肥満の専門家に聞きました!日常生活でできるやせるためのちょっとしたコツ

●解説してくれる人
薬日本堂副店長・薬剤師/広山友紀さん
●先生のプロフィール
ひろやま ゆき
明治薬科大学薬学部卒業。漢方相談を始めて7年。ダイエット、便秘、皮膚疾患、更年期障害、糖尿病など年間約1000人を指導。

お茶
毎日飲むお茶を「薬草茶」に。
太りやすい体質の改善に役立ってくれます

東洋医学では、体は「気=き」「血=けつ」「水=すい」の3つの要素で構成されている、と考えられています。
「“気”は体を動かすエネルギーのこと。“血”は血液の質や量のこと。“水”はリンパ液、胃液、涙など血液以外の水分のことです。この3つの要素が体内でバランスよくスムーズに流れていれば健康で、太りすぎでもやせすぎでもない体が維持できるとされています」と広山さん。
体調をくずしたり、体脂肪が蓄積されてしまうのは、「気」「血」「水」のどれかが弱まり、バランスがくずれるため。
「3つのうち、いちばん弱っている要素を知り、その働きを補ってあげれば、太りやすい体をやせやすい体に変えることができるのです。そのためのベストな方法は、漢方薬、薬草茶、ツボ療法、薬膳の組み合わせですが、まずは手軽にできる薬草茶から始めてみるといいでしょう」
自分の肥満のタイプを知り、それに合った薬草茶を飲むうちに、太りやすい体質が徐々に改善されていくはずです。

あなたはどのタイプ?チャートでチェックを!

水太りタイプ
日本女性にいちばん多いタイプで、ぽっちゃり色白で、むくみやすいのが特徴です。体内にとり入れた水分を排出する機能がうまく働かず、余分な水分や老廃物がたまり、ぶよぶよした太り方に。外見ほどには、体脂肪率は高くありません。

ストレス太りタイプ
体型の特徴は、がっちりした筋肉太りでいかり肩、ずん胴などがあげられます。ストレスによる全身の緊張でエネルギー代謝が悪くなり、余分な脂肪や老廃物がたまりやすい体質です。

血行不良太りタイプ
体型は、下腹がぽっこり出て、全体的にコロコロした太り方が特徴です。外食がちの人や生理不順・肩こりの人に多いタイプ。血行不良、血量不足などで老廃物が排出されず、代謝機能が鈍り、エネルギーが効率よく消費されず、余ったぶんが体脂肪として蓄積されます。

あなたの肥満の改善に役立つお茶は、これです!

水太りタイプには
体内の水分のバランスを整えるために、余分な水分を排出させる利尿作用のある、ハトムギや杜仲茶がおすすめです。


気(ストレス)太りタイプには
香りによって精神的な緊張をほぐし、リラックスできる作用のある、ジャスミンやハーブのお茶がおすすめです。photo

血行不良太りタイプには
健康な血液をつくりだし、血行を促進する作用のある、クマザサやイチョウ葉のお茶がおすすめです。

●解説してくれる人
東北大学大学院生命科学研究科教授/大久保一良先生
●先生のプロフィール
おおくぼ かずよし
東北大学農学部卒業。農学博士。日本食品科学工学会東北支部長なども兼務。大豆におけるXYZ活性酸素消去能力の発見者。著書に『大豆の科学』(朝倉書店)など。

大豆 食欲をおさえ、中性脂肪を減らしてくれる大豆や大豆製品を一日1回は食べる

大豆には、コレステロール値を下げて動脈硬化を予防したり、骨を溶かす細胞の働きをおさえて骨粗しょう症を予防する働きがあることは、広く知られています。
「それだけではありません。大豆に含まれるサポニンという成分に、肥満を防ぐ働きがあることがわかったのです」とおっしゃるのは、30年にわたり大豆を研究している大久保先生。
大豆サポニンの肥満を防ぐ働きはふたつあります。
「ひとつは、食欲を抑制する作用です。大豆は少し食べただけでもおなかがいっぱいになります。この理由を探っているうちに、大豆サポニンには、人間ののどにある神経などを刺激して
“これ以上食べられない”という合図を出させることがわかったのです」
大豆によって“これ以上食べられない”という満腹感が得られるおかげで、ほかの食べ物の食べすぎを防げるわけです。
「もうひとつの作用は、中性脂肪を減らす働きです。血液中の中性脂肪は、脂肪の多い食べ物をとりすぎると増え、エネルギーとして使われなかったぶんが体脂肪となって蓄積されてしまいます。この中性脂肪を減らし、体脂肪の蓄積を防いでくれるのが、大豆サポニンです」
食欲を抑制し、中性脂肪を減らしてくれる成分を含む大豆を、ダイエットに上手に利用したいものですが、どうとり入れていったらいいのでしょうか。
「大豆サポニンは大豆だけでなく、納豆や豆腐、油揚げ、厚揚げ、がんもどき、きな粉といった、大豆製品全般に含まれています。こうした食品を一日に1回は食卓にのぼらせるといいでしょう。具体的には、ゆで大豆なら40~50g、豆腐なら半丁、納豆なら1パックが適当です」
調味料に、大豆製品のしょうゆやみそを適量使うのも効果的。ということは、選ぶメニューがダイエットに適した和食になるメリットもあります。
「また、大豆サポニンには病気や老化の原因のひとつである活性酸素を除去する抗酸化作用がありますが、最近の研究では、大豆サポニンの作用は特殊だということがわかってきています。それは、お茶や玉ねぎ、れんこんなどのほかの抗酸化作用のある食べ物と一緒にとると、より強力な抗酸化作用を発揮するということです」
つまり、病気予防や老化防止にも大きな効果が期待できるということですから、ダイエットをしながら健康と若々しさを保つためにも、うってつけの食べ物といえそうです。

一日の目安量
ゆで大豆なら40~50g、豆腐なら半丁、納豆なら1パックが目安。ほかの大豆製品も、これを目安にして。


●解説してくれる人
管理栄養士/中村雅美先生
●先生のプロフィール
なかむら まさみ
東京農業大学農学部栄養科栄養学専攻卒業。医学博士・管理栄養士の本多京子先生主宰(有)本多ダイエットリサーチに勤務後独立。プロ野球選手の栄養指導も

主食 体脂肪になりにくい! 腹もちがいい!
同じエネルギー量でもたっぷり食べられる!
主食は「ご飯」がおすすめ

「主食に含まれる糖質は、脳や体を働かせるための大切なエネルギー源。頭や体がエネルギー不足にならないために、ダイエット中でも主食は適量をしっかりとることが大切です」と管理栄養士の中村先生。
その主食のなかで、おすすめなのが「ご飯」です。なんといっても最大の理由は、そのエネルギー量。イラストは、同じ160キロカロリーで食べられる主食の量を表したものですが、エネルギー量の高い麺類は、ご飯やパンの半分から3分の1しか食べられないということがわかります。食パンとご飯ではエネルギー量に差がないので、どちらを食べてもよさそうですが「ご飯のほうがパンよりも血糖値の上がり方がゆるやかなので、ダイエットに向いているのです」と先生。
私たちが食事でとった糖質は、小腸でブドウ糖に分解され、吸収されて血管に入りこみます。これが、血糖と呼ばれるもので、この値(血糖値)が上がると、インシュリンというホルモンが働きます。インシュリンは、ブドウ糖を脂肪細胞に送りこみ、脂肪の合成を促します。インシュリンの分泌量は血糖値の量に比例するため、血糖値が急速に上がる食べ物ほど脂肪合成が促され、太りやすくなるのです。
「ご飯は、パンに比べて血糖値がゆっくり上がるので、インシュリンの分泌もおだやか。結果、体脂肪になりにくいのです」
また、血糖値が急に上がる食べ物は、下がるのも急激です。すると、甘いものが欲しくなり、間食につながります。
「ご飯は血糖値がゆるやかに上がるため、下がるのもゆるやかなので、空腹を感じるのを遅らせることができるのです」
このように、ご飯は体脂肪になりにくいうえ、腹もちがよく間食防止にも役立つのです。
「ご飯だけでもいいのですが、ひえ、きび、大麦、ハトムギ、そばなどの雑穀を混ぜるとさらにダイエット向きです」
雑穀に多く含まれるビタミンB1は、糖質の代謝を助け、エネルギーになるために欠かせない栄養素です。また、食物繊維も豊富ですから、余分なものをすみやかに排出させてくれて、どちらもダイエットをスムーズに行う助けになってくれます。


3食
食事抜きは逆効果です!やせたいなら3食きちんと食べること

1食抜くと、ダイエットした気分になりますが、それは間違いです。体は、食べ物が入ってくる回数が少なくなると、「今度、いつ食べ物が入ってくるかわからない」という危機感を覚え、次に食べたものを、できるだけ脂肪として蓄えておこうという力が働きます。これでは、せっかく1食抜いても太りやすくなるだけ。かえって逆効果になるのです。
特に朝食を抜くと、1食抜いた空腹感から、昼食をドカ食いしたり、間食につい手を出してしまいがち。やせるには、3食きちんと食べることが大切だと心得ましょう。


お肉がメインのときには野菜やきのこ、海藻類をたっぷり用意

カロリーが気になるのが、肉や揚げものです。こうしたおかずがメインのときは、できるだけ野菜、きのこ、海藻類をたくさんつけあわせて、これらのヘルシーなつけあわせから先に食べるようにしましょう。そうすれば、肉や揚げものの食べすぎが防げるだけでなく、ビタミンやミネラル、食物繊維がいっぱい食べられるので、美肌にも、便秘解消にも役立ちます。


夕食後はすぐに歯を磨く習慣を!

睡眠中の体は、副交感神経が働いて、脂肪合成を盛んにし、翌日のエネルギー源にします。ですから、寝る前に食べたものは、脂肪として体に蓄積されやすくなるので、寝る2時間前からは、何も食べないようにするのがダイエットの鉄則です。
それでも、どうしても夜食がやめられない人におすすめなのが、夕食を食べたらすぐに歯を磨いてしまう方法。歯を磨いてしまえば、その後に夜食を食べてもう一度歯を磨くのがおっくうになるので、少しの空腹はがまんできるはずです。

運動
おなか、お尻、足全体がスッキリ!
便秘も解消できて太りにくい体にする「水平足踏み」を日課に

●解説してくれる人
加藤内科医院院長/加藤治秀先生
●先生のプロフィール
かとう はるひで
京都大学医学部卒業。医学博士。循環器学会認定循環器専門医。一日300回の「水平足踏み」を自らも実践し、ハードな日帰りの出張でも疲れ知らずの健康体を維持。

ご紹介する「水平足踏み」は、年をとるとともに衰える足腰を強化して、病気や症状を改善しようと、循環器専門医の加藤先生が考案した運動です。
「今まで運動をしたことがなかった人や高齢者でもできるように配慮したもので、簡単で、安心。しかも道具もいらず、場所を選ばずにできるのが特徴です」と先生。
普通の足踏みと異なるのは、太ももを床と水平になる高さまで上げて行うこと。
「太ももを水平に上げることで、お尻やおなか、足全体のたくさんの筋肉を最大限に動かすことになります。その結果、全身の血液の循環が促進され、体内の組織に豊富に酸素が供給されることになるのです。この状態のなかで筋肉の収縮運動を繰り返すことになるので、筋力が効率的に増強されます」つまり、この運動を続けていけば、おなかやお尻、太もものムダな脂肪が落ちて、スッキリします。さらに筋肉が鍛えられることによって、基礎代謝が上がり、太りにくい体にする効果が期待できるのです。
「また、この運動を続けると足全体の筋力が強化されるので、体力がついて疲れにくくなり、足が軽くなって駅の長い階段もラクに上れるようになり、歩くのが楽しくなります」
ほかに、頑固な便秘を解消する効果もあるそうです。
「小腸や大腸の後ろ側にある腸腰筋という筋肉は、普段あまり動かす機会のない筋肉です。この筋肉は太ももとつながっているので、太ももを水平に持ち上げる"水平足踏み"を繰り返すことで、腸が刺激されて蠕動運動(内容物を肛門に送り出す腸の運動)が活発になり、便秘の解消に役立ちます」また、背すじをのばして行うので、腰痛の改善にもなり、骨盤隔膜という骨盤の低部にある筋肉も鍛えられるので、尿失禁を防止することにもなります。さらに生活習慣病の予防にもなる、といいことずくめ。今日から、すぐに始めてみてください。

●最初は必ず10~20回から始めて、目標は一日200~300回。
一度に200~300回行うのが無理な人は、朝、昼、晩など、2~3度に分けて行うとよいでしょう。

目標達成までのプログラム例
1か月後…30~50回
2か月後…50~100回
3か月後…100~200回

●速度は各自のペースから始めて、慣れてきたら1分間に100回の割合で行うようにするとより効果的です。
背すじはのばしたまま
手は自然に振る
太ももが床と水平または水平以上になるまで持ち上げる
下ろすときはつま先から静かに下ろす

1.背すじをしっかりのばして、胸を張り、まっすぐに立つ。
2.この姿勢で片足を、太ももが床と水平またはそれ以上になるまで持ち上げたら、もとの位置に足を下ろす。このとき、腰やひざに負担がかからないように、あまり力を入れずに、静かにつま先から下ろす。片足の上げ下ろし動作で1回と数える。もう片方の足も同様に行う。
※腰痛やひざ痛のある人は、壁や椅子の背、流し台などにつかまりながら行うようにして。


動作
普段の動作を意識するだけで
背中、おなか、太もものラインが
確実に変わってきます!

●解説してくれる人
保健学博士/石田良恵先生
●先生のプロフィール
いしだ よしえ
国士舘大学体育学部卒業。専門は運動生理学。'89~'90年までフロリダ大学スポーツ科学研究所客員教授。現在は女子美術大学教授。20代後半までスプリンターとして活躍し、女子陸上選手の養成にも携わる。現在マスターズ陸上で活躍。

ダイエットのポイントで解説をしていただいた石田先生の提案は、日常生活の動作を変えてみること。
「特別な意識をしないで行っている動作は、いつも同じ筋肉を使っています。筋肉を鍛えてシェープアップするためには、普段使わない背中やおなか、太ももなどの筋肉を使うことが必要です」と石田先生。その手始めが、「なにげない日常生活の動作を意識して行う」ということ。
動作を意識するだけで、いつもより筋肉に対する刺激が増え、運動量も高まるはずです。したがって、わずかでもエネルギー消費に差が出ます。そして、いつしか姿勢がよくなり、体のラインも変わっていくはずです。


●立ったり、座ったりの動作を機敏にする
立つときも、座るときも、テーブルや椅子の座面につかまらず、背すじをのばして素早く行う。
背すじをのばす
太ももの筋肉を使う


●階段の上り下りのときは、つま先から着地する
駅のエスカレーターは使わず、階段の利用を。このとき背すじをのばし、静かにつま先から着地して上り下りするのがポイント。
背すじをのばす
つま先から静かに下ろす


●普段より歩幅を広げ、少し速く歩く
外出するときの歩き方に注意。背すじをのばし、いつもより5~10cm歩幅を広げ、少し速めにさっそうと歩く。
背すじをのばす
いつもより5~10cm歩幅を広げ速めに歩く