ゆんぎと疑惑。

Publish to anyone2016-12-20 23:20:126796views




「え。」

『よぉ。』

玄関のチャイムが鳴って、特に警戒せずにドアを開けた。

てっきり、宅配便だと思ってた。
この前、通販頼んだから。


『お前、ちゃんと確認して開けろよ。』
いつものように、
顔をしかめながら注意される。


「ゆんぎ、なんで?」

『あ?帰ってきちゃ悪ぃのかよ。』

「え?ううん、悪いって事はないけど…。帰ってくるの、明後日じゃなかった?」


彼のスケジュールは、明後日に海外から帰ってくるはずだった。
まさか、2日も早く帰ってくるなんて。
油断してた。


どうしよう。


『なぁ、』
ゆんぎの声に顔を上げると
目を細めるようにして私を見るゆんぎ。

『お帰り、とかねぇの?』



「お、お帰り。」
動揺しすぎて、言ってなかった。


慌ててゆんぎの台詞を繰り返す私を
しばらくの間じっと見つめるが、
『ん。ただいま。』
そう言って、ようやく靴を脱ぐ。


「なんで、早かったの?予定より早いの初めてじゃない?」


「疲れたでしょ?お風呂入る?」


「お腹は?空いてない?」


ゆんぎは私の問いかけに答えず、ソファーに勢いよく座る。


『ヌナ。』

「ん?」
『こっち。』
自分の隣をポンと叩く。


「……あ、珈琲でも飲む?」

『ヌナ。』
顎で隣を指し示すゆんぎ。
無言の圧力が怖い。

「…………。」
大人しく彼の隣に腰を下ろすと同時に、肩を抱かれ重なる唇。


私の口の中に入ってくる彼の舌。

「……ん、」


「ゆん、」

唇から首へと移動して、熱を帯びながら這うゆんぎの舌の動きに自然と体が反応し始めてしまう。


ダメ。
流されちゃダメ。



「ゆんぎ、待って。」

彼の肩を押すと、
その手を握られソファーに押し倒される。


「ね、ゆんぎ。お風呂、お風呂入ってくる。」

『お前、入ってんじゃねぇの?』


ちゅう、と首を吸われ
ピクッと跳ねる体。


「入って、ない。」




『何、嘘ついてんの?石鹸の匂いしてるし、髪も湿ってんじゃん。』


『なんかヤバイ事でもあんの。』


両手を抑えつけられたまま、
私を組み敷いたゆんぎが私を見下ろして、
顔を歪める。


「え?」

『浮気でも、してんじゃね?』

「なに、言ってんの。」

上から落とされる唇。
息苦しいほどの激しさで舌が絡む。


「ちょ、」

パジャマをずり上げられ、
露わになった胸に吸い付くゆんぎ。


「ちょ、ゆん、」
『ふざけんなよ。』




『誰が離すかよ。』





あ、キュンとした。
………じゃ、なくて。


「ゆんぎっ!!」
自由になった手で、私の胸を弄るゆんぎの頭をバシッと叩く。

『いてっ、』

「何言ってんの。」

『お前がおかしいんだろ。』


相変わらず私の上に跨がり、
私を見下ろすゆんぎからは、いつもの飄々とした表情は消えていて。

「おかしくないけど。」

『おかしいじゃねぇか。風呂入ってんのに入ってねぇとか言うし。疲れた?とか気ぃ遣うし。……いつもみたいに、お帰りって言わねぇし。』


最後の方は声のボリュームも落ち、
私の上から、ムクリと起き上ってソファーに座り直す。


「え、ごめん。」


『……いい。もう寝るわ。』


フラリと立ち上がるゆんぎ。



「ちょ、待って。本当、ごめんてば。」
半分笑いながら、ゆんぎの手を掴む。


『別に。』

「ごめんって。実はさ、」

チラリと私を見るゆんぎ。


「ムダ毛の処理してないんだよね。」
エヘヘ、と舌を出してみせると、

『…………はぁ?』
思いっきり顔をしかめられる。


そんな顔されると思った。

「えー、だって、明後日に帰って来る予定だったから明日でいっかなー、なんて。」

『お前さ、本当、』
「いいじゃん。ゆんぎがいない時くらい、サボっても。」

そうだよ。
面倒くさいけど、普段は毎日ちゃんと気をつけてるんだから。


『お前、それだけであんな態度なの?』

「え、だって、ゆんぎ絶対エッチしたがるじゃん。どうしよう、って思って。」

『悪かったな。したがりで。』

「いや、嫌いじゃないよ。そうゆうの。」


私の言葉に、
大きく息を吐き出し、首を左右に振る。


『紛らわし…。』

「ごめんてば。でも、ゆんぎも悪いよ。ゆんぎが連絡くれてれば良かったんだよ。」


『驚かせようと思ったんだけど。』


「あ~、確かに驚いた。」
そう言って笑うと、
ようやくゆんぎの口元がほころぶ。


「ゆんぎ、」
『あ?』

「私、ゆんぎから離れないから大丈夫。」


ゆんぎは、一瞬、怪訝な顔をみせたのだが
自分が言った台詞を思い出したのか、
『ばか、あれはっ、』
なんて慌てた声を出して、そっぽを向いて頭を掻く。


「んふ、」
『きも。』
「んふふふ、」

『お前さぁ、』
苦虫を噛み潰したかのような顔をして私を振り向くゆんぎに、
「嬉しいんだから、しょうがないでしょ。」
そう言って顔をしかめてみせる。

「ゆんぎが可愛い事言うから、きゅんきゅんしちゃったよ。」



私を見たまま、何も言わないゆんぎ。


あれ?
拗ねちゃったかな?
からかいすぎた?





ゆんぎは、ちょっと目を伏せ、口を開く。
『………俺は、気にしないけど。』

「ん?」

『ヌナが気にするって言うなら、待ってるから早く風呂入って来いよ。』


可愛すぎるんだけど。
笑いをこらえて立ち上がる。

「ダッシュで入ってくるね。」
『ん。』
頷くゆんぎの髪の毛が、ふわりと揺れる。


ダメ。
ゆんぎの台詞を思い出して笑いそう。

「………したがり。」
つい、ぷっ、と笑って口を手で抑える。

『お前、もう入らせねぇ。』
ゆんぎが手を伸ばして
ガシッと私の腰に腕を回す。


「嘘、嘘。ごめんって。」
身をよじり、笑いながら謝ると、彼はソファーから立ち上がって私を抱き締め、ふぅ、と小さく息を吐く。



「……変な心配させて、ごめんね。」
『ん。』

「早く帰ってきてくれて、嬉しかったよ。」
『ん。』

よしよし、とゆんぎの背中を撫でる。



『…やっぱ、待てねぇかも。』
「足とか、ジョリジョリするよ、きっと。」

プハッと笑うゆんぎ。
『大丈夫、気にしねぇ。』


「……ゆんぎがいいなら、いいよ。」


ムダ毛の処理だって、
シャンプーの匂いだって、
全部ゆんぎのためなんだから。


ゆんぎがいいなら、私は構わないよ。


彼に手を引かれて寝室へ向かう。


でも、
今度からは油断せずにちゃんとしとこう。


なんて少し反省しつつ、
繋がれた彼のその手を握りしめた。











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私が書くお話は完全作り物ですので、そこのところをご理解ください🙏🌸モーメント有り🌸
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