「肌の老化は、それまでにあたった紫外線の量に比例する」と言われ続けてきましたから、紫外線の強くなる4?8月には、日焼け止め効果のある化粧品を積極的に使ってきました。
でも、その常識も間違い……。今あたった紫外線が害になって皮膚に異常をあらわすのは、実は40~50年も先のことなのです。
平均寿命以上に生きた時のシワやシミ
40歳、50歳の女性であっても、日焼け対策を必死です。いや、そのくらいの年代の女性のほうが、若い女性よりもしっかり日焼け対策をしています。
紫外線にあたるとシワやシミを増やしてしまう……。
だから化粧品を分厚く塗ってカバーするばかりか、大きな帽子をかぶったり、夏手袋をしたり、黒の日傘のほうが紫外線をよりカットするとして黒い傘をさして歩くなどはもとより、せっかくリゾート地に行っても木陰に隠れて太陽にあたろうとしません。
確かに紫外線はシワやシミをつくり、老化を増長させます。それは事実です。しかし、今、太陽を浴びたからといって、それが明日、シミやシワになるわけではありません。
1年後になるわけでもありません。今浴びた紫外線がシミやシワにつながるのは、40~50年も先のことなのです。
つまり、あなたが20歳なら60~70歳のときのシワ・シミになり、30歳なら70~80歳、40歳なら80~90歳、50歳なら90~100歳になったときのシワやシミを気にしていることになります。
ですから、精一杯日焼けに気づかうのは、30歳あたりまでで十分。
平均寿命以上生きる自信があり、そのときの顔のシワやシミが気になるなら、40歳であっても50歳であっても日焼け止めに精を出すことはいっこうにかまいませんが、それだけ高齢になったときにはシワやシミよりも健康のほうがもっと大事なのではないでしょうか。
しかも、どんなに気づかったとしても、中年以降のシワは0~15歳までの皮膚の状態で、すでに決定していることでもあるのです。
太陽光線は丈夫な骨を連れてくる
太陽光線は皮膚にはよくないことは確かですが、紫外線を怖がるあまりに極端に日光を避けていると、体内のビタミンDが不足し、骨からカルシウムが溶け出し、弱い骨、骨密度の低いスカスカの骨になってしまいます。
もっとひどくなると骨粗鬆症という病気にも。
とくに女性は閉経とともに女性ホルモン・エストロゲンの分泌が急速に減少し、結果、骨量の減少という深刻な事態に見舞われるように仕組まれています。
このときにものをいうのが日光。
カルシウムが腸で吸収されるときに不可欠の栄養素がビタミンDであり、体内のビタミンDは日光にあたることによって初めて活性化して役立つものなのです。
シワやシミを気にして、美白のかわいい顔のおばあちゃんになったとしても、骨がボロボロのために背中が丸まり、腰の曲がったおばあちゃんになってしまいます。
ですから、日焼け止めを重要視するのは30歳までとし、あとは害にならない程度に太陽にあたり、おおいに夏の日を楽しんだほうが得策といえます。
30歳からは活性酸素から守ることが先決
30歳を過ぎたら、太陽の恵みに感謝したほうがよい、とはいっても、日焼けによって皮膚の色が黒くなるのはくすんでみえるのでいや、という人も多いはず。
太陽にあたって色が黒くなるのはメラニン色素の量が増えるからです。このメラニン色素とは、紫外線の攻撃から皮膚を守る勇敢な兵士のようなもの。日にあたたればあたった分だけメラニン色素は増え、バリア機能を増強させます。
このメラニン色素には、「活性酸素の害から人体を守る」という働きがあるという研究成果が発表されたのは、1980年代になってから。私たちが吸い込んだ酸素は、紫外線にあたると活性酸素という不安定な状況になります。
それがほかのさまざまな化学物質と結びつき、さまざまな化学作用をおこします。老化やがんの原因物質であるともいわれています。医学の最前線にあっても、この活性酸素対策は重要なテーマ。
ところが、紫外線のエネルギーによって増えたメラニン色素が、細胞内に発生した活性酸素と結びついて中和し、無毒化するということがわかったのです。
この反応を“メラニンの即時黒化反応”といいます。したがって、30歳以上になったら、メラニン色素を増やす程度に日光にあたりましょう。
「素肌よりもワンランク濃い程度のファンデーションを塗った程度」を目標にしてください。1年中で一番紫外線の強いのはゴールデンウイークあたりですから、4月・5月の紫外線には十分に注意してください。
(1)朝夕の弱い紫外線から始めて、少しずつ時間を増やしていきます。1日のうちでもっとも紫外線の強いのは午前10時から午後2時。最初はこの時間帯は避けてください。
(2)日本人の皮膚のタイプは3種類。自分の皮膚の状態によって日焼けの状態も違いますので自分がどれであるかを知っておきましょう。
1.すぐに赤くなり、あまり黒くならない
2.赤くなるが、数日後には黒くなる
3.ほとんど赤くならず、すぐ黒くなる
すぐ赤くなるかどうかが目安で、赤くならないように日焼け止めの化粧品を使って浴びる時間などを操作してください。
(3)仕事の関係で、日中、ほとんど外に出ない人の場合には、昼休みなどに意識的に外に出たり、ベランダや屋上を利用し、1日冬なら30分、夏なら20分日差しにあたりましょう。1日のうちでもっとも紫外線が強いのは正午前後です。