Sponsored Links
体臭の話(10/21)
ニトロの甘い匂いがするせいで近くで鼻をスンスンされることが多かったかっちゃんが、体臭がきついって勘違いして気にしてたら可愛いなって小話
出「どうしたの、君が僕に相談だなんて」
勝「うるせえ!俺だっててめえになんか」
出「はいはい、そういうの文字数的に省略するよ。で、どうしたの?」
勝「文字数…?チッ。てめぇなら知ってんだろ、俺の体臭はよ」
出「体臭?ああ、ニトロの匂いのこと?」
勝「そうだ。アレってどのくらい臭ぇんだ」
出「え?」
勝「自分じゃ慣れすぎて全然わからねえ。中学ン時から制汗スプレーで押さえちゃいるが…」
出「??」
勝「近付いたらやっぱ…、臭うんだろ?だからどんくらいきついのか知りてぇ…」
出「色々ツッコみたいんだけど、まず誰と近付く予定があるのか聞きたい」
勝「てめぇにゃ関係ねぇだろ」
出「切島くん?」
勝「わかってんじゃねぇか!!!」
出「そっか…いつかそうなるんじゃないかと思ってたけど、そうか…もう…」
勝「ブツブツ言うなきめえ」
出「それにしても初体験のためにそんなこと気にするなんて、かっちゃんてば案外可愛いんだね」
勝「バッ…!はつ、初体験のためとかじゃねえ!!!」
出「え?」
勝「ま、まだギュッてしてもねえ…」
出「何だそれめっちゃシコい」
勝「は?」
出「でもかっちゃん臭くないよ?」
勝「嘘吐くんじゃねぇ!知ってんだよその辺の奴らが俺の側で臭い嗅いでんのは!」
出「いい匂いだからだよ」
勝「何だ、つったら全員『何でもない』っつって顔引きつらせんだよ!そんなん絶対ェ臭ぇんだろ!」
出「みんな君の顔にビビっただけだよ」
勝「とにかく!ここままじゃ切島と次のステップに進めねぇ!いいから俺の臭いを嗅げ!」ギュッ
出「へ?え!?」
勝「どうだよ、どんな臭いだ」
出「いやそのかっちゃんの胸に顔を埋めてる状況が幸せすぎて何もわからない…!」
勝「はあ!?てめぇしっかりやれや!」
出「あっちょっだめ、お、押し付けないで…!」
ガラッ
切「おーい、ばく…ご…」
勝「……」
出「……!!」
切「…爆豪」
出「こ、これは違うんだよ切島く」
切「緑谷は黙っててくれ」
出「うん…」
勝「ンだよ」
切「爆豪、ちょっと来い」
■
爆豪は俺を避ける。いや、話はするし手は繋ぐから、普通の友達より距離は近い。それでも所謂恋人らしいことをしようと思うと、途端に爆豪は俺を避ける。
正直言って寂しかったが、相手の嫌がることは男として絶対にやりたくないと思って我慢してきた。我慢出来たのは、爆豪が誰に対しても一定の距離を保っていたから。それなのにーー。
「何で緑谷と抱き合ってたんだ?」
「抱き合うとか妙な言い方してんなよ」
「いや、抱き合ってただろーが」
強い語気で返せば怒りが伝わったのか、あの爆豪が言葉を詰まらせた。
「…別にいいだろ。相手はデクだぞ…」
「その言い方も腹立つな。緑谷は特別なのかよ」
「そんな意味じゃねぇよ!」
「じゃあ何なんだよ!」
どうしても堪えきれず怒鳴ってしまう。駄目だ、感情的だと伝わるものも伝わらない。わかってるのに、心が痛くて仕方がない。
「緑谷は良くて!なんで俺は駄目なんだよ…っ」
触れたい。抱き締めて、幸せを共有したい。そう思ってたのは俺だけなのか?
「勘違いしてんじゃねぇ!てめえが一番に決まってんだろーが!」
ボンと目の前で小さな爆発が起きる。目をぱちくりさせる俺に、爆豪は続けた。
「デクには………相談してただけだ…」
「相談…?何の…」
「臭いだよ!俺の!!体臭だ!!」
意味がわからない。爆豪の体臭?甘くてエロいこの匂いか?
「自分じゃどんな臭いかわかんねぇから、デクで試して対策するつもりだったんだよ」
「ええ?それで緑谷…?」
「アイツなら鼻ヒン曲がって死んでもいいだろーが。むしろ死ね」
「相変わらず緑谷に酷ぇな…」
あまりの暴言に怒りが萎れていくのがわかった。一転、同情の気持ちさえ芽生えてくる。
「…つうことは、バクゴーは自分の体臭がきついとでも思ってんのか?」
「何度も言わせんじゃねぇ」
「ハハ、そっか」
「…にやけてんなクソが」
「悪ぃ。真剣に悩んでるのにこんな風に思っちゃいけねぇんだけどよ、案外可愛いこと気にしてンだなぁと思って」
「放っとけ!てめえだって好きな奴に臭ぇと思われたら嫌だろうが!」
「…!」
今、聞き間違いじゃなければーーもしかして俺のことで悩んでたのか?
俺が匂いに気付くのを気にして?この爆豪が?
というより、そもそもコイツも俺と恋人らしいことがしたかった?
「何だ…」
色んな意味で脱力する。何だよ、もっと早くに聞けばよかった。
「何だとは何だよ」
「いやまあ…安心しろよ、おめーはいい匂いだよ」
爆豪は知らない。甘いニトロの匂いが俺の鼻腔を擽る度、邪な妄想が掻き立てられていることを。匂いだけじゃない。どんな仕草も言動も、お前だったら俺は何だって愛しいんだ。
無防備だった腕を引き、その勢いで抱き寄せる。咄嗟に離れようと力を込めた爆豪だったが、させまいと一層強く両腕の中に閉じ込めた。
「なあ、これからはいっぱい抱き締めさせて」
耳元で囁けば、ぱっと耳が赤くなる。
やっと捕まえた温もりに、少しだけ涙が出た。
Sponsored Links
Sponsored Links