目の下から頬の中央を横切るシワ、ゴルゴライン。専門用語では、「ミッドチークライン」と呼ばれますが、漫画『ゴルゴ13』の主人公の頬にくっきりと線が描かれているため、このような俗称がついたと言われています。
ゴルゴラインは、皮膚に刻まれたシワではありません。頬の皮膚や筋肉がたるんで脂肪が下垂することにより、溝が目立つようになったものです。脂肪が重力によって下垂したことによる溝であるため、仰向けに寝ると消えます。
ゴルゴラインがあると、老けて見えるだけではなく、疲れて見えてしまいます。また、実際に疲れているとほほの脂肪の水分量が減り、余計に目立つので、できてしまったゴルゴラインが気になっている方は多いのではないでしょうか。
このゴルゴラインを消すためには、どのような治療が適しているのでしょうか。ゴルゴラインの治療方法や注意点について、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生にお話を伺いました。
境先生は、形成外科医および美容外科医としてたるみ治療の豊富な経験を持ち、刺青除去手術などにおいて日本で屈指の技術力をお持ちのドクターです。
■ヒアルロン酸注入などのプチ整形について
Q:ゴルゴラインを改善するための治療として、手軽なのがヒアルロン酸などを注入するプチ整形ですが、注入系の治療について、どのようにお考えでしょうか?
境先生:ゴルゴラインは注入系治療が効果的な部位として有名で、ゴルゴラインの治療方法として、ヒアルロン酸などの注入系治療は多く実施されています。しかし、目の近くは動脈塞栓(動脈が詰まってしまう現象)の危険部位でもあります。ヒアルロン酸注入での動脈塞栓については、脳梗塞や失明などが韓国で発生したという報告がありますので、局所解剖に熟知した医師が慎重丁寧に施術しなければなりません。また、このような情報を知らない医師の施術は特に危険と言えます。
また、ゴルゴラインは眼輪筋と頬脂肪の隙間ですので、ゴルゴラインのような組織のすきまに注入系の治療を行ってもいくらでも入るので大量注入や繰り返し治療になりやすく、それによって問題が発生することがあります。
他院でヒアルロン酸の注入治療を受けた患者さんの症例で、ヒアルロン酸注入した箇所の皮膚がフヨフヨと余ってしまい、切除したことがあります。ヒアルロン酸注入を繰り返したせいか、浅めに入れられたか、ヒアルロン酸が溶けてなくなったからかなど、細かくは分かりませんが、皮膚が余ってたるみ、かなり目立ってしまっていました。
ゴルゴラインに注入系治療を続けていると、ヒアルロン酸の重みのためか、ゴルゴラインの下側が膨らんで行き、頬に覆いかぶさって、ほうれい線が目立ったり、ほほが膨らみ過ぎて一見してそれと分かる顏になったりもします。
「ゴルゴラインを改善しようとヒアルロン酸を注入したら、今度はほうれい線が目立つようになった」ということになってしまわないよう、注意が必要です。
■再生医療によるゴルゴライン治療
Q:ヒアルロン酸注入によるゴルゴライン治療にも欠点や大きなリスクがあることが分かりました。それでは、最近人気の再生医療はどうなのでしょうか。
境先生:『ほうれい線を解消するには整形手術がベスト?』の記事でもお話をしましたが、皮膚に成長因子などを注射し、その部位を盛り上がらせる再生治療の最大の欠点は、注入時に仕上がり・結果が読めないことです。これは脂肪注入でも同じですが、有名な先生の脂肪注入で、注入直後はほれぼれするような仕上がりだったのに、たった数か月で吸収されて元に戻ってしまったり、成長因子製剤を注射した部分が不必要に大きく膨らんでシコリになるなど、トラブルはかなり多い印象です。
また、照射系治療や金の糸、その他の「皮膚を若返らせる」と言われる糸によるリフトアップ治療も、最終的な仕上がりや結果は不明です。施術による腫れで一時的に改善して見えますが、腫れが引くと元に戻ってしまい、効果が一時的な場合が多くみられます。
■ゴルゴラインを改善するのにお勧めの治療
Q:ゴルゴラインを改善するためには、どのような治療が適しているのでしょうか?
境先生:ゴルゴラインを改善する上で重要なことは、「下垂したボリューム(脂肪)を元の位置に戻す」ということです。そのため、理想の施術はやはり、「引き上げる」治療です。
ゴルゴラインは、眼輪筋に重なるように存在していた脂肪が下垂することで発生します。このボリュームが下へ下へと下垂し、ほうれい線が目立つようになります。さらに下方で垂れ下がることにより、マリオネットラインも目立つようになります。一方、この脂肪の下垂によってコメカミはくぼんでしまいます。
このように顔のボリュームの下垂は顔全体に影響します。そのため、「ゴルゴラインを改善する」という部分最適な発想ではなく、「顔全体の下垂したボリュームを元の位置に戻す」ということが必要です。
Q:下垂したボリュームを引き上げ、元の位置に戻すためには、どのような治療を受けるべきでしょうか。
境先生:引き上げる治療の中で私の一番のおすすめは、やはりこの部位でも、伸縮性のあるフランス製の糸「スプリングスレッド」を使った治療です。スプリングスレッドによる引き上げ治療であれば、物理的に下垂した部位のボリュームを持ち上げるので確実に効果が見込めます。伸縮性のある糸を使用するため、表情筋の動きに合わせて自然に伸び縮みし、効果の持続性が高いのもおすすめの理由です。また、安全性の高い素材を使用しているため、正しく施術が行われれば、後遺症の心配もほぼありません。
別の記事でもお話しをしたように、切るリフトアップは顔の中央部分にはあまり効果がありませんし、その他の治療は術後にトラブルが発生したり、効果がない、もしくはすぐに元に戻ってしまうなどのリスクがあります。