2010年03月29日
化学的見地から~エンジンオイルその2
モチュールの話が出たので、化学合成油についてやります。
化学合成油は大きく二つの種類に分けられます。
その差異はベースオイルの成分で、PAO(ポリαオレフィン)系とエステル系です。
PAOの代表格は、Mobile。
エステル系なら、モチュールです。
化学合成油を語る前に、これらが生まれた歴史を紹介します。
もともとエンジンには鉱物油を使っていたのですが、産地で性能が違っていたのです。
性能が良かったのは、北米の油田から産出されるパラフィン系鉱物油。
中東で産出されるナフテン系鉱物油は、潤滑性能が一枚落ちるとされています。
これは、オイルの分子形状の違いが効いていて、パラフィン系オイルは糸状。
ナフテン系オイルは環状で、表面積の差が潤滑性能に効いているようです。
第二次大戦以後、航空機のジェット化が進んでいきます。
北米の鉱物油はその性能を発揮する中、中東系の鉱物油ではジェットエンジンに対応出来ずにいました。
同等の性能を持つのは、植物由来のヒマシ油でしたが寿命の面で実用性がありませんでした。
当時、ジェット技術でリードしていたアメリカは、これを見越して意図的に輸出を制限しました。
その対応に困ったヨーロッパ諸国は、潤滑性が高いオイルの開発を行い、完成したのが化学合成油です。
この化学合成油を開発するにあたり、手法が分かれました。
ヒマシ油の耐久性アップを狙ったグループと、人工パラフィン系オイルを作ろうとしたグループです。
耐久性アップに成功したのが、エステル系オイル。
(天ぷら油もエステル系オイルなんですけどね・・・)
人工パラフィン系オイルが、PAO系オイルです。
ただし、純粋なエンジンオイルとしての性能は、エステル系オイルが一番です。
ナノレベルで金属に付着するので、(性能を発揮出来る状態であれば)油膜切れはありえません。
そんなエステル系オイルも弱点があります。
ちょっと化学をかじったことがある人なら、加水分解という言葉をご存知かと思います。
エステル系オイルは、アルコールと脂肪酸を脱水縮合し、エステル結合をさせて作るのです。
この反応は可逆性で、水を加えると元の物質に戻ろうとします。
これが加水分解です。
エンジンの中では爆発する度に、水蒸気が出ます。
この水蒸気がエステル結合した部分を攻撃し、オイルの分子をズタズタにしていきます。
化学屋さんも考えたもので、もともと直鎖状(糸状)で水蒸気のアタックに弱かったジエステルを進化させ、側鎖を設けたポリオールエステルやコンプレックスエステルを開発しました。
複雑な形状となったおかげで水蒸気のアタックを受けても、少々オイル分子が破壊されてもエステルオイルとしての性能が維持できるようになりました。
寿命という面では初期の頃よりはるかに良くなりましたが、それでも鉱物油やPAO系の寿命には敵いません。
これから言えることは、金と時間が余って仕方がない人を除き、暴走野郎どもは走行会前にエステル系エンジンオイルに交換。
走行会後は安い鉱物油に交換。
もしくは、性能が安定しているPAO系100%化学合成油を常に使うと良いかと思います。
私は面倒なので、いつもMobile1のRPです。
ガキの頃見たバナナで釘のCMイメージと、100%化学合成油はMobile1のRPだけなので。
おまけ
アメリカのホームセンターで売っている激安鉱物油(3ドル/L)が、日本で売られている鉱物油や部分合成油よりも性能が良いという話がありますが、前述のパラフィン系オイルだからです。
この話を教えてくれた人はアメリカに行く度、ホームセンターでエンジンオイルを大量に買い込んで、日本の実家に送っているそうです。
実際、オートメカニックか何かでベンチテストした結果も良かったそうで・・・アメリカに行く機会があれば試してみたいですね。
化学合成油は大きく二つの種類に分けられます。
その差異はベースオイルの成分で、PAO(ポリαオレフィン)系とエステル系です。
PAOの代表格は、Mobile。
エステル系なら、モチュールです。
化学合成油を語る前に、これらが生まれた歴史を紹介します。
もともとエンジンには鉱物油を使っていたのですが、産地で性能が違っていたのです。
性能が良かったのは、北米の油田から産出されるパラフィン系鉱物油。
中東で産出されるナフテン系鉱物油は、潤滑性能が一枚落ちるとされています。
これは、オイルの分子形状の違いが効いていて、パラフィン系オイルは糸状。
ナフテン系オイルは環状で、表面積の差が潤滑性能に効いているようです。
第二次大戦以後、航空機のジェット化が進んでいきます。
北米の鉱物油はその性能を発揮する中、中東系の鉱物油ではジェットエンジンに対応出来ずにいました。
同等の性能を持つのは、植物由来のヒマシ油でしたが寿命の面で実用性がありませんでした。
当時、ジェット技術でリードしていたアメリカは、これを見越して意図的に輸出を制限しました。
その対応に困ったヨーロッパ諸国は、潤滑性が高いオイルの開発を行い、完成したのが化学合成油です。
この化学合成油を開発するにあたり、手法が分かれました。
ヒマシ油の耐久性アップを狙ったグループと、人工パラフィン系オイルを作ろうとしたグループです。
耐久性アップに成功したのが、エステル系オイル。
(天ぷら油もエステル系オイルなんですけどね・・・)
人工パラフィン系オイルが、PAO系オイルです。
ただし、純粋なエンジンオイルとしての性能は、エステル系オイルが一番です。
ナノレベルで金属に付着するので、(性能を発揮出来る状態であれば)油膜切れはありえません。
そんなエステル系オイルも弱点があります。
ちょっと化学をかじったことがある人なら、加水分解という言葉をご存知かと思います。
エステル系オイルは、アルコールと脂肪酸を脱水縮合し、エステル結合をさせて作るのです。
この反応は可逆性で、水を加えると元の物質に戻ろうとします。
これが加水分解です。
エンジンの中では爆発する度に、水蒸気が出ます。
この水蒸気がエステル結合した部分を攻撃し、オイルの分子をズタズタにしていきます。
化学屋さんも考えたもので、もともと直鎖状(糸状)で水蒸気のアタックに弱かったジエステルを進化させ、側鎖を設けたポリオールエステルやコンプレックスエステルを開発しました。
複雑な形状となったおかげで水蒸気のアタックを受けても、少々オイル分子が破壊されてもエステルオイルとしての性能が維持できるようになりました。
寿命という面では初期の頃よりはるかに良くなりましたが、それでも鉱物油やPAO系の寿命には敵いません。
これから言えることは、金と時間が余って仕方がない人を除き、暴走野郎どもは走行会前にエステル系エンジンオイルに交換。
走行会後は安い鉱物油に交換。
もしくは、性能が安定しているPAO系100%化学合成油を常に使うと良いかと思います。
私は面倒なので、いつもMobile1のRPです。
ガキの頃見たバナナで釘のCMイメージと、100%化学合成油はMobile1のRPだけなので。
おまけ
アメリカのホームセンターで売っている激安鉱物油(3ドル/L)が、日本で売られている鉱物油や部分合成油よりも性能が良いという話がありますが、前述のパラフィン系オイルだからです。
この話を教えてくれた人はアメリカに行く度、ホームセンターでエンジンオイルを大量に買い込んで、日本の実家に送っているそうです。
実際、オートメカニックか何かでベンチテストした結果も良かったそうで・・・アメリカに行く機会があれば試してみたいですね。
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この記事へのコメント
2010/03/29 23:26:52 私は常に純正の100%鉱物油入れっぱなし(笑) 壊れないし。 結局は給排気ノーマルでときたまぶん回す程度では純正のベンチテストの域を超えていないと言えるのでしょうねw | コメントへの返答 2010/03/30 00:02:42 壊れたら純正の意味がw 商用車にも使う5W-30は、2万キロ走行上等のタフさがあるので、鉱物油で5000km毎の交換は勿体無いそうです。 これが0W-20だと、何時ぞやの自動車技報で高温高回転時のメタル攻撃性を指摘されていたような気がするので・・・我々の使い方には合わないと思います。 R35はMobile1RPが指定オイル。 Z34は日産純正オイル。 チューンドエンジンでない限り、エンジンオイルへのこだわりは宗教みたいなものですよね。 |
2010/03/30 12:26:20 純正オイルを指定距離で交換してりゃ壊れないんだろ? ていう、素直な人が結果的に一番効率がよい、て事だね。 R35はMobile1RP指定って事は、メーカーでのテスト時とかエンジン組上げの時もそれ使ってんのかな。 | コメントへの返答 2010/03/30 20:16:41 一般的なドライバーは月イチでフードを開けることなんてありませんから、5000km毎にオイルを交換すれば不具合を見つけるきっかけになる場合もあるんですよね。 純正オイルだと持たないから、このオイルにしたそうですよ。 もちろん封入もこのオイルで、オイルフィラーキャップにも、Mobile1RP 0W-40と表記されてます。 ENGルームを見る機会に見てください。 |
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