過酷なアイドル時代と決死の空中ブランコ あいざき進也さん

  • 2017年1月16日

1978年1月、「雨が降る降る」のキャンペーンでキグレ大サーカスの公演中に空中ブランコにチャレンジ

  • 活動44周年を迎え、記念アルバムをリリースしたあいざき進也さん。若い時の体型を保ち「奇跡の60歳」といわれる

  • 昨年10月26日にリリースしたアルバム「旅路~Memories」(税込み3000円)

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 これは僕がアイドルをしていた1978年、キグレ大サーカスの団員に交じって空中ブランコに挑戦した写真です。「雨は降る降る」という曲のキャンペーンで、スタッフの「進也が空から降ってきたら面白いんじゃない」との一言で決まったのですが、当初は「危険すぎる」とサーカス側から断られたんです。

 通常は数カ月の基礎訓練を経てようやくブランコの練習になるので、アイドルが片手間にできることではないと言われました。その少し前に、団員の方が大けがをされたばかりでしたから。でも僕はコンサートでアクロバットを採り入れていたこともあり、スタッフが「挑戦だけでも」と食い下がって結局やることになりました。

 正直僕は怖かったです。十数メートルの高さでのことだし、下に網があるといっても、大きな網目なので落下角度によっては頭が入って頸椎(けいつい)を痛める可能性もあった。でも当時のアイドルにはやらないという選択肢はありませんでした。仕事のあと30分の練習を1週間して本番。もしもギネス申請したら通ったと思いますよ。

 本番は会場の大声援で集中が損なわれ、「頼むから静かにしてくれ」と思ったほど。異様な雰囲気の中、受け手に飛びつき、自分が乗っていたブランコに戻るタイミングがコンマ何秒の差で3回失敗しました。落ちるたびに命綱のロープで裂傷を負うのですが、2度目に落ちた時、マネジャーの舌打ちが聞こえて悔しくて。4度目に成功した時は心底ほっとしました。

 そんな過酷なアイドルを6年やり、仕事が減ってきた時に大人のシンガーに移行するため修行をしろと事務所の方針でアイドルを休業。ギタリストの寺内タケシさんのところに裏方として行くことになりました。

 かなりの地獄でしたね。寺内さんの身の回りの世話、お茶くみ、雑用をはじめ、楽器を運ぶ「ボーヤー」もやりましたが、これは日々1人で1トンの荷物を運ぶんですよ。しかもここは軍隊式の序列で、僕は一番下の初年兵で上には絶対服従。コンサートの数が多かったので、1年ほぼ毎日この生活でした。でもここで頑張らなければ自分の音楽の道は閉ざされてしまうと必死でした。若い子が入ってきては2、3日で夜逃げしましたが、僕には帰る場所などなかった。

 ステージで寺内さんがスポットライトを浴びている場所に以前は自分がいたのに、楽器の後ろに控える自分からは、そこまでの5メートルが永遠ともいえる距離に思えたものです。

 でもファンに必ず帰ると約束していたので頑張り続けました。約1年半で寺内さんから「よく頑張った。この体験があればお前は何でも耐えられる」と終了を言い渡された時には本当にうれしかったですね。

 ところが会社に帰ると、僕を修行に出した部長は退職し、僕の居場所はなくなっており、途方にくれました。しかもアイドルを1年以上休んだのは致命傷でファンも減ってしまって。

 そこからはライブハウスからやり直し、時にバイトもしながら音楽を続けてきました。寺内さんのところでの経験がなかったらやめていたかもしれません。もうダメかと思っても、今やめたらあの頑張りが無駄になると踏ん張って、近年は歌う場が広がってきた。

 現在活動44周年。今後も、長生きして、音楽活動を続けていきますよ!

    ◇

あいざき・しんや 歌手 岐阜県生まれ。1974年「気になる17才」でデビュー。第1回FNS歌謡祭新人賞他多くの新人賞を受賞し、「プッチ」の愛称でトップアイドルに。現在はライブ、ディナーショーを中心に活動し、「同窓会コンサート」の活動も行っている。

◆あいざき進也さんの還暦記念アルバム「旅路~Memories」が発売中だ。自ら詩を書いたオリジナル曲をはじめ、アイドル時代の「気になる17才」「恋のリクエスト」といったヒット曲の再録、長く自分を支えてくれたという「Again~君のもとへ」、そして今回のために書き下ろした「旅路」など全12曲。いろいろなものが溶けあった歌声が心に染み入る。

「昔の曲から自分が作詞を手掛けてきた曲までを収録するとともに、僕を育ててくださった安井かずみさん、井上忠夫さん、加瀬邦彦さん、渡辺茂樹さんといった作詞作曲の先生方への感謝の気持ちをこめて選曲しました。長年ライブで歌い、僕を支えてくれた「Again~君のもとへ」はぜひ作品化したかったので今回入れられてよかった。また、『あいざき進也は実はバラード歌手』とこの作品でぜひ知っていただき、何かを感じていただけたらうれしいですね」

(聞き手:田中亜紀子)

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