第T5回 読者質問へ公開回答 その1 ショウガエキス

昨日は我が家の近辺でも17℃ ! 一気に春に突入か?と思いきや、やはり季節の変わり目は大きな変動があるものですね。昨晩遅くから降りだした雨、今朝は冷たい雨に変わり、この投稿原稿を打っている今、新富町の外は大粒の雪にかわりました。

さて、今日はこのところ寄せられていた読者からの質問疑問などのいくつかに公開回答しようと思います。
最初のメールは、最近TVや雑誌でも話題になっている「ショウガ(生姜)」の効能についての質問です。

「毎日ブログを楽しみにしています。いつも興味深い内容で感謝しております。今回メールしましたのは、最近流行っている生姜ダイエットについてです。何とかダイエットは殆どが怪しいオカルトダイエットで信じていないのですが、ショウガエキスには膵臓から分泌される、脂肪分解酵素のリパーゼの働きを阻害する作用があり、腸管からの脂肪の吸収を低下させ肥満を予防する効果があるという、熊本大学と愛媛大学の論文など、ショウガには肥満を予防する作用があるエビデンスをみつけました。是非「生姜と脂肪」について先生の意見がお聞きしたいです。」

事の良し悪しは別としても、ショウガに減量効果があるということで、食品メーカーが一斉にショウガ配合商品を作り宣伝し、老若男女がこぞってショウガ商品に飛びつく様は、私にとって、相も変わらず日本人は「おもいっきりあるある症候群」から脱していないことを痛感させてくれました(笑)
この読者から紹介いただいた文献には確かに、ショウガに含まれるエキスには、膵臓で作られる脂肪分解酵素のリパーゼの働きを阻害することが報告されています。ショウガに含まれる機能成分が、人間や家畜の病気や症状の改善治療に使われてきた歴史は非常に古と言えます。その機能性の多くは、ショウガに含まれるショウガオール、ジンゲロールなどの揮発成分によるものです。発汗作用、去痰作用、抗血液凝固作用のほか、胃酸分泌促進、SOD活性とグルタチオン生産能力が高いことが知られており、心臓病、気管支炎、リウマチ、高血圧などの治療と症状改善に使われています。
今回の発表にもある、脂肪の分解を抑えて、腸管からの脂肪吸収を抑える作用についても、古くから知られており、世界中でいくつかの研究報告が発表されているところです。
ただし、私の知識と経験の中にあるショウガの持つ機能性の中には、今回の作用とは全く逆の作用、つまり「ショウガには膵臓のリパーゼの働きを活性させ、脂肪の分解を促進する」という作用があります。(googleなどの検索で「ginger enhanced pancreatic lipase activity」とキーワード検索をすると沢山ヒットします) 同じショウガという素材なのに、ある論文では脂肪の分解を低下させると報告されていたり、別な論文では脂肪の分解を促進すると報告されていたり、どちらを信じればいいのか迷ってしまいますね。

この2つの異なる報告は両方とも正しいと言ってもいいでしょう。その背景にはショウガに含まれる揮発成分が関係しているものと思われます。詳細な原因は私も不明ですが、水で抽出されたものや、ショウガの切片を使ったハーブティをお湯で煎じたような素材の場合には、揮発成分の効果が顕著に現れるため、膵臓のリパーゼの働きを阻害する作用が強く出てきて、摩り下ろした絞り汁を乾燥させて作られたパウダーのような素材の場合には、膵臓のリパーゼの働きを活性させる働きがあるものと考えられます。実際に、トリとマウスを使って、ショウガの粒子の大きさによって作用効果に違いがあるかを検討した報告がカナダと中国の研究グループから2009年に発表されています。

今回読者の方から頂いた論文や過去から発表されている研究報告、それに私がアメリカの大学や師匠たtから教えられた知識と経験を総合的に考えると、今日本で話題になっている「ショウガの持つダイエット効果」に偽りはありませんが、ショウガには、そのダイエット効果の裏付けとして言われている「膵臓が分泌する、脂肪分解酵素のリパーゼの働きを阻害することで、脂肪が腸管から吸収されることを低下させる」作用とは180度異なる「膵臓が分泌する、脂肪分解酵素のリパーゼの働き促進させる作用」があることも事実であること。つまり、ショウガの機能性の恩恵を正しく受けるためには、素材と使い方を間違えることで期待する効果は得られない可能性があるということでもあります。

因みに、私がアメリカで研修をしていたときに教えられ、今でも食材に含まれて体内に入ってくる可能性の高い毒素(重金属、化学物質)の改善を行うために食事指導で行う方法の1つに、脂肪の吸収抑制プログラムがあります。毒素の多くが脂肪に吸着していたり、脂肪と反応しているために、脂肪の吸収抑制を一定期間行うものですが、毒素の吸収を低下させるだけでなく、腸の動きが改善され、好ましい副作用として減量につながることは少なくありません。
この場合に、私がお勧めする方法は、ショウガのハーブティーとウーロン茶です。市販のショウガ茶ではなく、生のショウガを使います。以下を参考にして興味があれば作って試してみてください。容器に入れて作り置きができるので、冷蔵庫に入れて保存できます

・ジンジャーウーロンティーの作り方
準備するもの:生のショウガ、ウーロン茶葉(ティーバックでも可)
1、生のショウガを皮をむかずに1mmほどの厚さにスライスする。
2、スライスしたショウガをクッキングペーパーなどの上に並べ、晴天の日に天日で丸1日乾燥させる。
3、鍋またはヤカン(アルミ製は不可)に水1リットルに対して乾燥させたショウガ片を20gを入れて沸騰させる。
4、沸騰したら火を止め、ウーロン茶葉おおさじ2杯(ティーバックの場合は1袋)を鍋またはヤカンに入れて、10分蒸らす。
5、蒸らした後にショウガ切片とウーロン茶葉を漉し取り、そのまま飲むか、ガラスの容器に入れて冷蔵庫で保存し、冷たいまままたは温めて飲む。

脂肪分の多い食事の最後にコップ1杯のジンジャーウーロンティーはお勧め。