力士の体脂肪率と筋肉ってどうなってるの?大相撲で活躍する関取の強さの秘密とは

大相撲力士の強さを測る目安となるものに体格(形態)があります。

他の多くの競技のように体格によるクラスわけが存在せず、無差別級である大相撲においては、体の大きさは勝利に結びつく重要なファクターとなります。
とりわけ体重は増やしたほうが良いというのが大相撲の通例です。

その主な理由としては、

  • 力士にとってけっして広くはない土俵上で、立ち合いに当たり負けして吹っ飛ばされないように
  • 投げ技をくらって腰が浮かないように
  • 押し出されたり寄り切られないように

一見やや受け身な理由から体重は増やすものと捉えられがちですが、体の大きさは前へ出るパワーとも密接に関係していることがわかっています。たとえ脂肪のみであったとしても前へ出るパワー=圧力はかけられます。

肥ることは力士にとって大切な仕事なんですね。

じゃあ、とりあえず食べまくって脂肪だけ増やせばいいのかっていうとそんなわけはなく、力負けしないように筋力も十分に備えていなければなりません。

「力士ってのはほとんど筋肉の塊で体脂肪はすごい低いらしいよ」

今回はそう言われる理由について書いてみようと思います。

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力士の体型

ちょっと相撲が好きな人ならば聞いたことがあると思いますが、力士の体型は角界独特の言い回しで「あんこ型」「ソップ型」と大きく二つに分けて語られます。

あんこ型

写真は典型的なあんこ型と言われた三十八代横綱、照國萬蔵です。
まるまるとしたお腹が、魚のアンコウに似ているためにそう呼ばれます。太り方の程度によっては中あんこ、筋肉質なあんこ型を硬太りあんこなどと呼んだりもします。相手を腹に乗せることができるのもあんこ型の特徴ですね。

過剰な皮下脂肪を蓄えたあんこ型は運動機能の低下をもたらすとされ、近代相撲では通用し難くなっていると言われています。足への負担が大きくなることが主な理由として挙げられます。
しかし、昭和の大横綱である北の湖は、あんこ型であるにも関わらず「憎らしいほど強い」と言われ、強靭な下半身に加え、スピードもありました。これは、脂肪が一定の割合を超えなければ、パワーとスピードを維持できることを物語っています。

ソップ型

写真は三十三代横綱である武蔵山武。
あんこ型に対して、細身で筋肉質な力士をソップ型と呼びます。鶏ガラ出汁のちゃんこを「ソップ炊き」と言いますが、この鶏ガラのように痩せているということから連想されたものであると言われています。
ソップ型に定義があるわけではないので、みる人によってはソップ、ソップじゃないと意見が分かれることもあります。まあ、通常は横綱に対してソップ型とはあまり言いません。

怪力、俊敏、豪快、技巧派など、ソップ型が大相撲で生き残るだけのことはある、と思わせる何らかの特徴を備えているのが常であり、気迫あふれる力士も多いことから、土俵を沸かせる立役者となることもあります。

昨年(2014年)引退したチェコ出身の隆の山は身長185センチ、体重は91キロであったことからソップ型の典型と言われました。

日本相撲協会診療所が実施した体脂肪率測定では8.7%を記録したことでも有名です。

日本相撲協会診療所による体脂肪率測定

写真は日本大相撲協会の公式ツイッターのものです。1年以上前のものになりますが、力士の体脂肪測定方法が未来的!と話題になりました。

カプセル様の密閉空間に入り、空気の圧力変化から体脂肪率を測定するという、「空気置換法」に基づいて作られたBOD PODと呼ばれるものです。からだの体積を測定して、体密度を求めることで体脂肪率を測るんですね。

平成11年から常設されているようで、現在までにのべ 2300 名の力士の体脂肪率を測定したといいます。

この測定によって、

  • 体脂肪率
  • 体脂肪量
  • 除脂肪体重

が、わかります。※大変高価なものらしく、一般人向けに測定してくれるところはおそらくないと思われます。

この機器を使って慶應義塾大学スポーツ医学センターが幕内力士25名の体脂肪率測定を行った結果では、平均体脂肪率は32.5%でした。

幕内力士での1位は日馬富士23%で、2位が松鳳山の24%、次いで妙技龍25%でした。白鵬は29%。体脂肪率が高かったのは、1位 碧山39% 2位 魁聖 38.9% 3位 舛ノ山 38%。

力士の除脂肪体重と筋肉がすごい

興味深いのは除脂肪体重の数値です。平均体重161.2kgに対して脂肪を除いた体重は108.3kg。3人の横綱に至っては、入門時からの除脂肪体重が35~45kgも増加しているという、常識では考えられないような驚愕の数値をたたき出しています。

上位力士と下位力士に身長差がさほど見られないのに対し、体重の差は歴然であることは見た目からもすぐにわかると思います。しかしそれは単純に脂肪が増えたからというものではなく、骨格筋や内臓諸器官の著しい発達によるものでもあることがうかがい知れます。上位力士と下位力士では、体脂肪率に大きな差はみられず、除脂肪体重にこそ大きな差がみられるのです

「お相撲さんの体は筋肉の塊!」と言われる理由はこのあたりにあるのでしょう。好角家が「体が出来上がっている」という言葉を口にすることがありますが、これは脂肪以外にも体幹部や四肢の周径を見てるんですね。

ポパイと呼ばれた隆の里の凄まじい僧帽筋

話題の逸ノ城は力士としてとても恵まれた体格をしていますが、強さの秘密は太ももにあると言われています。
しかもただ脂肪により太いのではなく、ハムストリング(太ももの裏の筋肉)の発達が抜きん出ています。これは競輪選手を彷彿とさせるものです。

一般成人男性の胴以上(97㎝)もある太ももが筋肉の塊なのですから、恐れ入ります…。

力士にとって体が大きいことは利点となりますが、それだけでは上位に食い込むことはできません。脂肪もさることながら強靭な筋肉も手に入れなければならないわけですね。

だらしなく肥満している一般の人とは全く異なる特殊な形態と機能を持った超人、それが力士なのです。

 

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