週一回朝日新聞に掲載される朝日俳壇をテキストに気ままに自習している俳句愛好者です。「生涯学生気分」凸凹コメントには頓珍漢な鑑賞もあると思いますが、俳句初心者の「蚯蚓のたわごと」とご容赦下さい。 

 大串 章 選 
① 英彦山に入りて聴きたしほととぎす       ⑥ 名水のゆきわたりたる代田かな
② エレベーター街のみどりを突き抜けて      ⑦ 知らぬ子が座ってをりぬ花筵
③ 吹く風にリラの香りのつながれり        ⑧ 筍を掘る一日となりにけり
④ 樫落葉若葉の輪廻吾にもあれ          ⑨ 明るさの湖につながる麦の秋
⑤ 田水張り泥のにほいを宥めけり        ⑩ サングラスシャネルの匂い白日傘 
                            
選者講評
第一句。杉田久女の代表作「谺(こだま)して山ほとゝぎすほしいまゝ」(「英彦山六句」の一)を踏まえる。
第二句。都会の季節感」。硝子張りのエレベーターから街路樹の緑を見下ろしている。
第三句。「つながれり」が言いえて妙である。

「生涯学生気分」凸凹コメント
第一句。英彦山(ひこさん)  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%B1%E5%BD%A6%E5%B1%B1
第四句。春落葉の秋の落葉と違う趣。世代交代。新陳代謝。
第五句。田水のやさしさ、抱擁力。
第八句。時間も体力も要する筍掘り。
第九句。黄金色の麦秋。

稲畑 汀子 選
① 結局は妻が打ちたる蜈蚣(むかで)かな      ⑥ 知らぬ子が座ってをりぬ花筵
② 吾が村にこんな若者溝浚へ            ⑦ 大夏木金環食の時を待つ  
③ 万緑の山の底より乗船す          ⑧ 真つ直ぐに植田曲がってをりにけり
④ 葉表に出てゐなくても橡の花         ⑨ 亀のもう鳴かぬ五月になりにけり
⑤ まだ耳朶に祭囃を連れて寝る         ⑩ 手をふれてみるはつなつの石畳

選者講評
一句目。むかでは見るからに毒々しく、刺されると大変である。叩いて殺す勇気があったのは妻であった。そこへ至る騒ぎが語られた。
二句目。溝浚いで普段見かけぬ若者を見つけた。
三句目。峡の谷川で川下りをする不安。

「生涯学生気分」凸凹コメント
四句目。 橡(とち)の花  http://www.hana300.com/tochin.html
六句目。デジャブ感あり。「知らぬ子が混じってをりぬ焚火かな」。
八句目。真直ぐに曲がる。曲がり方の見事さを逆説的に言った。
十句目。「はつなつの石畳」、気分はよく分かります。私は先月の句会で「はつなつの水切りの石きらら生す」を投句選句したのですが無視されました。

金子 兜太 選
① 花散つて樹木となりて気となりて      ⑥ 麦秋や主(ぬし)を亡くした影法師
② 泣き崩るるやう三陸の卯浪かな       ⑦ 俄百姓学問として草むしり
③ 逗留や茂りの果ての尼僧院          ⑧ アイドルのやうに揃へし苺かな
④ 忘れ得ぬふるさと苗代寒さへも        ⑨ トキのひなも一年生も五月かな
⑤ 熊蜂は自由になりし音符かな         ⑩ サルコジもプーチンもまた夏に入る   

選者講評
一句目。被災地の作者と知って、「気となりて」ひとしおと承知す。
二句目。これは被災地を思いやる人の抒情句。
三句目。上五の投げ出すような置き方が旨い。
十句目。類想の多い句だが「もまた」が曲者。

「生涯学生気分」凸凹コメント
三句目。「茂りの果ての」が曲者。作者のことなんでしょうね。
七句目。草むしりの理論とは。

長谷川 櫂 選
① 海峡を越える桜やどつこいしよ   ⑥孑孒(ぼうふら)や今飛び込んで来たニュース
② 恋文のやうに新茶の封ひらく         ⑦ 将来を知るや知らずやへちま咲く
③ そこここに猫のおもかげ春灯      ⑧ 沖膾(おきなます)木更津沖の簀立て舟
④ 草餅にフクシマの野を思ひけり       ⑨ 金婚の閨(ねや)のしじまや青葉木菟
⑤ 老いたれど遅れたれども松の芯        ⑩ 父の日や父親役の母も亡く 

選者講評
一席。津軽海峡を越えて北海道に上陸する桜。「どつこいしよ」という花の声がきこえる。
二席。薄くてもまぶしい新茶の袋。心ときめくもの。
三席。おぼろな春灯の闇に亡き猫がかくれているよう。愛猫追悼の一句。

「生涯学生気分」凸凹コメント
二席。「恋文のやうに」、ちょっとオーバーですが新鮮!
五席。松の芯はすくっとして姿がいいですものね。自戒の句としたいですな。

○「生涯学生気分」の特選三句          
老いたれど遅れたれども松の芯
海峡を越える桜やどつこいしよ
恋文のやうに新茶の封ひらく     

参考  昨年同時期の『朝日俳壇』です。
http://blogs.yahoo.co.jp/saitou602002/archive/2011/6/6

この記事に

④ 葉表に出てゐなくても橡の
上記の句一文字抜けているようです。
また汀子選の9句目の。「暮れ残る」ですから、「朴の花の白さが浮だっているんですな」前の週の評だろうと思います。間違っていたら御免なさい。

2012/6/5(火) 午前 9:26 [ 今村征一 ] 返信する

今村様
橡の「花」ですね。コピー段階で一応見直してるつもりなんですが、見落としがありますね。ブログアップの「確認」時に列・行が乱れるので必ず調整するんですがその際
余計なことをしちゃってるみたいです。

2012/6/5(火) 午後 3:39 返信する

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