●支払済みでサービスを受けていない部分の代金が返ってくる場合
実は、業者によっては、「前受金保全措置」を行っていることがあります。この前受金保全措置とは、業者が金融機関や保険会社等と保証委託契約を締結し、倒産等のときには、すでに業者が受け取った代金(前受金)のうち、まだサービスを受けていない部分に相当する前受金の一部又は全部が返金される制度です。
業者が前受金保全措置を取っていると、経営破たんをしてしまったときも一部又は全部の返金を受けることができます。ただこの制度を導入している業者はかなり稀なそうで、実際はこの措置の対象外となるケースが多いと思われます。
自分の契約している業者が前受金保全措置をとっているか知っていますか?特定商取引法で指定された特定継続役務的役務に該当するエステ、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスを行う業者と一般消費者との契約では、法律上、原則として契約の概要を記載した書面や契約書の交付が義務付けられています。前受金保全措置の有無やその内容は契約書に記載されていますので、一度確認してみましょう。
●将来の支払いを止められる場合
また、代金の支払いをクレジット契約にしていて、まだサービスを受けておらず代金の引き落としがまだされていないという場合は、信販会社(クレジット会社等のこと)に支払停止の抗弁書を送付して、支払いをストップできることがあります。
本来、サービスを受けられない部分の代金は業者に返金を求めることができるはずですが、業者からサービスを受けるための契約と、信販会社とのクレジット契約が法律的には別の契約になるため、業者が経営破綻してもクレジットの引き落としは当然には止まらず、トラブルになることが多くありました。
しかし、割賦販売法が改正され、支払いをストップすることができるようになりました。簡単にいえば、エステ会社が倒産してサービスを受けられなくなったから、支払いをストップして欲しいとクレジット会社に申請できるようになったので、これから引き落としされる予定だった代金をは支払わなくて済むことになります。
この通知用の書面は、クレジット会社等の支店や営業所に備えてありますし、日本クレジット協会HPに公開もされています。
ただし、クレジット契約すべてが適用ではなく一定のものに限られ、2か月以上で3回以上の支払方法であること、支払総額が4万円以上(リボ払いのときは3万8000円以上)なこと、一般消費者なことなど一定の条件がありますし、すでに完済してしまったときや、すでに受けたサービスの分の代金の引き落としの場合は該当しませんので注意が必要です。支払いをストップできるかよくわからないときは、早急にご相談ください。
なお、通知をしてもクレジット会社での手続きが間に合わず、引き落としがされてしまうこともありますが、事情が確認できれば通知後の引き落としについては返金対応がされることもあります。しかし、通知する前に払ってしまった分は信販会社に返せとはいえず、あくまで業者に返金を求めざるをえません。
※明日は【法律相談事務所】通っていた脱毛サロンが経営破たん、何をすべき? を公開します!
正木裕美(まさき・ひろみ)
男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。2015年にアディーレ法律事務所へ入所。ブログ「弁護士正木裕美のまっさき通信」も更新中。
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