おいしいミルクティーをつくる4つの要素~ミルクティーいれ方Q&A
こんにちは。カレルチャペック紅茶店、ティーブレンダー 山田詩子です。
ミルクティーが恋しい季節になってきました。
きょうは、簡単なようで実は奥が深い、ミルクティーの入れ方について、詳しくお話しします。
突然ですが、
- 「おいしいミルクティー」をイメージすることができますか?
- そして、そのイメージしたミルクティーを実際につくることができますか?
ミルクティーは、ミルク、茶葉、甘味、スパイスの4つの要素によって千差万別のものとなります。
だからこそ、ミルクティーをつくるのは難しく、また面白くもあるのです。
おいしいミルクティーを彩る4つの要素
茶葉
ミルクと合わせるので、ミルクの濃さに負けない力のある茶葉を。
ミルク
紅茶そのものの風味を消してしまわず、色がきれいに出るミルクを。
甘味
茶葉との相性がよく、全体の味の調和がとれる甘味を。
スパイス
紅茶の渋みと調和して、コクやおいしさを引き出すスパイスを。
理想のミルクティーに近づけるためには、何度もいれてみることが大切です。何度もいれることで、イメージどおりのミルクティーを思いどおりに作れるようになってください。
1. ミルク
◆ 紅茶に入れるミルクの条件
- 入れたときに紅茶そのものの風味を消さないこと
- 色がきれいなクリームブラウンになること
実は、この2つの条件にもっとも適しているのは、ごく普通の市販牛乳です。その他の牛乳の特色とも見比べながら、組み合わせ方をイメージしてみましょう。
| ミルクの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 【牛乳】 | ミルクティーにもっとも適したミルク 乳脂肪3~4%くらいで、生乳以外は加えられていないもの。 |
| 【低温殺菌牛乳】 | 生乳に近いおいしさ 牛乳のうち、61~65℃で30分加熱し殺菌したもので、乳本来の味に近いもの。 |
| 【低脂肪乳・無脂肪乳】 | 紅茶にはNG 生乳から乳脂肪分を減らしたもので、乳脂肪分以外の成分は牛乳と同じです。(乳脂肪分0.5%未満のものを無脂肪乳といいます。) |
| 【加工乳】 | アッサムなどに 生乳にクリームやバター、脱脂粉乳などの乳製品を加えたもので、濃厚タイプや低脂肪タイプがあります。 |
| 【エバミルク】 | アッサムなどに 牛乳を完全殺菌したあとに濃縮したもの。 |
ミルクと紅茶の比率
ミルクと紅茶の比率を変えると、色も味もまったく違う仕上がりになります。イメージどおりのミルクティーにするには、比率によって変わる仕上がりにも注意しなければいけません。
- 「軽いミルクティー」をいれるときに
- 甘味を加えない場合やリキュールを加える場合に多い比率
- 使うミルクは常温
- 「濃いミルクティー」をいれるときに
- セイロンティーや個性のあるミルクを使う場合に適しています
- ミルクは温めたもの(ミルク200mlを電子レンジで1分程度加熱)を使います
- 「濃いミルクティー」をいれるときに(山田詩子おすすめ比率)
- ルフナやアッサム、フレーバリーミルクティーに適しています
- 使うミルクは温めたもので
- かなりミルクの持ち味を感じる。必ず「濃いミルクティー」の作り方で
- 茶葉は味と色が強いルフナやアッサムを使い、スパイスを入れても
- 使うミルクは温めたもので
2. 茶葉
ミルクティーには、ミルクに負けない力のある茶葉でなければなりません。
鮮度の高いセイロン紅茶。最高級のダージリンもそう。ミルクティーにしても味が残るのがその証拠。
セイロンの中でも、色の調和でいうなら、ルフナ、アッサム、ディンブラがおすすめ。色が濃く出る、しっかりとした風味のものです。
| 茶葉の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 【ルフナ(スリランカ)】 | 新たな王道ロイヤルミルクティー 独特の黒糖のような香りを持ち、後味はクリアで、ほかにはない風味のミルクティーが楽しめます。ヴィンテージレッドの濃い水色も美しい。 |
| 【アッサム(インド)】 | さっぱりミルクティー 濃い赤色にまろやかな甘みのある味。ミルクを入れてこそのクリ―ムブラウンで、軽快なミルクティーに仕上がります。 |
| 【ウバ(スリランカ)】 | 唯一無二の爽やかミルクティー 独特のメントール香は、ミルクと合わせると爽やかでフルーティーに。渋みがミルクと甘味で抑えられ、色も美しい黄みがかったブラウンに仕上がります。 |
| 【ディンブラ(スリランカ)】 | 端正な正統派ミルクティー 高地産ならではのボディがある茶葉でつくるミルクティーは、爽やかでパンチのある味わい。葉の持ち味が残るきちんと整ったミルクティーになります。 |
| 【キーマン(中国)】 | お腹にやさしいミルクティー 独特の燻製香にミルクを合わせて、渋みが少なくほんのり甘いミルクティーに。特級ランクのものは、フルーティーな仕上がりになります。 |
| 【フレーバー】 | バラエティーミルクティー
|
3. 甘味
ミルクティーには甘味をつけた方が紅茶とミルクの調和がとれると思います。甘味にはさまざまな種類がありますが、どの甘味も個性(風味と強さ)がありますので、茶葉との組み合わせと量をよく考えて使いましょう。
| 甘味の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 【グラニュー糖】 | 迷ったときにはこれ! 溶けやすくクセの少ない淡白な味わいのため、紅茶の甘みづけの万能選手。 |
| 【ザラメ糖】 | 透明感のある独特の風味 結晶がグラニュー糖より大きく、光沢のある高純度のお砂糖。 |
| 【黒糖】 | 強い風味と濃厚な甘さ さとうきびの絞り汁をそのまま煮詰めたもので、独特の強い風味と濃厚な甘さがあります。 |
| 【てんさい糖】 | 天然のオリゴ糖がたっぷり てんさい大根からつくられ、天然のオリゴ糖がたっぷりで体を温めるといわれています。 |
| 【はちみつ】 | おもしろい風味のミルクティーに 鉄分のため紅茶の色が黒ずみますが、花によってニュアンスがあり、おもしろい風味のミルクティーに仕上がります。いろいろなはちみつで変化を楽しんで。ただし、クセが強く紅茶の色にも影響するため、組み合わせる茶葉を選びます。 |
| 【メープルシロップ】 | 香ばしく、すっとした甘味 かえでの樹液を精製したシロップ。個性が強く、茶葉の風味を消してしまいがちですが、メープルフレーバーを楽しみたいときに入れます。 |
4. スパイス
ミルクティーにスパイスを入れると、紅茶の渋味と調和して、おいしさとコクを引き立たせてくれます。また、新陳代謝をよくするなどの体に嬉しい効果もあります。
スパイスは紅茶をいれるときにポットに加えて一緒にむらしますが、硬い皮のものが多いので、少し砕くなどして使いましょう。あらかじめスパイスを入れて15分以上煮出しておいたお湯を使うと、とっておきのスパイスミルクティーが楽しめます。
| スパイスの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 【シナモン】 | ほかのスパイスを組み合わせても、単品で使ってもよい。アッサム茶に。 |
| 【ナツメグ】 | 使う量は、ごく少量。アッサムやルフナなどの濃いミルクティーに合います。 |
| 【クローブ】 | 刺激のある味のため、ごく少量を使います。濃いミルクティーに。 |
| 【カルダモン】 | 皮をむき、中の黒い種を使います。濃いミルクティーに。 |
| 【ジンジャー】 | 使いやすい味。セイロンティーの軽いミルクティーにも合う。 |
| 【ブラックペッパー】 | ほかのスパイスと組み合わせても。すっきりとしたミルクティーに仕上がります。 |
| 【アニス】 | すっきりとした甘味のある味。セイロンティーに。 |
| 【ベイリーフ】 | 紅茶の分量に合わせてカットして使います。ほかのスパイスと組み合わせて。 |
| 【バニラ】 | なじみのある甘い風味。メープルシロップとも合う。 |
| 【カモミール】 | ほんのひとさじで、リラックスする味と香りのミルクティーに。 |
| 【ペパーミント】 | 食後に楽しむ軽いミルクティーに。 |
| 【ラベンダー】 | 個性的な味に仕上がる。使用する量は、ごく少量。ティーパーティーのおもてなしに。 |
おいしいミルクティーをいれてみましょう!
イメージどおりのミルクティーにするためには、“いれ方”も大切。
◆ おいしいミルクティーのための3つのポイント
- 茶葉は多めに
- 必ずお湯の中で十分にむらす
- ミルクは高温になるまで温めない
ミルクティーの基本のいれ方3つをマスターしましょう!
【基本のいれ方1 – 濃いミルクティー】
※ミルクがたっぷりのものを「濃いミルクティー」というのではありません。
濃い紅茶+ミルクのことです。
- 汲みたての新鮮な水を強火で沸かします。
- 温めたポットかカップに人数分の茶葉を多めに入れます。(ティーバッグは2個でも)
- ミルクの分を引いた量の沸騰したてのお湯をそそぎ、ゆっくり4~5分むらします。
- 軽く温めたミルク(200mlを電子レンジで1分程度)を加え、さらに2分むらします。
- 茶葉をこします。(ティーバッグは取り除く)
*むらし時間が長いので、ポットやカップの下にマットを敷いて熱が逃げないようにしましょう。
*おすすめの紅茶:ルフナ、アッサム、ディンブラ、ダージリンオータムナル
【基本のいれ方2 – 軽いミルクティー】
※軽いミルクティーでも、葉の持ち味を最大限に引き出しましょう。
- 汲みたての新鮮な水を強火で沸かします。
- 温めたポットかカップに、人数分の茶葉またはティーバッグを入れます。
- 沸騰したてのお湯を入れ、ゆっくり2~4分むらします。
- 茶葉をこします。(ティーバッグは取り除く)
- 常温のミルクを入れたカップにそそぎます。
*むらし時間が長いので、ポットやカップの下にマットを敷いて熱が逃げないようにしましょう。
*濃厚牛乳やコーヒー用クリーム、生クリームだと紅茶の風味が消えてしまいますので避けましょう。
*おすすめの紅茶:ウバ、ディンブラ、ダージリン2ndフラッシュ
【基本のいれ方3 – お鍋で本格チャイ】
※ポイントは、茶葉を入れてからお湯を沸騰させないこと。ミルクの温度にも気を配れば、紅茶の風味をしっかりと残したおいしいチャイに。
- 小鍋にお湯を沸かし、沸騰したら弱火にします。このときにスパイスを投入しても。
- 小鍋に人数分の茶葉を多めに入れます。(ティーバッグは2個でも)
- 火を止め、フタをして3分待ちます。少し苦くなりますが、沸騰させないように弱火で2分煮出す方法もあります。
- ミルクと砂糖を入れ、ごく弱火で1分程度、沸騰直前で火からおろします。
*茶葉は水から入れず、沸かしたお湯に入れます。
*ミルクは最後に入れ、ミルクの中で茶葉を煮出さないようにします。
*ミルクが高温になると独特の匂いが出るので、スパイス入りがおすすめです。
*おすすめの紅茶:ルフナ、アッサム、サバラガムワ
おいしいミルクティーにするために<Q&A>
ミルクティーのおいしさは、紅茶のうまみ成分とミルクのカゼインという成分が化学的に混じり合い、コクとうまみを作り出しているから。
熱い紅茶にミルクを入れると、ミルクの温度が急上昇して「ミルク臭さ」が出てしまいます。最初にミルクを入れて、ゆっくりと紅茶をそそぐことで温度の急上昇を防ぎます。
60℃ぐらい… 表面にできた膜に乳脂肪などの成分が付着し、残りのミルクの味が薄まる。
76~78度… ミルク臭さがでてくる。
*軽いミルクティーの場合は常温でかまいません。
ひとことで「おいしいミルクティー」といっても、気分によって変わるもの。スパイスやミルクの量によって重く感じることもあります。
私自身の経験ですが、ミルクティーをお鍋でつくって焦がしたことがあります。煮出すというのは結構難しくて、加熱のしすぎによってイオウ成分が出てしまったのでした。
また、自分では「うまくできた!」と思ったのに、ミルクの量が多くて、まるでホットミルクのようになってしまって大失敗!ということもありました。
また、色が出ていないと、見た目にも残念なミルクティーになってしまいます。やはり視覚で感じるおいしさというのもとっても大切なのです。
ミルクティーは材料がシンプルだから、10回くらいの経験ではパーフェクトなものは作れないと思っています。けれどそこがとても面白い。茶葉の選び方(鮮度)が完璧だったとしても、飲む人の気分というか、そのときの好み、という点で目指すミルクティーが変わるわけですから、その点で難しいといえます。
私自身、茶葉本来の味を生かした「究極のミルクティーができた!」と思ったのに、お菓子といっしょに口にしてみたら・・「??」というようなこともありました。
紅茶とお菓子のマリアージュについては、また別の機会にゆっくりお話ししたいと思います。