ケミカルピーリング 何

ケミカルピーリングとは何をするのですか?本当に効きますか?

ケミカルピーリングとは、皮膚に薬剤を塗り、化学反応による剥離(はくり:剥がす)を促し、
創傷治癒機転(そうしょうちゆきてん)効果により肌の再生を目的とした治療です。

 

創傷治癒機転とは、組織が損傷を受けた時に身体が自然とその部分を
修復させようとする仕組みの事です。

 

ケミカルピーリングは、ざ瘡(ざそう:にきびの事)、色素異常、しみ、くすみ等の
皮膚の美容を目的としています。

 

ケミカルピーリングはホームキットがネットで購入できてしまうほどに、
手軽に施術できるようになったと考えられがちですが、本来は医療行為であるため
皮膚科専門医による施術が必要です。

 

ケミカルピーリングは、国民生活センターの全国消費生活情報ネットワーク・システムに
危害例の相談が寄せられるようになった為、
日本皮膚科学会が「日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン」を作成しています。

 

2006年に改訂された第3版では、evidence-based medicine(EBM)に沿った策定がされています。

 

evidence-based medicine(EBM)とは、「エビデンスに基づいた治療」のことで、
あなたも「エビデンス」という言葉は聞いたことがあるでしょう。

 

「エビデンス」とは臨床研究・試験の結果に基づいた科学的な根拠のことです。

 

「日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(第3版)」には、そのエビデンスに基づき
症状に応じた試用薬剤と推奨度の記載があります。

 

ざ瘡(にきび)についての記載を以下に一例として記載しましょう。

 

炎症性と非炎症性については、試薬品は

 

グリコール酸(推奨度C1)
サリチル酸(マクロゴール基剤)(推奨度C1)
サリチル酸(エタノール基剤)(推奨度C2)

 

陥凹性瘢痕(クレーター等のにきび跡)については

 

グリコール酸(推奨度C2#)
トリクロロ酢酸(推奨度C2)

 

この推奨度とは、以下のようなガイドライン上の分類に基づいています。

 

推奨度A. 行うように強く勧められる
(少なくとも1つ以上の有効性を示すレベルⅠもしくはレベルⅡのエビデンスがある事)

 

推奨度B. 行うように勧められる
(少なくとも1つ以上の有効性を示す質の劣るレベルⅡか良質のレベルⅢあるいは、
非常に良質のレベルⅣのエビデンスがある事)

 

推奨度C1. 良質な根拠は少ないが、選択肢の一つとして推奨する
(質の劣るⅢ~Ⅳ、良質な複数のⅤ、あるいは委員会が認めるⅥ)

 

推奨度C2. 十分な根拠がないので、現時点では推奨できない
(有効のエビデンスがない、あるいは無効であるエビデンスがある)

 

推奨度D. 行わないよう勧められる
(無効あるいは有害であることを示す良質なエビデンスがある)

 

レベルⅠ~Ⅵはエビデンスのレベルを指します。

 

レベルⅠ 文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験のような質の高い研究のデータによる調査
レベルⅡ 1つ以上のランダム化比較試験
レベルⅢ 非ランダム化試験による(統計処理のある左右比較試験を含む)
レベルⅣ 分析疫学的研究(コホート研究や症例対象研究による)
レベルⅤ 記述研究(症例報告や症例集積研究による)
レベルⅥ 患者データに基づかない専門委員会や専門家個人の意見

 

 

ざ瘡(にきび)についてのケミカルピーリングは
推奨度C1~C2(#付は国内にエビデンスレベルが高い論文がなく、欧米の報告を参考)
とされています。

 

肝斑についてもケミカルピーリングは有効性が報告されていますので、
これも一例として記載をします。

 

肝斑はハイドロキノンとケミカルピーリングの併用療法も有効という報告があります。

 

グリコール酸   C2#
サリチル酸(マクロゴール基剤) C2
サリチル酸(エタノール基剤)  C2#
乳酸  C2#
トリクロロ酢酸 C2#

 

そもそも日本人の皮膚に基づいたケミカルピーリングについてのエビデンスは少ないことが
現状にはあるため高い推奨度にはならないことはあるようです。

 

しかし、美容外科(美容皮膚科)や医師によっては
ケミカルピーリングの治療実績が豊富なこともありますので、
いくつかカウンセリングや診断を受けてみる方がよいでしょう。

 

大切なことは、ケミカルピーリングをすれば
それ以降ずっと肌が生まれ変わったようにきれいになるわけではないという事です。

 

ケミカルピーリングは急速な肌のターンオーバーを促すことは冒頭でも書きましたが、
そもそもその肌の症状を根本的に解決する為には、スキンケアの見直し、外用・内服療法、生活指導など
総合的な治療の一環としてケミカルピーリングが行わなれるべきで、
そうでなければ一時的に肌はきれいになったとしても、最終的に健康な肌は得られません。
これもガイドラインの基本理念として書かれてあることです。

 

そして、施術を受けるときは十分なインフォームド・コンセントを受けてください。

 

ケミカルピーリングの危害についての報告を見ると、
ガイドラインに記載されている注意点や留意点の説明が十分にされていません。

 

1.表皮に障害があるため、遮光に関する十分な説明と指導
2.用いる薬剤や、その薬剤の剥離の深達度レベルに応じて適切な遮光や化粧の指導
3.施術後の経過観察の必要性
4.剥離深達度が深い場合は、創傷治癒に基づいた適切な処置が必要

 

ケミカルピーリングは医療行為ですので、エステで受けるような事は避けるべきです。
十分に検討し、本当にあなたの肌にあった治療方法かどうかをよく確認しましょう。