特定の看護分野のスペシャリストとして、高い看護技術と知識をもち、現場での実践や教育に携わる「認定看護師」。
看護師のみなさんが日常のケアで遭遇する疑問に、全国で活躍する認定看護師が答えます。
あなたも今すぐ、臨床現場で役立つアセスメントとケアを学んでみませんか?
皮膚・排泄ケア
高齢者のスキンケアで注意すべき点について
- 高齢者のスキンケアで
注意すべきことはありますか? - 老化に伴う変化により脆弱な皮膚であることから、
スキンテアなどの外傷に注意し、
保湿を中心としたスキンケアを行う必要があります
高齢社会となり、入院患者の多くが高齢者となっています。高齢者へのケアを行うなかで、とくにスキンケアとして注意すべき内容を以下に示します。
1) 加齢に伴う生理的変化
- ①新陳代謝、皮膚再生機能の低下
- ②表皮の菲薄化
- ③弾力性の低下
- ④皮下脂肪の減少
- ⑤水分保持能力の低下
- ⑥皮脂分泌量の低下
- ⑦バリア機能の低下
■皮膚の生理的変化
高齢者の皮膚は、水分保持能力が弱く乾燥しやすくなり、菲薄化し脆弱化しています。乾燥している高齢者の皮膚は、紫外線や化学物質などにより、さまざまな皮膚障害が発生する危険性が高いので、スキンケアが重要です。スキンケアのポイントは「3つの保!」、保清・保湿・保護が大切です。
2) 皮膚の特徴
- ①しみ、しわ、たるみがある
- ②乾燥しやすい
- ③外的刺激により損傷を受けやすい
- ④抵抗力が衰え、感染しやすい
- ⑤傷が治りにくい
- 高齢者の皮膚(スキンテアが発生している)
- 健常な皮膚
高齢者の皮膚は乾燥して、スキンテアなどの外傷が発生しやすくなります。反対に健常な皮膚は潤いがあり、外傷を受けにくくしなやかです。
高齢者の皮膚の観察とアセスメントのポイントは以下のとおりです。
- ①原疾患、既往歴、合併症、アレルギーの有無、治療内容(薬剤、放射線療法など)、栄養状態、清潔ケアの自立度や実際の方法、衣類や寝具、ベッドサイドの環境などを把握する
- ②全身の皮膚の観察を定期的に行う
- ③汚れのたまりやすい部分の清潔が保てているか観察する
- ④オムツ着用時は臀部~鼠径部の紅斑や浸軟の有無を観察する
- ⑤皮膚の乾燥、湿潤、掻痒感、皮膚損傷の有無、感染徴候などを観察して異常時は医師へ報告し対処する
■汚れのたまりやすい部位
高齢者のスキンケアの目標は、
- ①清潔を保持する
- ②刺激物を除去する
- ③乾燥を予防する
- ④紫外線を予防する
- ⑤圧迫・摩擦・ずれから保護する
- ⑥尿・便失禁による汚染から防御する
- ⑦感染を予防する
- ⑧保湿に努める
の8点です。とくに清潔の保持と保湿が重要となります。
1) 清潔の保持
高齢者の皮膚は菲薄化し脆弱なので、皮膚の負担の少ない方法で清潔を保つ必要があります。全身状態や安静度に応じて、清潔方法を選択します。
①入浴、シャワー浴
お湯の温度は、37~40度を目安にし、湯につかる時間は10分以内とします。熱すぎる湯や長湯は皮膚の乾燥や掻痒感を助長するので避けます。ナイロンタオルやボディブラシは表皮を傷つけやすいので使用せず、木綿などの柔らかい素材のものを選びます。手で洗う方法でも十分に汚れを落とすことが可能です。石けんはよく泡立てて泡で皮膚を包み込むように洗い、その後、石けんが残らないようにお湯で洗い流します。
泡立てた石けん
②部分浴
手浴、足浴は汚れやすい指や趾間、爪周囲の清潔保持に効果的です。汚れやすい陰部は1日に1度の洗浄が望ましいです。
③清拭
保湿効果のある清拭剤などを使用し、柔らかいタオルを使用し、こすりすぎないようにします。
④洗髪
頭部、毛髪は汚れやすい部分であり、週1回以上の実施が望ましいです。入浴ができない場合はドライシャンプーを用いる方法もあります。
⑤爪切り
手足の爪は白い部分を1~2mm程度残した状態に切ります。深爪をすると陥入爪になりやすく、感染などの危険性もあるため注意します。
2) 予防的スキンケア
①皮膚の乾燥を予防する
石けん類は弱酸性で、なるべく低刺激のものを選びます。保湿剤入り入浴剤や清拭剤を使用します。入浴後、速やかに保湿剤や市販のボディクリームなどを使用します。保湿を行う際にも、皮膚をこすらないように優しく塗布します。
■保湿剤の塗布方法
保湿剤を点在させ、指先ではなく手のひらを使って、優しくていねいに広げます。皺に沿って塗ると皮膚に広がりやすくなります
②物理的刺激を避ける
衣類、とくに肌着類は化学線維を避け、なるべく木綿などの自然素材で柔らかい肌触りのものを選びます。ポジショニングに注意し、皮膚への圧迫や摩擦、ずれを避けます。
③紫外線を避ける
紫外線の強い時期には、帽子や上着で紫外線から肌を守ります。日焼け止めも必要なので、刺激の少ないものを選びましょう。
④その他
電気毛布やホットカーペットは、皮膚の乾燥を助長しやすく、知覚の低下から低温熱傷の危険性が高いので、長時間の使用は避けます。暖かくなったら電源を切ることが必要です。
高齢の患者でウロストミー(尿路ストーマ)を保有されていましたが、固形石けんで洗浄されていたため、乾燥し掻痒感が強くストーマ装具が困難となりました。
洗浄を保湿効果の高い洗浄クリームに変更し、保湿力のある被膜剤を使用した結果、乾燥が改善し、掻痒感も軽減しました。
■症例に使用した洗浄クリームと被膜剤
- リモイスクレンズ
- リモイスコート
洗浄方法を検討し、保湿を行うスキンケアを実施することによって、潤いのあるしなやかな皮膚を維持することができ、外傷や皮膚障害を予防することができます。