■断酒のための薬とは?
断酒のために病院に行くと、薬を処方されます。2年前に断酒を薦められて病院に行った時は、シアナマイドという液体の薬を処方されました。この薬を飲んでおくと、お酒を飲んでもアルコールが分解できなくなり、非常にひどい悪酔い状態になります。それが怖くて、飲まなくなるという仕組み。
しかしお酒を飲んで「死ぬ」わけではないので、飲めないことはない。ただ、非常に具合が悪くなる。同様の薬にノックビンというのもあります。
■シアナマイドの効果は半端ない
僕は1度、シアナマイドで実験してみました。体で覚えないと納得出来ないので。
ほんの一口だけ飲んで、チューハイをゴクリ。「酔う」ことはなく、顔がパンパンに腫れ、頭がぐらぐら、動悸が激しくなって、気分が悪くなりました。少しも気が晴れず、楽しくもない。お酒を飲むメリット?が全くありません。そのままソファに倒れこんで動けなくなりました。
恐るべきシアナマイドの効力を確信しました。
■飲み会は、忘れた頃にやってくる
その後、シアナマイドを毎朝飲み続けて3ヶ月。もうお酒なくても平気かな、と思うようになり、シアナマイドも冷蔵庫に入れたままにしていました。なんだかシアナマイドを飲むこと自体が、みじめに思えてきたんです。油断ですね。
それからさらに3ヶ月が経過し、今日は飲み会だという日の朝、冷蔵庫からシアナマイドを取り出しました。このときのためのシアナマイドなのです。
しかし、しばらく眺めてから「飲まないで」出かけました。
つまり、飲酒する可能性を残しておいたのです。この時点で、すでに断酒の決意にヒビが入っていました。そして案の定、少し迷ってから、ついに飲んでしまいました。
シアナマイドはお酒をやめる薬ではなく、お酒を飲むとひどいことになるという薬。最悪の場合、気を失ってしまいます。でも、お酒を飲みたくなくなるわけではない。効果は24時間。
■シアナマイドの正しい?飲み方
だから、どうしても酒を飲みたいなら、朝シアナマイドを飲まないでいればよい。(いや、決して良い行為ではないが)。そうすれば、普通にお酒が飲めてしまう。しかし、いったん飲酒してしまえば元の連続飲酒に逆戻り。
だから、シアナマイドは、歯を磨く様に、当たり前のように飲むのが一番よい。
■レグテクトという新人の登場
今年に入り、何度目かになる断酒を始めました。まず、家の酒を全て処分。やはり薬があった方が確実かと思い病院に行くと、今回はシアナマイドではなくレグテクトという薬を処方されました。ちょうど断酒をしようと思い立った日にネットでその存在を知った薬でした。
レグテクトは断酒用の薬としては新しい方です。それまで抗酒剤の世界にはシアナマイドとノックビンしかなかったのですが、数十年ぶりに新薬として認可されました。前回の僕の断酒時(2013年春)はレグテクトの認可の直前だったことから、シアナマイドが処方されました。
レグテクトは抗酒剤というより、飲酒欲求そのものを起こさせなくなるという薬です。
■レグテクトが効く仕組み
アルコール依存が進むと、飲んでいる時が「普通の状態」になってしまい、飲んでいないときには脳内の興奮物質であるグルタミン酸の量が増えてしまいます。脳内のグルタミン酸が増えると「お酒が飲みたい」という欲求が強くなります。アルコールを摂取するとグルタミン酸の量が減少して落ち着くようになっているのです。レグテクトを飲むことによって、このグルタミン酸を抑え、お酒を飲む必要がなくなるというものです。
なんかこの話、わかるような気がします。お酒を飲まないでいると妙に興奮していて、お酒を飲むことで気分を落ち着けるような気がする。僕の場合、普段がハイで、お酒を飲んで落ち着いて楽になるという感じ。そこで飲むのをやめればいいのですが、さらに酒を飲むことで一旦抑えられた興奮状態が再度発散し、しまいに昏睡状態で寝てしまう。
■どれぐらい飲み続けるのか
ところが、シアナマイドでグルタミン酸を抑えるという習慣を続けるうちに、飲まない時が「普通の状態」となり、脳内のグルタミン酸の量が増えることもなくなるのでしょう。そうなるとお酒を飲む必要が本当になくなる。「お酒ってなんでしたっけ?」みたいな。そうなるまで、レグテクトの投与は、だいたい24週間(半年)ぐらい続けるようです。
さて、今はレグテクトで飲酒欲求は落ち着いています。シアナマイドの頃は、とくに最初のころは、「我慢」をしていました。結局、その我慢はいつか爆発するものでした。しかし、レグテクトの場合、我慢、という感覚はありません。いたって普通です。薬の飲み初めの頃は、お腹がゆるゆるで困りましたが、数日で落ち着きました。僕にはレグテクトが合っているようです。
■やはりシアナマイドも持っておきたい
ただ、念の為にシアナマイドも飲んでおこうか、と思ったりもします。たとえば、飲み会があるときに、朝、シアナマイドでダメ押ししておく。たとえ自分自身に飲みたいという欲求がなくても、飲まざるを得ない場面がないとも限らない。先輩や上司、酒飲みの友人にすすめられたときなど。だけど、シアナマイドを飲んでおけば、ブレーキが掛かる。そういうセーフティーネットとして有効ではないでしょうか。
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