アレルギーの一種「アトピー性皮膚炎」は、炎症による強いかゆみや湿疹などの症状が特徴。
子どもに多い病気というイメージがありますが、最近では大人の成人型アトピー性皮膚炎が増加傾向にあり、ある日突然発症することもあります。
アトピー性皮膚炎の原因は、まだ解明されていないことも多く、個人差もあるのですが、遺伝的な要因に加え、食べ物やホコリ、ダニなどのアレルゲンの侵入、またストレスなどが重なって起こると考えられています。
そしてもう1つ、セラミドの不足もアトピー性皮膚炎の原因として指摘されているのです。
セラミドは、もともと皮膚の角質層に存在する保湿成分。お肌のバリア機能の要となる細胞間脂質のおよそ50%を占める主成分として、お肌の水分保持の役割を担っています。
このセラミドの量が、アトピー性皮膚炎の人は普通の人よりも少ないことがわかっています。そのため、お肌のバリア機能が弱く、外部からの刺激や細菌の影響を受け、強いアレルギー反応が引き起こされてしまうのです。
今やエイジングケア化粧品の成分として大注目のセラミド。そして、多くの方が悩むアトピー性皮膚炎。
この記事では、セラミドとアトピー性皮膚炎の関係に迫ります。
1.アトピー性皮膚炎について興味を抱いたあなたへ
アトピー性皮膚炎だけではなく、お肌のバリア機能の低下や乾燥などは、皮膚の病気とも関係が深いことがあります。
なかでも、バリア機能で大きな役割を担うセラミドの不足とアトピー性皮膚炎の関係は、皮膚医学でも注目を集めているテーマの1つです。
「アトピー性皮膚炎ってどんな病気?」
「アトピー性皮膚炎の原因は?」
「アトピー性皮膚炎の治療ってどんなもの?」
「セラミドとアトピー性皮膚炎の関係は?」
「セラミド化粧品は、アトピー性皮膚炎に効くの?」
などを知りたい方は、ぜひ、続きを読んでくださいね。
また、エイジングケアをしっかり理解するには、皮膚の病気のことも知っておいた方がよいので、エイジングケア世代の方もぜひ、読んでくださいね。
- アトピー性皮膚炎は、悪化したり、少し改善したりを繰り返す、かゆみや炎症を伴う慢性的な湿疹です。
- アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは、アトピー素因を持っています。
- アトピー性皮膚炎は、ステロイド薬や免疫抑制の作用のあるお薬(外用医薬品)での治療が基本です。
- アトピー性皮膚炎では、セラミドが少なくなっている患者さんがみられます。
- セラミドなどが配合された化粧品でスキンケアを行うことによって、アトピー性皮膚炎の改善をサポートすることが可能です。
- そのためのスキンケア化粧品は、刺激の少ないものを選びましょう。
- スキンケアでセラミドを補っても、そのまま自分自身のセラミドとしてお肌に留まるわけではありません。
2.アトピー性皮膚炎とは?
1)アトピー性皮膚炎の定義
アトピー性皮膚炎は、免疫の異常とアレルギー反応が関わる皮膚の病気です。
日本皮膚科学会の定義では、「増悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」(「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」より)とされています。
ここで、ポイントは、
- かゆみのある湿疹
- よくなったり悪くなったりを繰り返す
- アトピー素因を持つ
の3つです。
「アトピー素因」という言葉は、なじみが少ないかもしれませんが、自分自身や両親や家族が、以下である場合を指します。
- アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、ぜんそく、結膜炎などを持っていること
- アレルギーと深い関係がある免疫物質「IgE抗体(免疫グロブリンE)」をつくりやすい体質を持っていること
要は、アトピー素因=アレルギーを起こしやすい体質と考えて差し支えありません。
2)アトピー性皮膚炎の原因は?
アトピー性皮膚炎の原因は、まだはっきりと解明されていません。
主に、アトピー素因やバリア機能が低下したお肌の状態などの「体質的要因」とアレルギー症状を起こす物質(アレルゲン)や皮膚の外部刺激などの「環境的な要因」とがあり、これらの要因が重なり合って発症、悪化すると考えられています。
本来、皮膚は弱酸性から中酸性の状態にありますが、アトピー性皮膚炎の皮膚は黄色ブドウ球菌などの有害菌が繁殖しやすい弱アルカリ性であることもわかってきています。
この有害菌の刺激によって、バリア機能が低下。さらにターンオーバーが乱れて黒い過酸化脂質を沈着させ、かゆみを増幅させることになるのです。
また、生まれつきアトピー性皮膚炎の人は、お肌のバリア機能を形成する遺伝子に異常があり、普通の人に比べてセラミド量が少なく、そのためお肌のバリア機能が弱くなっている傾向にあります。
ただし、原因や症状には個人差があり、例えば、同じ化粧品を使っても症状が出る人、出ない人があり、またその時の体調や精神的な状態によっても異なると言われています。
これは、アトピー性皮膚炎がいくつもの要因が重なって起こる「多因子性」の病気のためです。
アトピー性皮膚炎の原因、症状とともに、悪化していく要因も個人差がありますが、主な外部要因としては、
- 空気の乾燥
- 気温の上昇
- 心理的なストレス
- 睡眠不足
- 花粉、ダニ、ハウスダスト、衣類などの刺激
- 食物(アルコールや香辛料など)
などが指摘されています。
3)アトピー性皮膚炎の症状は?
アトピー性皮膚炎は、よくなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹が症状の特徴です。
また、「皮膚炎」の名の通り、「炎症」を伴います。
アトピー性皮膚炎は、なかなか治らないことが多く、慢性化(6カ月以上継続、乳幼児では2カ月以上継続)することも多いのが特徴です。
湿疹の出る部位やその傾向としては、
- 顔なら、オデコ、目元、口元、耳のまわりに多い。
- 身体なら、首、わき、ひじの内外、ももの付け根、ひざの表裏などに多い。
- 左右対称であることも多い
です。
湿疹の特徴は、
- 炎症(赤み)のある湿疹
- 盛り上がりのある湿疹やしこりのある湿疹
- ジュクジュクした水分の多い湿疹
で、かゆみを伴うため掻いたり剝がしたりすると、皮膚が厚くゴワゴワした状態になったり、かさぶたになることが多いのが特徴です。
さらに、掻くことによって角質層のセラミドを爪で剥がしてしまい、炎症が悪化するという悪循環に。
お肌の乾燥が進んでバリア機能も低下し、刺激や細菌による影響を受けやすくなってしまうのです。
4)アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、お薬(医薬品)による治療です。医師や薬剤師の指導の下、適切に使うことで症状の改善が期待できます。
アトピー性皮膚炎治療のお薬は、主に塗り薬、「外用薬」です。外用薬には、ステロイド外用薬と免疫抑制薬の大きく2種類があります。
この2種は、他の薬と比べて科学的な根拠(エビデンス)が豊富であり、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」でも基本外用薬として位置づけられています。
なお、ステロイドには、その強さによって5段階あり、症状や程度で使い分けられています。
ステロイドや免疫抑制薬には内服薬もありますが、これらは外用薬では治らない重症の患者さんに使われることが多い薬です。
さらに、かゆみを引き起こす物質であるヒスタミンのはたらきを抑える抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服薬が補助的に使われる場合もあります。
これらの薬による治療は、医師がアトピー性皮膚炎の診断を行ったうえで、患者さんの年齢、症状、体質、環境などを考慮して選択されます。
なお、現在、JAK阻害薬という新しいタイプの治療薬の開発が日本でも進んでいます。この薬には、バリア機能の改善効果の報告があり、今後の開発の進展が期待されています。
3.アトピー性皮膚炎とセラミドの関係
1)セラミドとは?
セラミドについては、まだまだ研究途上でわかっていないこともたくさんありますが、理解しておくポイントは、
- スフィンゴ脂質と脂肪酸でできている油性の成分
- 角質内で水分を挟みこむことで高い保湿力を発揮する
- お肌のバリア機能の維持のために大切な成分
- 加齢とともにお肌のセラミド量は減ってしまうので、エイジングケア化粧品などで補うことが必要
- 化粧品には、ヒトのセラミドのはたらきに似せてつくったヒト型セラミドなどの合成セラミドや動物由来の天然セラミドなどが化粧品でよく利用される
ということです。
このようにセラミドは、保湿や化粧品との関係、病気との関係で語られることが多い成分です。
セラミド配合の化粧水、美容液、保湿クリームの選び方については、下記の記事を参考にしてください。
2)アトピー性皮膚炎とセラミド
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、角層の水分保持機能やバリア機能が、そうでない人にくらべて、著しく低下していることがわかっています。
さらに、バリア機能に関連の深いセラミドが減少していることもわかってきました。ここでのセラミドは、自分自身が細胞間脂質として持っているセラミドです。
アトピー性皮膚炎は複雑な病気ですが、水分保持機能と角質のバリア機能の低下とも関係しており、セラミドの減少も影響を与えているのです。
また、こうしたお肌の問題が、アトピー性皮膚炎を完治させるのを難しくさせていますし、再発させやすくもしているのです。
アトピー性皮膚炎は、先ほど説明したようにお薬による治療が基本ですが、日常生活におけるスキンケア化粧品やエイジングケア化粧品、医薬部外品を使ったケアの重要性が認識されています。
こうした背景もあって、日本皮膚科学会や厚生労働省研究班による「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」では、炎症に対する外用薬による治療と並んで、水分保持機能と角質のバリア機能の低下といった皮膚の生理学的な異常に対して、保湿剤による外用療法やスキンケアの重要性も唱えています。
実際、セラミドをはじめ、ワセリン、グリセリン、尿素、ヘパリン類似物質などを含む保湿剤で、アトピー性皮膚炎に対する有効性を示すエビデンスもあるので、医学的にも保湿の重要性が明らかになっています。
つまり、アトピー性皮膚炎では、医薬品による治療も大切ですが、日常のスキンケアによる保湿も大切であるということです。
保湿の重要性は、エイジングケアであっても同じことですから、いかにスキンケアにおける保湿が大切であるか、おわかりいただけるのではないでしょうか?
その中でも、セラミドの果たしている役割は大きいようです。
4.セラミドによるアトピー性皮膚炎のケア
1)アトピー性皮膚炎の場合のセラミド化粧品の選び方
アトピー性皮膚炎でスキンケアを考える場合、セラミドがお肌のバリア機能や水分保持機能と関係しているからと言って、セラミドが配合されていればどんなスキンケア化粧品を選んでもよいという訳ではありません。
セラミド配合以外のエイジングケア化粧品を選ぶ場合も同じです。
そう考えると、セラミドを配合した化粧品を選ぶ場合でも極力、低刺激の化粧品を選んだ方がよいでしょう。
エイジングケア化粧品の中から、あるいは、エイジングケア化粧品以外から選ぶにしても、無香料、無着色、ノンアルコール、パッチテスト済みのものなど、安全性が高いものを選択肢として考えてみては、いかがでしょうか。
また、PG(「プロピレングリコール」もしくは「1,2-プロパンジオール」)やDPG(ジプロピレングリコール)といった成分が、全成分の上位に表示される化粧品も避けた方が無難です。
もちろん、セラミド以外の保湿成分によっても、しっかりケアできるならアトピー性皮膚炎だからといって、必ずしもセラミド配合の化粧品を選ばないといけない訳ではありません。
また、NMF(天然保湿因子)の元であるアミノ酸、グリセリンには、水分を吸着させて保持するといった機序があります。そのため、これらを一緒に使ってもよいでしょう。
さらには、秋から冬の乾燥の季節は、油溶性成分で水分の蒸発を防ぐために保湿クリームを使ことも考えましょう。
化粧品に含まれる主な保湿成分の分類をお示ししますので、参考にしてみてください。
なお、すでに、アトピー皮膚炎の治療中の方は、自己判断するよりも、選び方や使い方などを含め、皮膚科の専門医などに相談されてもよいのではないでしょうか。
2)セラミドのスキンケアでセラミドは増える?
もう1つ忘れてはならないのは、セラミド配合のエイジングケア化粧品でセラミドを補っても、自分自身のセラミドにはならないということです。
エイジングケア化粧品などに含まれるセラミドは、保湿成分としてはしっかりはたらいてくれますが、自分のお肌のセラミドが増えて、アトピー性皮膚炎が改善するわけではないので、その点はご注意下さい。
一方、セラミドを食べ物やサプリメントで摂るのはどうでしょうか?
こちらも、セラミドを必ずしも増やせるとはかぎりませんが、そうした食べ物を意識的に摂ることで、お肌の潤いが増したり、バリア機能の改善が期待できることもあります。
毎日の食事は、睡眠や運動とともにエイジングケアの基本です。身体やお肌にとっての大切な栄養素である食べ物・飲み物についての情報は、下記の記事も参考にしてください。
5.まとめ
アトピー性皮膚炎とエイジングケア化粧品成分としても、よく知られているセラミドの減少が関係していることがおわかりいただけましたでしょうか。
アトピー性皮膚炎でもエイジングケアでも、保湿がとても大切です。その要は、お肌の水分保持機能とバリア機能の維持による保湿です。
その保湿を担うのがお肌のセラミドです。
アトピー性皮膚炎に限らず、お肌のセラミドを減らさないことが大切ですが、病気や年齢によって減ってしまうことがあります。
その場合は、セラミド化粧品で補ったり、セラミドを豊富に含む食べ物を意識的に摂ることも大切です。
アトピー性皮膚炎の場合でも、エイジングケアにおいても、保湿をしっかり意識したケアを心がけましょう。
セラミドをはじめ、お肌の状態に影響を与える成分は、年齢とともに変化します。
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