高性能住宅に薪ストーブを導入する考察

例えばこの前に竣工したばかりの阿部くんち。 
世界性能の木製トリプルサッシ導入で、Q値は1.2程度の高性能住宅です。



延べの空間が110㎡とする。 外気温2度、室内を22度に維持したとしてどれほどの暖房エネルギーが必要か? 内部発生熱は、軒が出すぎているから700wとしよう。

こんな計算式でざっくり導かれる。


内外温度差20℃x110㎡xQ値1.2-内部発生熱700w=必要な暖房熱=1940W


わずか、2Kw程度の熱があれば、この家は全館、快適温度に維持ができる。
それは、当方の事務所にある、小型石油ストーブを連続燃焼すれば手に入る。



ストーブ野郎 入門者の阿部くん。
導入したストーブはバーモンドキャスティング社のアンコールという名機。




最大暖房能力13.6Kwとある。
めらめらと炎が出ていれば、必要な6倍以上の熱が出せる。

事実、内覧会の時に点火して、炎が出ているうちは室温が25℃をオーバー。
暑いから2階の窓を開けておく。すると冷気は入り、足元が冷えてくる。
炎は治まり熾火になると窓を閉める。 熾火も治まると暖気が不足して薪をくべる。
その繰り返しを行った。

床下暖房の場合は、エアコンがサーモセンサーで自動運転するわけだが、薪ストーブは完全手動。
オーバーヒートと感じてもすぐに発生熱を消すことはできない。

車好きがオートマじゃ飽き足らず、マニュアルシフトを望むようなもの。
さらには、F1のレーシングマシーンで路地を抜けてコンビニまで買い物に行く感じです。

ともかく、燃焼度合いを調整する必要があり、かなりコツと手間を要する。
とろ火でちんたらと熱を出し続けてくれればいいものだが、なかなかどうしてそうならない。 炎加減で室温がどうしても上下する。

そんな話を フェイスブック上で交換していたら、PHJの松尾さん・森みわさんのご両人からいろいろな情報を伺った。
特に森さんは、バイオマスエネルギー推奨派なので、木質系燃料の情報が豊富である。
こうしたトップランナーとの意見交換で見えてきた、高性能住宅で薪ストーブを「快適」に使う最高の方法

*蓄熱型薪ストーブを導入する。

バイオマスエネルギーは化石燃料ではないので環境負荷が低い。
一方で、パッシブハウスに代表される高性能住宅で使うには、今までの薪ストーブは扱いにくかった。そこでストーブに熱を蓄えて、じわじわ放熱で持続的に暖めるというストーブが開発された。以前紹介した(ゴラヤ)もそうだが、蓄熱量が6Kw程度でしかない蓄熱ストーブは、高性能住宅では不十分という。理想は20Kw程度の蓄熱量の多い機種を選ぶ。


(このての機種は燃焼効率の観点から、薪が縦置きになる)

例えば、阿部くんちは 2Kwx24hで 一日では48Kwの熱が必要となる。これを導入すると、夕方の帰宅時に1回薪をくべる。立ち上がり時に蓄熱するので温度上昇もマイルドであるという。
建物の保温性と蓄熱量からして、寝起きの時にも寒くない可能性が高い。
そのまま会社に出かけて、帰ってきてから薪をくべる。このリズムである。
1日に3回薪をくべていた暮らしが、1回で済む。

事実、阿部くんちもかなり性能がいいために、夜1度暖房を焚けば朝は暖房がいらないという。そのまま共稼ぎで出かける。 帰ってきても17~18℃で、ストーブは夜につけるだけだという。蓄熱をうまく使えばそれがもっと温度変化がゆるくなる。

それは薪燃料の削減につながる。
具体的には、一冬で、阿部くんちが5棚、薪が必要だとすれば、半減するだろう。
そのかわりほとんど熾火で炎を見る時間は少なくなる。
ストーブ中毒の方々には、「それじゃぁ意味がない」と言われそうだが、
薪を買ってやろうとしている、ラグジュアリーでヨーロピアンみたいな暮らし。
だれか やってみたくないですか? 

薪ストーブをしてみて やはり気になるのが、床温度の低さ。
いつもの床下暖房が 表面温度が20~22℃であるのに比べて17℃程度である。 
2階天井からファンで床下へ送り込むことで、床表面温度をあげるという方法も有効だろう。

薪ストーブという「快楽」の道具を、穏やかな「快適」ツールまでにするには、以上の様々な工事が必要で、それなりに金はかかるし手間はかかる。

さらには、一般的な小間割りの間取りでは相性が悪く、家じゅうで一室空間に近いオープンな間取りが要求されることも付け加えよう。

ここまでやれば「快楽」と「快適」と「エコ」とが両立できるだろう。

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