糖質制限ダイエットは、つらくて面倒な運動をしなくても十分ダイエット効果が得られるといわれています。糖質制限で痩せる仕組みと、そのときのポイントや注意点について紹介します。

糖質制限ダイエットに運動は必要ない?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2010年版)を元にすると、30~40代でデスクワークが主である生活を送っている中心の女性は、1日およそ1750キロカロリーのエネルギーを必要とします。その60%を糖質から摂取するならば、1050キロカロリー分を糖質から得るという計算になります。

糖質1gはおおむね4キロカロリー相当あるので、1050キロカロリー÷4キロカロリー≒263となり、およそ260g/1日の糖質を摂取するということになります。ちなみに、米飯お茶碗1杯分(150g)の糖質は約55gです。

こうして導き出された1日に必要な糖質量ですが、これは1日に必要なカロリーを得るための目安であり、必ずしも糖質で得なければならないカロリーではありません。タンパク質や脂質であってもよいのです。というのも、食事から得るタンパク質や脂質は、「必須アミノ酸」や「必須脂肪酸」といって、人が体の中で自力ではどうしても合成することができない栄養素も含みます。しかし、糖質は、食事から摂らなくても、体内で脂肪などを分解して得ることができるのです。

そこで、糖質制限ダイエットは、1日に摂る糖質の量を60g~130gくらいまで減らすべく、米飯やパンなどの主食を制限します。甘いお菓子なども、基本的には摂りません。また、おかずに関しても、いも類や人参など根菜は糖質が多いので避け、調味料も砂糖は使いません。その代わり、タンパク質を多く含む肉や魚、脂質などの摂取量は相対的に多くなります。

糖質制限ダイエットではカロリー制限は行わず、豊富にタンパク質を摂取しているため、筋肉の分解が起こりにくいのです。日常の活動量を極端に減らしたりしないかぎり、糖質制限中で痩せていく過程であっても筋肉量が維持されやすく基礎代謝が落ちにくいです。

一方、カロリー制限ダイエットの場合は必然的にタンパク質の摂取も減っており、ダイエットが終了したときには基礎代謝が低下し、リバウンドしやすいということが指摘されています。しかしながら、筋肉量を増やして基礎代謝をあげる相乗効果を狙い、よりキレイな体作りや健康増進の効果を得たりするため、運動はしたほうがよいという考え方も実際にはあります。

糖質制限中に運動するときのポイント・注意点

糖質制限の期間が短く、まだ十分に慣れていない人は、負担の大きな運動はやめておいたほうがいいでしょう。たとえば、糖質制限と同時に行う運動は、週に2~3回程度の30分程度のランニングや、1時間程度のウォーキングなどの有酸素運動か、もしくは(有酸素運動はやめて)筋肉トレーニングのみにとどめましょう。また、運動を取り入れる場合は、糖質を制限する度合をゆるやかにし、以前食べていた量の3分の1程度は食べるようにするなど、糖質を補います。

なお、非常にハードに運動を行う長距離ランナーの例においては、糖質制限を6か月以上続けていれば体が糖質の代わりに脂肪をエネルギー源にすることに適応し、パフォーマンスの低下は起こらないとされています。ただし、その場合はタンパク質、脂質は十分に摂取し、過度なカロリー不足に陥らないことが条件となります。

基本的に、運動を行っていなくても消費カロリーが摂取カロリーを上回っていれば体重は減少していきます。糖質制限を行うことで、結果的に総エネルギー摂取量が減っていれば体重は減るでしょう。ただし、そうした場合でも、学校や職場の行き帰りでできるだけ歩く、エレベーターではなく階段を使うといった工夫によって、日常生活での活動代謝を高めた方が効果が期待できることはいうまでもありません。

このように、糖質制限ダイエットにおいて、必ずしも運動は必要ではありませんが、行うならば体が適応する前に無理をしないように注意してください。長く続けると、相乗効果でよりキレイな体づくりができるはずです。

糖質制限による健康影響についての注意事項

糖質制限の効果や安全性については諸説あります。例えば、効果に関して、63名の肥満の男女を低炭水化物食群とカロリー制限低脂肪食群に分けて行った研究で、6か月後では低炭水化物食群の減量幅が大きかったが、1年後になると両者の違いは見られなかったとしています[1]。また、日本糖尿病学会は運動療法と総エネルギー摂取量の制限を重視し、糖質制限に関して、「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない」としています[2]。当コンテンツはあくまでも糖尿病などのリスクを持たない健康的な人を対象としていること、また、健康的な人の場合でも糖質制限を取り入れることでの長期的な効果や、健康への影響について否定的な意見があることにご注意ください。

参考文献

  1. [1]Gary D. Foster, et al. A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity, N Engl J Med 2003; 348: 2082-2090
  2. [2]日本糖尿病学会. "日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言" 日本糖尿病学会. http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40(参照2017-06-29)