在庫ダイエット その1

<はじめに>
メーカーにおける在庫管理には、ダイエットと共通点が多いことをご存じでしょうか?

世の中には、ダイエットも在庫管理もいろんな方法が紹介されており、どちらも時代の流行りがあるようです。

ダイエットに関して言えば、「○○で痩せる」の○○が、「いくら食べても痩せる」、「トマトを食べて痩せる」、「呼吸法で痩せる」等に変化をして、毎度いろいろなブームを引き起こしています。
また、在庫管理に関して言えば、「適正な在庫管理」「会計から見た在庫」「在庫削減の進め方」等、ダイエット同様にこちらもいろんな文献やセミナーが開催されています。

この様に、ダイエットと在庫管理は、昔から多くの人や企業の関心が高く、何かしら取り組んだことがあるのではないでしょうか?
そして切り口を変えた方法が出ると、次こそは、今度こそは、とトライされる方が多いようです。

究極な言い方をすれば、「痩せるには食べないこと」「在庫を減らすにはモノを作らない事」になりますが、食べないことは生命を脅かしますし、モノを作らない事では企業活動(モノを売って利益を得る)自体を制限するため、企業存続のリスクとなります。

よって、「痩せる」「在庫を減らす」には、「綺麗に」「適正に」という言葉が付くのは、ただ単に脂肪やモノを排除するのではなく、余分なものを排除した上で、健康的で筋肉質な体質を目指していることが重要視されている理由と考えます。

また、本の通りに実行したのに、思い描いた成果が得られないという結果になることが多いのも共通点と言えます。

そこで、今回は、健康で筋肉質な企業体質を目指す在庫ダイエットを始めるにあたって、自社で生産を行っているメーカーを前提にし、まずは、「在庫」の特性を整理し、最初に着手すべき在庫圧縮方法をご紹介します。

<在庫の特性>
○在庫には種類があります
会計の世界から見ると、どんな種類の在庫も「流動資産」となりますが、在庫の発生場所で在庫の名前が変ります。下記に記載する内容は一般的に管理をしている部門を記載しておりますが、企業によって責任所在場所が若干違ってきます。

1.まずは購買部が生産するための「原材料」を購入します。
⇒「原材料在庫」/購買部

2.次に製造部が「原材料」を使って、生産を開始し製品になる途中の「半製品」が出来上がります。
⇒「半製品在庫」「仕掛在庫」/製造部

3.更に製造部が「半製品在庫」を仕上げ、「製品」が完成します。
⇒「製品在庫」「完成品在庫」/製造部

4.出来上がった「製品在庫」を倉庫へ移動します。この時点で製造部の手を離れ、管理元が物流、または、営業側に移ります。
⇒「製品(商品)在庫」「営業在庫」/物流部、または、営業部

○在庫は資金の滞留を示す
在庫は販売をして、はじめて現金を回収できます。
在庫は販売されるまで、会社の資産として計上されていますが、在庫が長期滞留すると、品質が劣化し、不良になる危険性が高くなります。また、在庫が売れないと、原料を購入する現金が用意出来ません。
言いかえれば、在庫を作るには、お金の準備が必要になります。
在庫が滞留していることは、会社の資金繰りを圧迫させるため、在庫回転率は経営にとって大変重要な要素となります。

○在庫が生まれる理由
在庫は、受入と払出の量の差によって在庫が生まれます。
このため、生産した分を全て販売出来れば、在庫は0ということになります。

在庫の差異が生じる要因を整理すると5つに分類されます。
1.量の差異(生産量>販売量)
・事例1:販売見込みが外れる
・事例2:販売減による生産変更が追従出来ない

2.調達と納入のスピードやタイミングの差異
・事例1:生産リードタイムが長く、予め見込生産で在庫を持つ
・事例2:受注した翌日納品が取引条件のため在庫を持つ

3.ロット差異
・事例1:生産設備の制約(例:大ロットでしか生産出来ない)
・事例2:納入数量単位がバラ単位で対応している

4.安心の保険
・事例1:需要予測が不安のため、在庫を抱える(在庫が無いと不安)
・事例2:在庫が少ないと生産対応が忙しくなる

5.部門連携の程度
・事例1:大口受注のキャンセル連絡が製造側に伝わっていなかった
・事例2:製品仕様の変更連絡が製造側に伝わっていなかった

○在庫をなぜ持つか?
受注生産以外の場合、在庫を持たないと顧客が欲しい時に商品の供給が出来ません。
企業は、顧客が欲しい時に供給できるように、事前に製品を生産し、在庫として準備します。
在庫を持つ大きなメリットは、販売機会を逃がさないように、売れる時に確実な販売を行うことにあります。
但し、持ちすぎると経営を圧迫しかねません。
また、隠れがちですが、余裕のある在庫は、すべての部門(購買、生産、営業)の改革や改善活動が行われにくくなり、社内の悪さが見えなくなります。

(文責:谷口)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第190号 2012年9月26日)