摂取量で変わる「ビタミンの働き」
1種類でも不足すると体の不調を引き起こす原因となるため、全種類をバランスよく補いたいのが、ビタミン。まずは、1日に必要な量を補うことが重要ですがたっぷりの量を摂ることでより高い働きが期待できます。そこで今回は、ビタミン摂取量について紹介します。
不足分をまず補うことがビタミン摂取の基本
体のあらゆる機能を調節する役割を担うビタミンは、体に欠かせない栄養素。平均的な日本人にとっての摂取の目安が、厚生労働省によって定められている「栄養素等表示基準値」です。ただし、これはあくまでも「不足分」を補うことを目的とした、摂取目安のこと。まずは、規則正しくバランスのよい食生活で、この量をきちんと摂取することが基本となります。
しかしながら、外食中心の食生活など栄養が偏りがちでビタミン全般が不足している人、ストレスや喫煙、飲酒などで特定のビタミンが不足しがちな人が、最近では増えているのも事実。その場合はまず、不足分を補うことが最優先になります。
摂取量で変わるビタミンの「生理作用」と「薬理作用」
ビタミンの働きには、大きく分けて「生理作用」と「薬理作用」があります。「生理作用」とは、不足によって起こる欠乏症を防ぐ働きのこと。例えば、ビタミンB1不足による脚気やビタミンC不足による壊血病の予防など、生命維持のために必要不可欠なものです。
一方「薬理作用」とは、特定のビタミンをしっかり摂ることにより、薬のような効果が期待できる働きのこと。疲労回復や生活習慣病予防、免疫力向上など、目的に合わせて積極的に摂ることで、健康増進に役立てることができます。近年ではこの「薬理作用」に注目が集まっており、積極的に補う人が増えているのです。
薬理作用を期待するならたっぷりの量を補うことが大切
ビタミンを健康増進のために摂るのであれば、厚生労働省が定めた1日に必要な量を補うだけでは十分ではありません。それぞれのビタミンがもつ薬理作用を知り、積極的に量を摂るようにしたいものです。
【ビタミンC】
ストレスや喫煙によって大量に失われてしまうのがビタミンC。疲労回復や抗ストレスなど、健康はもちろん美容のためにも欠かせない栄養素です。ビタミンCは1日1,000mg以上摂るとよいといわれていますが、これはアメリカの栄養療法が健康維持・増進のために必要かつ安全だと定めた「保健量」。たっぷり摂ることで薬理作用が期待できますが、ビタミンCは体外に排出されやすいため、こまめな摂取が大切です。
◎薬理作用
- ・コラーゲンの生成を助け、肌のハリを保つ。
- ・メラニン色素の生成を抑え、シミを防ぐ。
- ・免疫力を上げて風邪などを予防する。
- ・老化を加速させる活性酸素を除去する。
【ビタミンB群】
糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関わり、疲労回復や神経の働きを正常に保つのにも役立つビタミンB群は全8種類。それぞれが独自の働きをもつと同時に、互いに協力しあうことで力を発揮する性質があります。そのため、量をしっかり摂るとともに、8種類をバランスよく補うことが重要です。
◎薬理作用
- ・ビタミンB1
疲労回復を促し、イライラを解消する。 - ・ビタミンB2
ダイエットに役立つ。
粘膜を強くし、口内炎予防などに役立つ。 - ・ビタミンB6
たんぱく質の代謝を助け、
肌や髪などの健康維持に役立つ。 - ・ビタミンB12
中枢神経に作用し、不眠緩和に役立つ。 - ・ナイアシン
中性脂肪やコレステロールを下げる働きがある。 - ・パントテン酸
皮膚や粘膜の健康を保つ。 - ・葉酸
妊娠や出産時のトラブルを予防する。
認知症を予防する。 - ・ビオチン
健やかな肌や髪を保つ。
【ビタミンE】
強い抗酸化力をもち、“若返りのビタミン”といわれるE。1日の必要量は8mgですが、アメリカの保健量は100~300mg。量を摂ることで、高い働きを期待できます。
◎薬理作用
- ・高い抗酸化力で活性酸素を除去する。
- ・ホルモンバランスを整える。
- ・動脈硬化や心臓病を予防する。
- ・血行を促し、冷え症や肩こりを緩和する。
【ビタミンA(ベータカロテン)】
視力を正常に保ち、ドライアイや疲れ目といった目の不調や肌あれ予防に役立つほか、免疫力を高める働きもあるビタミンA。その機能は、米国がん研究所も注目しているほど。食品から摂りきれない分も含め、積極的に量を補いたい栄養素です。
◎薬理作用
- ・紫外線によるシミやシワを防ぐ。
- ・免疫力を高め、風邪などを予防する。
- ・抗酸化力をもち、ガンや生活習慣病を予防する。
過剰症は少ないものの必ず守りたい目安量
様々な働きが期待できるビタミンですが、気になるのは摂りすぎによる過剰症です。まず水溶性のビタミンCやB群などは、余った分は尿として体外に排出されるため、基本的には摂りすぎの心配はありませんが、目安量は守りましょう。また、脂溶性であるビタミンEも、血中濃度が高くなると吸収率が低下。さらに体内の貯蔵組織も広いため、摂りすぎによる影響は少ないといわれています。
一方、同じく脂溶性のビタミンAは、毎日大量に摂り続けると過剰症が起こる可能性があります。ただし、体の中で必要に応じてビタミンAに変換されるベータカロテンを摂れば過剰症の心配はありません。
このようにビタミンは過剰症のリスクは低いといえますが、摂りすぎは禁物。目安量は必ず守るようにしましょう。
1日に必要なビタミン量
(「栄養素等表示基準値」)