達人に訊け!
減量の極意~余分な体脂肪を減らす~ 2012/8/26
アスリートの中には、体重を減らすことを義務づけられる者がいます。たとえば柔道やウェイトリフティングのように体重制がある種目では、体重が規定よりオーバーしたときは減量する必要が生まれます。体重制がなくても、体操やマラソンのように体重増加が不利になる種目では、太った選手は減量しなければならなくなります。
アスリートたちが取り組む減量は、種目が違っても目的は1つです。減らすべきものは脂肪であり、筋肉を減らすことは避ける、ということです。脂肪を減らし、筋肉を減らさない減量法は、アスリートではない一般の人たちも取り入れるべきでしょう。
運動しないで食事を抜く減量法は、体重を減らす効果は確かにあります。しかし体重を減らした中身を見ると、脂肪の減少はほとんどなく、筋肉だけが減ります。これでは、体重が減っても活力が生まれてきません。元気を保ちながら減量するには、筋肉の量を維持して脂肪だけ減らすことです。そのためには、アスリートたちのように運動しながら食事量を減らすのが効果的だといえます。
しかし、アスリートのように厳しい減量法は、さすがに一般の人たちにはお勧めできません。アスリートほど厳密ではなくて軽めの減量法ならお勧めできます。それは次の2つ条件を組み合わせる方法です。
<条件1>食事ごとに、ごはんを一口分だけ減らす。
一口分なら空腹感を強く感じることはないはずです。一口分のごはんは、およそ15グラムです。これだけでも25キロカロリーになります。朝、昼、夕の食事でそれぞれ一口分のごはんを減らせば、一日で合計75キロカロリー減です。1か月続けると、75キロカロリー×30日=2250キロカロリーとなり、脂肪に換算すると320グラムとなります。
仮に毎食で一口分のごはんを減らすことを一年間続けると、3.8キロの脂肪を減らすことができます。「ちりも積もれば山となる」です。
<条件2>60分間のウォーキングを行う。
同じ運動の量なら、脂肪が減るのはランニングよりもウォーキングの方が2倍効果的です。とはいってもウォーキングを行うとすぐに脂肪がたっぷりと使われるわけではありません。15分ほどしないと脂肪はよく燃えてきません。30分、60分とウォーキングの時間が長くなるほど脂肪はよく燃えます。とはいっても、長時間ウォーキングはたいへんです。まずは、60分間のウォーキングをめざしましょう。
すぐに脂肪が落ちると紹介をしている本などを見かけますが、そんな魔法のようなことが体に起きるはずはありません。脂肪を落とすには、脂肪をつくる材料を少しずつ減らし、できてしまった脂肪をウォーキングでじっくりと燃やすことしか方法はないのです。魔法のような減量法があれば、アスリートたちがすでに行っています。
魔法のような方法ですぐに減量することを夢見ている人は、結局、夢を見続けるだけで終わってしまうのです。アスリートたちのように食事を少し減らし、運動をたっぷりと行うことが、最善の減量法なんです。残念ですが、これが現実だということです。
今回は“余分な脂肪を落とす運動”がアスリートからの贈り物です。
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プロフィール
中京大学スポーツ科学部教授および中京大学大学院体育学研究科教授。
現在、中京大学スケート部部長として、所属している浅田真央、小塚崇彦選手らフィギュアスケート選手の教育にもあたっている。ハンマー投げ金メダリスト室伏広治選手は湯浅ゼミの出身者。
「運動中に水を飲むとスタミナが落ちる」と教え込まれ、一滴の水も飲まないで運動を続けた人は多いと思います。
もちろん、これは間違いです。運動中の水分補給は持久力の維持に必要なことです。一部の指導者の経験だけに基づいて指導されていたかつてのスポーツ界では、こういった間違いがまかり通っていました。
しかし、1964年の東京五輪をきっかけに、科学的根拠に基づいたトレーニング法に関心を持つ研究者が増えてきました。こういった人たちがスポーツ科学を学ぶ後継者を育ててきました。私もその後継者の一人だと信じています。
私がスポーツ科学を学び始めて45年になります。この間、私が大切にしてきたことはこのブログの内容でもある、スポーツ科学の目を通してトップアスリートたちの心技体を解き明かすこと、そしてトップアスリートから元気になる秘訣を学ぶことです。
幸いにも、数多くのトップアスリートたちと触れ合う機会に恵まれ、もったいないほどの成果を得ています。
このブログを通して、トップアスリートたちから贈っていただいた成果を多くの人たちにおすそ分けできればと思います。