夏のスキンケア 紫外線・シミ・シワ対策

夏の健康まめちしき
 
夏のスキンケア 紫外線・シミ・シワ対策
 「日焼けは健康のあかし」と昔はいわれていましたが、紫外線を浴びると皮膚の老化が促進され、やがて深刻なダメージを受けてしまいます。ですから、対策をとりながら紫外線を浴びすぎないよう気をつけましょう。 
 
 シミを防ぐ紫外線対策

 地表に届く紫外線にはUV-AとUV-Bの2種類があります。UV-Aは時間帯や季節に左右されないのが特徴で、浸透力があり皮膚の奥深くまでとどくため急性皮膚障害やシワ、皮膚がんの原因になります。それに対して、UV-Bはエネルギーは強いが浸透力は弱く、夏の晴れた日中に多く降り注ぎ、日焼けの原因となるほか、急性皮膚障害や皮膚がんに関係しています。
 紫外線にあたると、身体を紫外線から守るためのメラニンという黒い色素が皮膚の中でつくられます。皮膚はこのメラニンがつくられたときすでに傷ついています。さらに紫外線を浴びつづけると、ますます傷ついて皮膚がんにつながることもあるのです。


 また、紫外線は皮膚を老化させる大きな要因でもあり、シミとシワの80%以上は紫外線が原因でおこるといわれています。紫外線を浴びてつくられたメラニンは体内に蓄積されてしまいます。子供のころから紫外線を浴びすぎないよう気をつけたいものですね。


◆日焼け止め対策
・日焼け止め化粧品を塗りと日傘や帽子を併用する
・紫外線を通しにくい布地の詰まった衣類を着用する
・紫外線カット効果のあるサングラスをかける


 しっかり紫外線をカットしてくれる日焼け止め化粧品は、紫外線防止効果が強ければ強いほど、そのぶん肌への負担も大きいもの。日焼け止めは化粧品はファンデーションに近い成分のため、洗顔料だけではおちません。日焼け止めを落とす専用のクレンジング剤を使う方法や、メイク落としと洗顔料のダブル洗顔をするなど、肌に化粧品が残らないよう注意しましょう。


 シワを防ぐ乾燥対策

 日焼け止め化粧品は肌に負担がかかり、乾燥してしまいがちです。また室内のエアコンや汗によっても肌の水分は失われてしまいます。
 肌の潤いを守っているのは、セラミドなどの角質細胞間脂質と、アミノ酸や尿素などの天然保湿因子、そして皮脂です。なかでも重要なのは、水の分子をサンドイッチ状にはさみこんで蒸発しないようにつかまえるセラミドです。
 もともと天然の肌にあるものですが、量は赤ちゃんのころがピークで後は減っていくだけ。肌が乾燥したときは、保湿成分を補うようにしましょう。

 乾燥した肌のお手入れは、できるだけマイルドに。ビタミンC誘導体やセラミドが配合された化粧品で最小限のケアがおすすめです。セラミドやヒアルロン酸などをたっぷり含んだ美容液をべたべたするくらい塗ってから寝ると、翌朝しっとり肌が落ち着きます。あんまりべたべたするのはちょっと…という方には、アミノ酸にヒアルロン酸が入った化粧水を使いましょう。


 また、美肌づくりには、抗酸化力をもつビタミンA、C、Eを合わせてとると良いでしょう。


 夏のスキンケアまめちしき

 夏の肌には、紫外線によるシミ・シワに加え、エアコンや汗による乾燥の予防が必要です。夏むけのスキンケアでかさかさ肌を防御しましょう。


◆紫外線から肌をまもる! 市販の日焼け止め
 紫外線を吸収する成分の紫外線吸収剤と紫外線を反射する成分の紫外線散乱剤があります。肌の弱い人は散乱剤のほうが肌への負担は小さいでしょう。

 また、市販の日焼け止めに表示されている「SPF」とは、主にUV-Bによる赤斑反応に対する効果を示すものです。素肌を紫外線にさらすと、15~25分程度で紅斑があらわれますが、SPF15のサンスクリーン剤を塗っておけば、15倍である4~6時間はあらわれないという意味なのです。
 一方、UV-Aでおこる皮膚の黒化をもとに算出した防御効果の指標がPAです。PA+、PA++、PA+++の3段階に分けられており、+が多いほど防御効果が高いといえます。


◆効果的な日焼け止めの塗り方
 SPFとPAは、日焼け止めを1平方センチメートルに2mg塗ったときを想定して値が決められています。実際に、皮膚へ均一に2mgの日焼け止めを塗ると、肌に白く残ってしまいます。白く残るのがいやな場合は、頻繁に塗り直すようにしましょう。

 また、首筋や耳の後ろ、腕の内側、手の甲、股、ふくらはぎのうしろなど塗り忘れが多いので気をつけましょう。また、鼻筋や頬などはもちろん、あごの下やつま先も照り返しで日焼けしやすいので、念入りに日焼け止めを塗るようにしましょう。
 1日1回日焼け止めを塗ったらおしまいではなく、汗をかいたときや水遊びをしたときには、その都度かならず塗り直すように気をつけましょう。


◆乾燥から肌をまもる! 湿度対策
 朝、スキンケアを入念におこなっても、お昼をすぎてくると肌の乾燥が気になりはじめます。そんなときは美容液をつかうと、かさかさ肌にうるおいを与えることができます。乾燥が気になる部分にちょんちょんと薄くのばしましょう。


 また、エアコンなどで乾燥した室内に長時間いると、肌の水分はだんだん失われていきます。お湯でぬらしたタオルやお湯をいれたコップを机のうえにおくだけでも、肌にとってはうれしいものです。


 ここで紹介したのは、手軽に実践できるものばかりです。今年の夏は、皮膚へのダメージを少なくし、肌をいたわってあげましょう。



             
  【取材協力】吉木 伸子氏
よしき皮膚科クリニック銀座院長
横浜市立大学医学部卒業。浦和市立病院、大宮市レーザークリニック勤務。 アメリカおよび日本において美容医療および東洋医学の研修を行なう。外側からだけでなく内側からきれいになるための知識を多くの患者に広めている。『スキンケアの真実「美肌ルネッサンス」』(集英社)ほか。