住環境において、日本と西洋の文化の違いといえば、日本では靴を脱ぐ、西洋では靴を履いたまま住居に入るというものです。それに皆さんも家に帰ると裸足になるという方も少なくないのではないでしょうか。今回は日本の裸足の文化と歴史について、ご紹介いたします。
生活習慣が生んだ裸足文化
裸足の文化は何も日本独特の文化ではありません。オーストラリアやニュージーランドなどでも裸足で外出することは決して珍しくなく、現代でも裸足でショッピングに出かける子供も多く見られます。また、アジアやアフリカでも貧困層などの住民は靴自体が高級品であるため、靴を履かずに生活する人多数います。
日本は古来より農作や稲作などの農耕文化が栄えた国であり、作物の収穫時期や田植えの時期には足が汚れるため、裸足で外出し、そのまま住居に入ることを嫌ったという説もあります。草履を履くようになった戦国から江戸時代などでも、一家の主人が家に帰ると妻や娘が足を洗い、1日の疲れを癒し自宅へ上がるという習慣もあったと言います。
日本の裸足文化の歴史
現在の日本でも外出時は靴を履いて出かけるのが主流ですが、裸足で外出しなくなったのはいつ頃なのでしょうか。古代の人々の日常生活は基本的に裸足での生活でしたが、農作業や稲作作業を行う際に足を保護する器具などを使用することはあったようです。裸足で履く下駄などの歴史は古く、その起源は田下駄という農耕具といわれています。5世紀に中国から伝わったとされる「襪(しとうず)」という履物が伝えられたと同時に足袋を履く文化が始まったといわれています。
日本の文化である寺社仏閣でも裸足については様々な見解があります。禅の修行では、厳しい環境に身を置くことが必要なため、どんなに寒くても足袋などを履くことは禁じられています。現代においては仏さまの前に裸足で上るのは失礼という礼儀の意味で裸足を禁じているお寺ところもあるようですが、昔の名残か神聖な場所に上る時は裸足になるべきという考えの寺社仏閣も多く存在します。しかしそのどちらも、礼儀や神や目上を敬う日本人の心を感じられるところではあるかと思います。
日本の気候が裸足文化を作った
日本の裸足文化が浸透したことは日本の気候や風土も関係しています。西洋では雨が少ないため、湿気が溜まりにくい傾向にあります。しかし、日本では春夏秋冬があるように、気候の変動も激しく、雨も多い気候です。そのため、住居内では湿気がたまりやすく、カビやシロアリが発生しやすい傾向にあります。これら住宅への悪影響を防ぐために、日本の住居は床を一段高くして、作られています。石畳やレンガなどの製法技術がなかった日本では床を高くすることで、住居を守ってきました。また、日本は木造住宅が発展した国です。木造で作られた家は保温性が高く、暮らす人々に温もりを与えるため、自然と裸足になっていたと考えられます。最近では靴を脱いで、素足で楽しめる居酒屋も多数出てきています。これは日本人の深層心理に刻まれた素足の安らぎを喚起させ、リラックス効果を狙ったものだとされています。
日本の伝統スポーツは裸足のものが多い?
日本の伝統的なスポーツは裸足で行うことが多かったと言われています。これは裸足そのものが武器を携帯していないという意思表示であるということ、裸足は神聖さを持つものであるということ、動きやすいという理由だといわれています。日本の伝統スポーツといえば、国技でもある「相撲」が挙げられます。相撲の場合、もちろん裸足で土俵に上がりますが、土俵自体が神聖な場所と考えられており、土足で上がることは神聖な場所を汚してしまうという考え方があります。その他にも柔道や空手、剣道なども基本的には裸足で行います。
裸足はスポーツなどにおすすめ
小学校や中学校などの運動会で、裸足で走るお子様がいらっしゃるように裸足で走ることでタイムが伸びることはしばしばあります。靴の重さが軽減される、地面にしっかりとフィットすることで地面を蹴る力がダイレクトに伝わるためといわれています。しかし、裸足でのスポーツは怪我のリスクも高まり、場合によっては感染症を引き起こす場合があります。
しかし、この裸足がもたらす運動能力の向上に目をつけた会社があります。それがイタリアの名門シューズメーカー「Vibram社」です。この会社が開発したファイブフィンガーはまるで裸足のようなフィット感と効果が得られると評判になっています。靴底が薄くなっているので地面に足が付く感覚をダイレクトに感じることができ、重心位置を正確に理解することができます。また、足底筋や内筋肉を靴よりも稼動域が広がるため、歩行時の姿勢を正しくすることができます。また、平衡感覚を感じやすいため、リハビリなどが必要な患者さんにも勧められています。シューズの名前のように足の五本指それぞれが包み込まれているため、血行促進の効果が期待できます。このシューズを使用することで、外反母趾、猫背、O脚、偏平足、足の浮腫みや冷え性、ハンマー・トゥウなどを改善することができます。
現代の日本でも住居では裸足で生活している人も多いと思います。フォーマルな場とプライベートの場、それぞれの裸足文化が広がった日本では日本独特の気候、生活、また中国からの伝達や、明治時代以降の西洋化への影響が強いと思われます。諸外国との大きな違いは、裸足や素足を神聖なものとして捉え、敬っていることになると思います。日本人の心がある限り、今後も裸足の文化は日本の良き文化として、残っていくことでしょう。