その手入れ、間違っていませんか?
自分が持っている革製品の手入れを、みなさんどのようにしていらっしゃいますか?
革は大切に使えば何十年も使うことができる丈夫な素材です。
ですが、間違った手入れにより、数年で劣化し使い物にならなくなることもあります。
革の劣化を早める「絶対に行ってはならない手入れ方法」をまとめましたので、参考になさってください。
これを使って手入れをしてはいけない
■オリーブオイル
オリーブオイルを付けた後、たしかに革は少し柔らかくなります。一瞬、うれしくなりますが、その代償は大きいのです。オリーブオイルや、革の手入れに使うすべての油性物質は、革に「栄養を補う」ものではありません。それどころか、革の劣化を促進します。革というのは、かなり浸透性が高く、どんなオイルでもすぐに染み込んでしまいます。オイルを革につけると、見えていない革の裏側にもオイルは染み込んでいきます。最終的にオイルは革全体に広がり、自然とまた表面に現れてきます。そうすると、革に見苦しい油染みができてしまうのです。
そもそもオリーブオイルと革の油脂は違います。
革製品のサイトでオリーブオイルの使用を推奨している場合がありますので、この手入れを行っている人は少なくないでしょう。
ですが絶対にオリーブオイルでの手入れは行ってはいけません。
深くしみこんだ油染みは除去が非常に困難です。
■牛乳
牛乳で拭くと艶が出る為、牛乳は革製品に良いと良く言われています。これも間違いです。牛乳を飲んだ後、口の周りをそのままにしておくと、皮膚が突っ張ってきます。これは牛乳の成分の「カゼイン」が原因です。同じ原理で、革の表面が硬くなったり、最悪の場合は、ひび割が生じます。また締切った湿度の高いお部屋ですとカビの原因にもなります。
牛乳で拭くと確かに一時的にツヤは出るのですが、少しの間のツヤのために牛乳を用いるのは良策ではないでしょう。確実に革製品の寿命を縮めてしまいます。
バターを手入れに推奨している方もいますが、バターも絶対に使用してはいけません!
■ハンドクリーム
人間の皮膚(生きている皮)にはバランスよく作られていても、革製品に使用すると油の染みや色が濃くなってきます。表面にべたつきが出てきて、汚れやすくなります。”同じ皮(革)だから良い”という、変な理屈は通用しません。
ハンドクリームでの手入れも多くの人が推奨している方法ですが、やってはいけません。
革製品にはなぜ革用のクリームや、レザーソープが用意されているのか考えてみればわかることです。
■靴のクリーム
靴クリームには、革の光沢を出す成分が含まれています。ソファや椅子に使用すると滑りやすくなって、掛け心地が悪くなります。気をつけましょう。また靴クリームには油成分が多いものがあります。油成分は染みやべたつきの原因になります。
靴用のクリームを靴に使用するのは間違いではありません。
ですが、「同じ革製品だから」といって、靴意外の革製品に使用するのはやめましょう。
革靴用クリームは、「革靴のみ」に使用するようにしてください。
革靴に塗布する際も、使用量が多すぎるとシミの原因になりますので、適量を使いましょう。
■アルコール
アルコール消毒液は、細胞膜の脂質の溶解させ、浸透し、タンパクや核酸を変性させ、菌を殺します。
簡単に言うと、菌を包んでる油分を分解し、殺し、揮発させる仕組みです。
革財布に必要なのは油分です。
それを分解してとってしまい、揮発させてしまいます。
アルコールはシミ・汚れを落としやすいと使用する方がいます。
色落ちと乾燥の原因となりますので、絶対にやめましょう。
■科学雑巾
布に染み込ませた薬剤(多くが油性)にホコリを付着させて取るのが科学雑巾です。便利でホコリはよく取れますが、革を変色させる恐れがあります。薬剤が革に染み込むと汚れが着きやすくなるなど、返って逆効果です。気をつけましょう。
アルコールと同様、せっかく汚れや埃がとれても、革の色も一緒に落ちてしまっては意味がありませんよね。
革製品を手入れするときは、科学雑巾でない、やわらかい布やタオルを使いましょう。
■ドライヤー
革製品は、天然のタンパク質からできていますので、水にぬれることによって硬くなってしまいます。 乾いたタオルで叩くようにして水気を除き、風通しの良い場所で陰干ししてレザー(革)を乾かします。
特に濡れた革は熱に弱いため、ドライヤーなどの乾燥は厳禁。革・レザーのクリーニングでも自然乾燥が原則です。
革は極力ぬらさないようにすべきですが、どうしてもぬれてしまった場合は
直射日光を避け風通しのよいところで自然乾燥させましょう。
ドライヤーに限らず、ストーブなど強い熱での乾燥は厳禁です。
間違った手入れを続けると……
間違った手入れは革に深刻なダメージを与えます。
・油シミ
・乾燥
・ひび割れ 等々……。
これらのダメージは素人では修復は困難です。
シミやひび割れが発生してしまった場合、自分でなんとかしようとせず、専門の業者に任せるようにしましょう。
よかれと思ってやった事が更なる劣化を招くこともあります。
正しい手入れとは?
革は、そのなめし方法や仕上げ方法によって手入れの仕方に違いがあります。
ですので、「これが絶対的に正しい」というものはありません。
革製品それぞれに適した方法で手入れを行ってください。
不安ならば、革製品を購入したお店や企業に問い合わせるとよいでしょう。
基本的には
・水にぬらさない
・直射日光を避け、風通しのよい場所で保管する
・柔らかい布で軽いふき取り
・定期的に、その革に適した保護剤やクリーナーを用い保護する
この4つで十分です。
革製品は比較的高価なものです。大切に扱って、一生モノとして使っていきたいですね。