達人に訊け!
筆の製造方法 (後編) 2013/11/2
皆さんこんにちは、風も冷たくなってきて、秋の訪れを感じ始めている今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?
今回は、前回に引き続き筆の製造方法~後編~についてお話していきたいと思いますが、でもその前に少しだけ前回までの工程を簡単におさらいしておきましょう。
前回までは、沢山の毛の中から良質な原毛を選び、煮沸をして原毛に含まれる雑物を取り除き、火のしと言われる工程で原毛を真直ぐにしてから、必要とされる筆の部分ごとによってカットするところまでお話ししました。
どの工程でも、職人の技術力の高さを少しでも分っていただけたかなと思います。初めての方は前回の記事を読んで頂けたら幸いです。
では、前回カットされた原毛~最終工程までお話ししさせていただきたいと思います。
9.毛混ぜ
まず、前回カットした毛を縛り水に浸し、丁寧に半差し(はんさし)という道具を使い無駄毛を取り除きヒラメ(毛の束を平らにした物)を作ります。
10.練り混ぜ
カットされたそれぞれ長さの違うヒラメを一定の分量ずつ取り、重ね合わせて一枚のヒラメにし、半差し使い薄く延ばしては畳み、また、薄く延ばしては畳みを何度も繰り返します。これにより、長さの違う毛を均一に混ぜる事が出来るのです。
例えるなら、青色と黄色の粘土を延ばしては固めて延ばしては固めて緑色の粘土を作る感じです。
11.芯立て
駒((こま)筆の太さを決める物)を使い、胴周りの形を整え、芯の外側から中心までの無駄毛を丁寧に取っていき駒から外して乾燥させる。
12.上毛巻き
先ほど出来た芯にフノリを付け、薄く延ばした上毛(化粧毛)を巻いていきます。その後、もう一度駒に差し形を整え無駄毛を取っていき乾燥させます。上毛とは、美しく艶のある毛の事です。筆も美しくなる為にお化粧をするのです。
13.焼き締め
鋒((ほ)先ほど出来た物)の根元を麻糸で縛り、熱したコテで根元を焼き固め、鋒の型崩れや抜け毛を防ぐ為に行われます。その後、丁寧にクシをかけて鋒の完成です!!
14.繰り込み(軸入れ)
鋒の大きさに合わせ軸をくり抜き、鋒を入れ固定させると「さばき筆」の完成です。ヘアーセットの段階でいえばブローが終わった段階ですね。
※羊毛筆の場合「さばき筆」の状態で店頭には多く並んでいます。
15.のり固め
まず、鋒にしっかりとフノリを含ませ、一旦フノリを搾り取り仕上げグシを掛け毛並を整えます。その後に、片方を固定させた麻糸で鋒を縛り根元から鋒先にかけて余分なノリを搾り取り、指先で形を整え、立て掛けて1~2週間ほど自然乾燥させ、ようやく筆の完成です!!
ワックス&スプレーでヘアーセットが出来上がり、バッチリきまっている状態です。
大まかな製造工程としてはこのような感じなのですが、皆様いかがだったでしょうか?
中国を筆頭に海外から格安で大量生産された物とは違う「Made in japan 日本の職人だから出来る、熟練された素晴らしい技術を生かした物作り」少しでも多くの方にお伝えできれば良いなと思います。
最後に、この素晴らしい技術を持った職人を日本の大切な財産として、皆さんと共に守っていけたらと思います。
来週は、墨と硯の相性と題しまして松岡 永哲がお届けいたします。お楽しみに!!
安藤 裕治
※今回使用した画像は 『川尻町筆づくり資料館』 より引用
記事一覧
皆さんこんにちは。まだまだ寒さの厳しい日が続いておりますが元気にお過ごしでしょうか?さて、このブログも約半年にわたってお話しさせて頂きましたが、今…
2014/2/22
皆さんこんにちは、紙を担当させて頂いております安藤 聖翁です。今週も宜しくお願い致します。前回、和紙 ~其の壱~として和紙の歴史(平安時代)までを描…
2014/2/15
皆さんこんにちは、段々と寒さが緩み春の足音が聞こえてきそうな今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?さて、今日は「墨の色 ~其の弐~」についてお話した…
2014/2/8
皆さんこんにちは、寒さも本格的になってきましたがお元気にお過ごしでしょうか?さて今週は筆の手入れの仕方・保管の仕方について話して行きたいと思います。…
2014/2/1
皆さんこんにちは、紙を担当しております安藤聖翁です。本年も宜しくお願いします。さて去年に引き続き紙を題材にしていきたいと思いますが、まず最初は和紙…
2014/1/25
皆さんこんにちは、新しい年を迎えてもう半月以上過ぎてしまいました。時間が過ぎるのは早いですね。さて今日は、「墨の力 ~其の壱~」についてお話したいと…
2014/1/18
皆さんこんにちは、紙を担当させて頂いております安藤 聖翁です。宜しくお願い致します。前回紙を寝かせるメリットや、紙の保管方法を取り上げさせて頂きまし…
2013/12/28
皆さんこんにちは、今年もあと10日になってしまいましたね。一年過ぎるのは、本当に早いですね。先週のブログについて読者のさとりっちさんから質問が届いてお…
2013/12/21
皆さんこんにちは、今年も残すところ後わずかとなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?今回は、筆の歴史・筆作りの歴史についてお話していきたいと思い…
2013/12/14