧品では、高貴なムードを与えてくれる色素としての利用のほか、抗菌作用、紫外線防御作用などが期待されています。




芍薬(シャクヤク)






 
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

シャクヤクはボタン科の植物で、
日本や中国で古くから薬用、観賞用として栽培されてきました。
学名の「Paeonia」は、ギリシャ神話の“医の神”の名に由来し、漢方では生薬「芍薬」の名で鎮痛や鎮静、腹痛、また婦人病の薬として使用されてきました。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と美しい女性を、花の美しさになぞられた言葉もあります。

 
シャクヤクエキスには糖化反応の悪玉α-ジカルボニル化合物を切断・分解し、糖化タンパクの生成を防ぐ効果が期待できます。



地黄(ジオウ)



矢を連想させる赤い花

ジオウ(地黄)はアカヤジオウの根であり、原産地は中国で、薬用として栽培されています。
日本でも平安時代に導入され、生きた植物は江戸時代に渡来し、現在でも北海道や奈良で栽培・生産されています。
アカヤジオウのアカヤ(赤矢)は、江戸時代に淡黄色の花を咲かせるシロヤジオウと区別する為、矢を連想させる赤い花のジオウという意味から付けられたと言われています。

ジオウは、漢方処方の中で重要な生薬であり、体に栄養を行き渡らせ、各器官を滋養するといわれています。慢性的な貧血による疲労や冷えに対する改善の報告があります。

ジオウエキスは、男性ホルモンの抑制作用、血流促進作用、育毛作用の効果が期待されています。



忍冬(スイカズラ)

紫外線を吸収作用を持つ美しい白い花

スイカズラは、スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性木本です。
花筒の奥には甘い蜜があり、子供たちがよく花を引抜いて吸って遊んでいることからスイカズラ(吸い葛)の名が付けられたと言われています。

蕾を「金銀花」といい、茎葉は「忍冬(にんどう)」という生薬で、ともに抗菌作用や解熱作用があるといいます。
「金銀花」と呼ばれるのは、スイカズラの花は咲き始めは白く、のちに淡黄色に変わり、白花と黄花が入り混じって咲く風情から、また「忍冬」とは、冬でも葉が枯れずに耐え忍ぶことからそう呼ばれるようになったようです。

化粧品原料としては、紫外線の吸収作用の効果が期待されています。


 

細辛(サイシン)






 
根には精油などの芳香成分

細辛(サイシン)はウスバサイシンの根または根茎を乾燥させたものであり、根が細くて味が辛いことが名前の由来とされています。
日本全土の山林の陰地に自生する多年草であり、全草に精油を含み、特に根には強い芳香があります。
この精油類には鎮静、鎮痛、解熱作用があるとされ、漢方処方に配合されています。

化粧品原料としては、抗酸化、抗炎症などの効果が期待されています。



山査子(サンザシ)



 
中華料理のデザートにも

山査子(サンザシ)は中国原産のバラ科の落葉低木で、日本でも庭木や鉢植として主に観賞用として栽培されています。
白やピンクの花を咲かせ、黄色い実がやがて秋には赤く熟し、実はビタミン、ミネラル、カルシウム等を豊富に含む漢方薬として珍重されています。
日本には江戸時代中期に薬用として導入されたと言われています。
漢方では消化剤として用いられ、中華料理のあとに砂糖漬けなどのデザートとして出されるのも油っこい中華料理の消化を助けるためと考えられます。

化粧品原料としては、血流促進、収斂などの効果が期待されています。