薬で痩せる方法
クスリを理解して、正しく飲む
メタボの治療方針は「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬」です。まずは、食事と運動治療を3か月程度実行し、改善が見られない、あるいは不十分な場合は薬物治療を考えます。改善しつつたる場合は、食事療法、運動療法でもうしばらく様子を見ます。しかし、メタボと言っても、明らかな糖尿病や高血圧、脂質異常性(高脂血症)のときは、すぐに薬を用いなくてはならないケースもあります。ここでは、狭義のメ夕ボ、すなわち、内臓脂肪が多く、血糖値、血圧、脂質に軽度の異常がみられる場合の薬物療法についてお話ししましょう。
チアゾリジン誘導体(アクトス)
一言でいうと内臓脂肪を皮下脂肪に変えるような効果が期待できる薬です。内臓脂肪などの大型脂肪細胞からは、インスリンの働きを弱める悪玉ホルモンが分泌されますが、この薬は大型脂肪細胞を小型化することにより、その分泌を減らします。逆にインスリンの働きをよくする善玉ホルモンを増やします。血糖値を改善させるだけでなく、動脈硬化の進展も抑え、心筋梗塞、脳同世塞を起こしにくくする作用も併せ持っています。中性脂肪値も改善します。服用して体重が増えたり、むくみが出た場合は、他の薬に変更します。メ夕ボで血糖値の異常がみられる場合、まず試してみたい薬です。
ビグアナイド(メルビン、グリコランなど)
この薬もインスリンの働きを良くする作用があります。特に肝臓での糖の産生を減らしますので、空腹時の血糖値を改善させる効果も朋待できます。75歳以上の高齢者には、原則として用いません。便がゆるくなる方がおられます。体重増加が起きにくいのが長所です。
α-グルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ、セイブル)
糖の吸収を遅らせる薬です。血糖値をゆるやかに上昇させます。食事をゆっくり食べたのと同じ効果が期待できます。食後高血糖を是正することにより、インスリン分泌を減らし、高インスリン血症が改善され、血圧や動脈硬化にもいい影響を及ぼします。厚労省が認可を与えた健康食品、特定保健用食品(特保)にも食後の血糖値の上昇を抑える作用を持ったものがありますが、効果は薬と比べ、かなり弱くなっています。食後の血糖値の上昇を抑える効果は、特保では10mg/dl程度、この薬では30~50mg/dl出程度と考えればいいと思います。いろいろな薬と併用でき、多用されています。おならが出やすくなるのが欠点ですが、しばらく飲んでいるうちに、減ってきます。まず、夕食後から飲んでもらいます。会社では、おならが出ると困りますが、家では被者は家族だけですから。私は患者さんには、「まず、おならし運転してみましょう」といって、この薬を開始しています。
スタチン(クレストール、リピトール、リパ口、メパロチン、リポパス、ローコール)
LDL (悪玉) 血管壁の中への取り込みを抑え、動脈コレステロール値を下げる薬ですが、硬化そのものの進展を抑制したり、血管の壁を強化して血栓そのものを作りにくくします。服用して数ヵ月で、心筋梗塞や脳梗塞が減ることが明らかになっています。LDLコレステロールは動脈硬化の本体ですので、危険因子を重複して持っているメタボの場合、LDLコレステロール値が正常値であっても、スタチンの効果が期待できます。中性脂肪値を下げる作用もあります。腎機能低下例では服用に注意します。
フィブラート(トライコア、リピディル、ベザトール)
中性脂肪値を下げる薬です。数値を30%程度下げます。LDLコレステロール値はあまり高くなく、中性脂肪値が高いケースで用います。アディポネクチンを増加させ、インスリンの働きを良くする効果もあるとされています。LDLコレステロール値が上がるとともありますが、通常スモールデンスLDL値は下がっています。
糖尿病を伴っているケースでは、中性脂肪値を下げると心筋便塞や脳梗塞の発症を減じることができます。高齢者や腎機能が低下しているケースでは横紋筋融解症という副作用が起こりやすくなるため原則として用いません。
アスピリン(バイアスピリン、パフアリン81)
血小板が固まるのを抑え、血栓期栓を作りにくくする薬です。心筋梗塞、脳梗塞は動脈硬化が関与しますが、最終的には傷がついた血管壁に血小板が集まって一塊になり、その血マメが血管血小板が闇まるのを抑え、を塞いでしまいます。アスピリンはその最終段階を断ち切る薬です。心筋梗塞、脳出悦塞などの発症30%程度抑制でさることが証明されています。危険因子を重複して持っているメタボの方には、効果が期待できます。バイアスピリンは腸で溶けるため、胃に対しての副作用が起こりにくくなっています。海外ではアスピリンというと、大半がこの腸溶剤を用います。
現在、心筋梗塞、脳梗塞を起こしていない人には、医療保険の適応がありません。循環器疾患の治療ガイドラインでは、リスクのある方には用いることが推奨されており、医療保険適応との間にギャップがあります。現在、心筋梗塞・脳梗塞を起こしていないが、そのリスクを持った患者さんに投与して予防する(一次予防といいます)、全国規模の臨床調査が行われています。
エイコサペンタ工ン酸(工パデール)
青魚に含まれているエイコサペンタ工ン酸は、中性脂肪値を下げるだけでなく、HDL (善玉)コレステロールも噌やし、血栓を作りにくくする作用も併せ持っています。魚油が健康にいいと言われるのはこのためです。NASHを防ぐ効果もあります。