『カロヤンガッシュ』は、通常1日2回、頭皮につけた後マッサージをして使用する。
出勤前に1回、帰宅して風呂上りにもう1回というのが普通だろう。
しかし、育毛剤をつけて頭皮をマッサージし、さらに育毛剤で濡れた髪を乾かすのは時間がかかる。
そこで、時間に余裕がない出勤前には使わず、帰宅後、風呂上がりに1回だけ使うことにした。
1年ほど使用し続けたのだが、いっこうに薄毛が改善される気配はなかった……。
さらに悪いことに、私の髪に恐ろしい変化が起こり始めた。
急激な抜け毛の増加
1年間も育毛に取り組んできたにもかかわらず、明らかに抜け毛が増えてきたのだ。
それは入浴時にはっきり分かった。
私の家の風呂はユニットバスなので、お湯を抜いた後の浴槽に、洗髪時に抜けた髪が残ることがある。
その抜けた髪の数が目立って増えてきたのだ。
以前なら浴槽に2、3本残る程度だったが、10本以上の髪の毛が残るようになっていた。
また、
髪を洗うとき、髪をかき上げると必ず手のひらに抜けた髪が4、5本くっついてきた。
何度かきあげてもそのたびに抜けるので、髪に触るのが恐ろしくなった。
思い切ってAGA治療!
「このままいけば、完全にハゲる……。」
止まらない抜け毛に、私は焦りと恐怖を感じていた。
こうなったら皮膚科でAGA治療を受けるしかない!
『プロぺシア』も処方してもらえるはず!
私はAGA治療が受けられる最寄りの皮膚科をネットで見つけると、すぐにそこへ向かった。
ここからは少し詳しい話になるので、めんどうなら読み飛ばしてOKです。次ページへどうぞ。
もう少し詳しく:『カロヤンガッシュ』ではなぜダメだったか?
私が使った育毛剤『カロヤンガッシュ』、製造メーカーは第一三共ヘルスケアです。
第一三共ヘルスケアと言えば、かぜ薬の『ルル』や栄養ドリンクの『リゲイン』で知られる大手の製薬会社。
『カロヤンガッシュ』はTVコマーシャルも頻繁に流れていて、当時はメジャーな育毛剤でした。
製品情報によると、壮年性脱毛症(男性型脱毛症:AGA)を対象にした臨床試験では、使用6ヶ月で約90%の割合で改善効果が出ています(著明改善1.2%、中度改善29.1%、軽度改善59.3%)。
このように臨床試験の結果もなかなかの『カロヤンガッシュ』ですが、なぜ私には効果が出なかったんでしょう?
体験記で書いたように、本来1日2回使うところを1回しか使わなかったというのもあると思います。
でも、もともと『カロヤンガッシュ』はAGA治療薬としては効果が弱いということも原因だったと思います。
なぜAGA治療薬としては効果が弱いと考えられるのか、見てみましょう。
『カロヤンガッシュ』はAGAに対する効果が弱い、その理由とは?
『カロヤンガッシュ』はAGA治療薬としては効果が弱いと考えられる理由、
それは、
『カロヤンガッシュ』の主成分にはAGAの根本的な原因を取り除く作用がない
ということです。
AGAの根本的な原因は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)という物質です。
この物質が髮の成長する期間を短くしてしまい、そのせいで髪が細くなったり、抜け毛が増えたりします。
ところが、『カロヤンガッシュ』の主成分カルプロニウム塩化物水和物は、DHTには何の影響も及ぼしません。
この主成分の作用は、頭皮・毛根の血管を拡張して血流を増やし、毛根に栄養を十分行き渡らせることです。
ですが、根本原因であるDHTが放置されたままでは、いくら血行促進したところで大きな改善効果は得られないでしょう。
穴のあいたバケツになかなか水が溜まらないのと同じですね。
カルプロニウム塩化物水和物には、円形脱毛症などの様々な脱毛症の治療薬として病院で用いられてきたという実績があります(第一三共ヘルスケアは『フロジン外用液5%』を販売)。
ですが、AGAの原因を取り除く作用がないという点から、AGAに対する効果は弱いと考えられるわけです。
『カロヤンガッシュ』が分類される第3類医薬品とは?
AGAに対する効果が弱いと考えられる『カロヤンガッシュ』。
実際のところ、
『カロヤンガッシュ』は、医薬品の中では一番効果が穏やかな第3類医薬品に分類されています。
第3類医薬品と言われてもよく分からないので、もう少し説明しましょう。
薬局やドラッグストアで購入できる医薬品はOTC医薬品と呼ばれ、副作用のリスクの大きさによって第1類・第2類・第3類に分類されています。
それぞれの分類は次のような関係にあります。
副作用のリスクの大きさ
第1類 > 第2類 > 第3類
一般に、薬の効果の大きさに比例して副作用のリスクも高まりますから、次のような関係も成り立っています(常に成り立っているわけではありません)。
薬の効果の大きさ
第1類 > 第2類 > 第3類
例えば、『リアップX5』は第1類医薬品、『カロヤンガッシュ』は第3類医薬品ですから、『カロヤンガッシュ』は『リアップX5』に比べて副作用のリスクは小さいですが、その代わり効果も小さいと考えられます。
日本皮膚科学会による評価が高い成分は、フィナステリド
ちなみに、日本皮膚科学会が発行している『男性型脱毛症診療ガイドライン』によると、カルプロニウム塩化物の推奨度は「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」となっています。
これは、カルプロニウム塩化物を単独で用いた場合のAGA治療効果について、今だ十分な臨床試験が行われていないからです。
『カロヤンガッシュ』の効果については十分な臨床試験が行われていますが、『カロヤンガッシュ』には主成分のカルプロニウム塩化物水和物の他に生薬(カチュウチンキ・チクセツニンジンチンキ)が加えられているので、この試験結果からはカルプロニウム塩化物単独での効果を知ることはできません。
また、この『男性型脱毛症診療ガイドライン』の中で最も高い推奨度が与えられている成分の一つが、フィナステリドです。
フィナステリドはカルプロニウム塩化物水和物とは異なり、AGAの根本原因であるDHTに影響を与えます。
育毛剤の『プロペシア』は有効成分としてフィナステリドを含んでおり、AGAの原因であるDHTを減少させ、抜け毛を止めるのに高い効果を発揮します。