アニオン界面活性剤の特徴と働きとは?洗浄剤として身近な理由

アニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)は界面活性剤の中でも古くから私たちの生活に活用されてきているものです。その特徴と働きについて知ることで、身近な洗浄剤として利用されている理由を紐解いていきましょう。

目次

  • アニオン界面活性剤の用途や効果は?
  • アニオン界面活性剤の特徴
  • アニオン界面活性剤の働き・効果
  • シャンプーに使用される界面活性剤
  • シャンプーの界面活性剤はさまざま!成分表で確認を!

アニオン界面活性剤の用途や効果は?

界面活性剤の中でも古くから石けんなどでも使用されてきているアニオン界面活性剤は、現在でも身近な洗浄剤の中のほとんどを占めている界面活性剤になるそうです。界面活性剤といっても種類や性質がそれぞれ異なるのでその用途や効果もまた違ってきますが、アニオン界面活性剤の特徴や効果などから、その具体的な用途を見て行きましょう。

水野
編集長の水野です。今回は身近な洗浄剤として広く使用されているアニオン界面活性剤についての知識を一緒に学んで行きましょう。きっとあなたも知らず知​らずのうちにアニオン界面活性剤を使っていると思いますよ。

アニオン界面活性剤の特徴

アニオン界面活性剤はどんな特徴を持った界面活性剤なのでしょうか。広く使われるヒントともなる特徴を見て行きましょう。

マイナスイオンに電離する界面活性剤

まずアニオン界面活性剤を説明する前に、界面活性剤の性質について触れたいと思います。界面活性剤とは、数多くの機能を発揮できるように化学反応が起きやすい状態に分子設計された両親培性物質の総称になります。簡単に言うと、ひとつの分子の中に水になじみやすい性質(親水基)を持つ部分と、油になじみやすい性質(疎水基または親油基)を持つ部分の両方をあわせ持った分子構造をしています。この性質が多様できる強みとしては、通常は混ざり合わないような物質同士の界面(表面)に活性するように働くことで、表面張力(界面張力)を低下させて物質を混ざり合わせることができるところにあります。

界面活性剤とは2つの性質を持つ分子

  • 親水基:水になじみやすい性質の部分です。
  • 疎水基(親油基):油になじみやすい性質の部分です。

界面活性剤は水に溶けたときに電離して、イオンになるイオン性の界面活性剤と、イオンにならない非イオン性の界面活性剤に分かれます。アニオン界面活性剤は、水に溶けたときにイオンになるイオン性の界面活性剤です。その疎水基の部分がマイナス(陰)イオンに電離する界面活性剤で、陰イオン界面活性剤とも呼ばれています。

水野
ちなみにイオンは、プラス(陽)とマイナス(陰)の電荷をもつ原子や原子の集まりのことですよ。
アニオン界面活性剤をはじめとする界面活性剤は、親水基の種類と疎水基の種類や原料でもっと細かく分けられているので、次はそれぞれの特長と主な用途も詳しく見ていきましょうね。

一番多く使われている界面活性剤

界面活性剤がイオン性と非イオン性に分かれることに触れましたが、イオン性界面活性剤は水に溶けた場合のイオンの種類によって、イオンがマイナスに電離するアニオン(陰イオン)界面活性剤、イオンがプラスに電離するカチオン(陽イオン)界面活性剤アルカリ性領域ではアニオンとなり、酸性領域ではカチオンとなるアニオンとカチオンの両方の性質を併せ持つ両性界面活性剤の3つに分類されます。イオンにならない非イオン性の界面活性剤は非イオン(ノニオン)界面活性剤と呼ばれ、界面活性剤は3つのイオン性界面活性剤と1つの非イオン性界面活性剤の4つに分けられます。 

イオン性界面活性剤アニオン(陰イオン)界面活性剤​水に溶けた時にイオンがマイナスに電離します。
​カチオン(陽イオン)界面活性剤
​水に溶けた時にイオンがプラスに電離します。
​​両性界面活性剤
​水に溶けた時にアルカリ性領域ではマイナスに電離して、酸性領域ではプラスに電離します。
非イオン(ノニオン)性界面活性剤
​水に溶けてもイオンになりません。

その中でもアニオン界面活性剤は合成洗剤やシャンプーなどのほとんどで使われているため、私たちの身近で一番多く使われている界面活性剤になります。アニオン界面活性剤の主な種類には、カルボン酸塩・スルホン酸塩・硫酸エステル塩などがあります。

カルボン酸塩は洗浄力や泡立ちが良く、特にアルキルエーテルカルボン酸塩は刺激が少ないので低刺激のボディ用洗浄剤として使用されています。スルホン酸塩の中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)は洗浄力や浸透力に優れているので家庭用の合成洗剤の主成分になっています。硫酸エステル塩は、高級アルコールに酸化エチレン(エチレンオキシド)を付加して硫酸化したポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(AES)で、刺激が少ないので液体洗浄剤によく使用されています。

アニオン界面活性剤の働き・効果

アニオン界面活性剤の働きや効果には洗浄剤に欠かせない要素がたくさんあります。「洗浄剤=○○」とも言える認識が出来たのは、どうやらアニオン界面活性剤の働きと効果によるもののようです。

泡立ちに優れている

アニオン界面活性剤は泡立ちに優れているところから石けんや洗剤などに多用されています。泡は空気が液体に包まれることでできますが、通常空気と水は混ざり合いません。そこにアニオン界面活性剤を使うことで、気体(空気)と液体(水)の界面(表面)に働いて、疎水基の部分が気体を取り囲んで、その周りを親水基の部分が配列するので、空気の周りに水が薄い膜をはって泡になります。これを起泡と言います。泡立ちが良いと言うことは、泡の分量分より広範囲の汚れ部分に泡を付着させることができるので、使用する洗浄液が少量で済んで経済的です。

乳化作用、分散性に優れている

アニオン界面活性剤の優れている働きに乳化作用や分散性があります。乳化作用とは、水と油のような混ぜようとしても分離してしまうようなものでも、アニオン界面活性剤を水に溶かすことで疎水基の部分が油の粒子の周りを取り囲んで、親水基の部分はその表面(界面)に球体(ミセル)状に配列することで水中で安定し、分離することなく水と油が混ざり合うことができる働きのことです。厳密に言うと「混ざる」というよりも、疎水基の部分と親水基の部分が油と水を吸着してミセルを形成することで「混ざり合っているかのように見えている」ということになります。

また、乳化作用と似ている働きで水や油と微粉のような混ざり合わないもの同士もまざり合わせることができます。通常ではススのような微粉体を水に混ぜても水面に浮かんでしまうものですが、界面活性剤の分子は微粉の個体の周りに吸着してその微粒子を水中に分散することで混ざり合わせることができます。

温度の影響を受けにくい性質

アニオン界面活性剤は温度の影響を受けにくい性質とされています。それは、界面活性剤が水溶液に入っている時はその界面が飽和されない限りミセルの形成は行わない(ミセル形成はエネルギーを安定させるために行う)ためです。界面が飽和状態になるとミセルを形成しだしますが、この時の臨海温度をクラフト点(界面活性剤水和固体の融点)と言います。

主な用途

水野
今まで説明してきたアニオン界面活性剤の起泡・乳化・分散などの働きがどんなふう応用されて私たちの生活に利用されているのでしょうか?その主な用途をご紹介しますね。

アニオン界面活性剤の疎水基の部分が汚れや油に吸着して、その周りに親水基が配列することによって、汚れが付着していた部分から汚れや油を浮かせて分離させる効果がありますが、これはつまり汚れや油を浮かして落とす効果になります。また、アニオン界面活性剤はマイナス(陰)イオンに電離しているので、皮脂やホコリなどのプラスを帯びた汚れ物質が吸着しやすい特徴も持ち合わせているため洗浄剤として広く使われています。

衣類用の洗濯洗剤やシャンプー、ボディソープ、化粧品ではその泡立ちの良さと洗浄力から洗顔フォームなどで多く使用されています。

水野
「洗浄剤=泡」や「洗浄力=油を浮かす力」のような認識があると思いますが、これらはアニオン界面活性剤の働きや効果だったようですね。

シャンプーに使用される界面活性剤

シャンプーにはアニオン界面活性剤だけでなく、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤も洗浄成分として使用されています。また、シャンプーの種類は大きく高級アルコール系・石けん系・アミノ酸系の3つに分類されます。

高級アルコール系シャンプーは、洗浄力や殺菌力が高く、市販されている多くのシャンプーは高級アルコール系になります。ラウレス硫酸Na(ポリオキシエチレンラウリルエステル硫酸塩)などが代表的な成分で、洗浄力と殺菌力の高さから肌への刺激は強めです。「高級」アルコールというのはアルコール分子に含まれる炭素数が多いものの呼び名で、逆にアルコール分子に含まれる炭素数が少ないものを「低級」アルコールと呼びます。

石けん系シャンプーは、古くから使われてきたなじみ深い界面活性剤なので、安全性は高いと言えますがアルカリ性で洗浄力も高いため洗いすぎや、髪の毛のキューティクルがはがれて髪がパサつく原因になると言われています。ラウリン酸Kやカリ石けん素地などが代表的な成分です。

アミノ酸系シャンプーは、人の肌や髪の毛にやさしいとされるシャンプーで、原材料に天然由来の高級脂肪酸が使われています。また、アミノ酸シャンプーとは別に高級アルコール系シャンプーや石けん系シャンプーにアミノ酸の界面活性剤を少量配合したアミノ酸配合シャンプーもありますが、主成分は刺激の強い高級アルコール系の界面活性剤や石けんが使用されています。アミノ酸系シャンプーの成分は、ココイルグルタミン酸Kやココイルグルタミン酸Naなどが代表的なので「ココイル」からはじまるものを選ぶと良いでしょう。

これらを見極めるには、シャンプー製品の成分表で使用している界面活性剤が何かをしっかり確認する必要があります。


シャンプーの種類

  • 高級アルコール系シャンプー:洗浄力・殺菌力が高いが、肌への刺激は強いです。市販シャンプーの大半を占めています。
  • 石けん系シャンプー:アルカリ性なので殺菌力や洗浄力が高いですが、髪がパサつきます。
  • アミノ酸系シャンプー:洗浄力・殺菌力は弱いですが、肌の弱い人や乾燥しやすい髪質の人におすすめです。

アミノ酸系シャンプーはアニオン界面活性剤?

はじめに注意点として、アニオン界面活性剤を使用しているシャンプーが全てアミノ酸系シャンプーになるわけではなく、アミノ酸系シャンプーが全てアニオン界面活性剤というわけでもありません。

アニオン界面活性剤シャンプーと言っても、肌への刺激が少ないアミノ酸系シャンプーの他にも、石けん系シャンプーや高級アルコール系シャンプーなどもあります。シャンプーの配合量は「水>界面活性剤>保湿成分など」となっているので、シャンプーの成分表を見て、水の次に配合されているものを確認すると良いかもしれません。


アミノ酸系シャンプーとは、界面活性剤(洗浄成分)にアミノ酸系の成分を使用しているシャンプーです。アニオン界面活性剤のアミノ酸系成分の代表的なものとしては、アシルグルタミン酸塩や、ココイルメチルタウリンNa、ココイルグルタミン酸Naなどがあります。成分表に「ココイル~」や「ラウロイル~」からはじまるものや表記されているものと考えて良いでしょう。

アミノ酸系シャンプーの特徴としては、人の肌や髪の素となるタンパク質はアミノ酸で作られているので、髪や肌に刺激が少なく、敏感肌や乾燥肌の人、赤ちゃんや子供などにもやさしい使い心地です。ヘアカラーやパーマなどで傷んだ髪の毛のパサつきを抑える効果があるので美容院などでも多く利用されているようです。

アニオン界面活性剤を使用したアミノ酸系シャンプーのメリットとしては、泡立ちのよさやマイルドな洗浄力による肌への刺激の少なさ、デメリットには洗浄力と殺菌力にやや欠ける点があげられます。

洗浄・殺菌力は弱い

洗いすぎることなく洗浄できるので、皮脂を落としすぎることがなく保湿性があり肌が乾燥しやすい人には良いです。また、殺菌力が弱いので肌への刺激は少なくアトピー体質の人や子供などにはおすすめですが、洗浄力と殺菌力が弱いとも言えます。肌にトラブルを持っていないような人や、髪につけた整髪料を落とす目的で使用する人には頭皮の脂や汚れを落としきれていないと感じるかもしれません。また、脂性肌の人はアミノ酸系シャンプーではなく、洗浄力の高い「高級アルコール系シャンプー」や「石けん系シャンプー」をおすすめします。

肌に低刺激

髪や肌など、人の身体のタンパク質はアミノ酸で構成されているので、人の身体と同じ弱酸性のアミノ酸で作られているシャンプーは肌への刺激が少ないとされています。また、アニオン界面活性剤を使用したアミノ酸系シャンプーは泡立ちがよいので、泡で包むように洗浄ができ、手でゴシゴシ擦って洗うような行為を抑える効果もありそうです。

(phについて)

水溶液の性質を表すpH値もまたシャンプー選びのポイントになります。pH値には0〜14の段階があり、0から順に酸性→中性→アルカリ性となっていきます。pH値の中間の7を中性として考えて、おおよその見方をまとめました。

【pH値のおおよその見方】

  • 0〜3:酸性
  • 4〜6:弱酸性
  • 7:中性
  • 8〜9:弱アルカリ性
  • 10〜14:アルカリ性
水野
肌や髪に刺激が少ないのは弱酸性(pH値が4〜6)になりますが、殺菌力が欲しいという人には弱アルカリ性(pH8〜9)が良いかもしれませんね。

シャンプーの界面活性剤はさまざま!成分表で確認を!

今回は界面活性剤の中でもアニオン界面活性剤について紹介しました。そのアニオン界面活性剤の中にもアミノ酸系シャンプーの低刺激のものもあれば、洗浄力が高い石けん系シャンプーや高級アルコール系シャンプーものもあり、種類はさまざまです。商品の成分表をチェックして、あなたの肌や髪に合ったものを選ぶようにしてくださいね。洗浄剤として広く使われているアニオン界面活性剤の認識を深めることは、自分自身の身体により良いものを選べることにもつながると思いますよ。