アレルギー性鼻炎
鼻アレルギー診療GL2009年では、花粉症治療において、医師と患者のコミュニケーションをよくし、治療への意欲、病気や治療法への理解、医師への信頼を促進させ、互いに診療のパートナーとなることが必要であると記載されています。
また治療においては、薬物療法と同様に抗原の除去と回避が重要視されています。
アレルギー性鼻炎の発症抗原
どのようなものがアレルギー性鼻炎を引き起こすのか
-アレルギー性鼻炎の発症抗原-
(鼻アレルギー診療ガイドライン・通年性鼻炎と花粉症 改定第5版、2005)
この10年間で、アレルギー性鼻炎全体において有病率の著しい増加がみられ、 具体的には1998年の29.8%から2008年には約10%増加の39.4%となりました。 特に、花粉症全体およびスギ花粉症では10%以上の増加傾向が示されました。
アレルギー性鼻炎の診断-急性鼻炎(かぜ)とアレルギー性 鼻炎の違い-
| 症状 | 鼻汁 | 鼻鏡所見 | 全身症状 | ||
| 急性鼻炎 | 乾燥感、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、頭痛、嗅覚障害 | 多量、水性→粘膿性、脱離上皮、細胞 | 発赤、腫脹、浮腫 | 発熱、頭痛、全身倦怠感、咽頭痛 | |
| アレルギー性鼻炎 | 花粉症 | くしゃみ、水性鼻汁、鼻閉、目や鼻のかゆみ | 多量、水性 | 発赤、腫脹、水性鼻汁 | 寒気、頭痛 |
| 通年性 | 蒼白腫脹、粘膜肥厚、水性鼻汁 | ||||
急性鼻炎(かぜ)とアレルギー性鼻炎では、鼻汁の症状が異なる。
鼻汁は水性鼻漏が特徴。
(鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-、改定第5版、ライフサイエンス 2005)
アレルギー性鼻炎の診断
■局所所見の程度分類
※程度ではなく質の変化
鼻腔視診での症状例(粘膜の状態)
| 蒼白例 | 浮腫状発赤例 | 正常 |
(ハウスダストでは蒼白、スギ花粉症では薄赤の粘膜になりやすい)
アレルギー性鼻炎の治療の目標
◆治療の目標は患者を次の状態にもっていくことにある。
- 1.症状はない、あるいはあってもごく軽度で、日常生活に支障のない、薬もあまり必要ではない状態。
- 2.症状は持続的に安定していて、修正憎悪があっても頻度は低く、遷延しない状態。
- 3.抗原誘発反応がないかあっても軽度の状態。
(鼻アレルギー診療ガイドライン・通年性鼻炎と花粉症 改定第5版、2005)
アレルギー性鼻炎の治療法
アレルギー性鼻炎諸症状の発現機序
(奥田 稔:鼻アレルギー 基礎と臨床、医薬ジャーナル社、大阪、東京、1999、pp76より改変)
じんましんの定義と病態
じんましんの定義
蕁麻疹は膨疹、すなわち紅斑を伴う一過性、限局性の皮膚の浮腫が病的に出没する疾患であり、多くは痒みを伴います。
通常の蕁麻疹に合併して、あるいは単独に、皮膚あるいは粘膜の深部を中心とした限局性浮腫を生じるものがあり、それらは特に血管性浮腫と呼びます。通常、個々の皮疹は24時間以内に消退し、色素沈着、落屑などを伴いません。
じんましんの病態
アレルギー性あるいは非アレルギー性の何らかの機序により皮膚マスト細胞が脱顆粒し、ヒスタミンを初めとする化学伝達物質が皮膚組織内に放出されることにより皮膚微小血管の拡張と血漿成分の漏出が起こり、おのおの紅斑および局所的浮腫すなわち膨疹を生じるのです。
秀 道広 他 日皮会誌 115(5):703.2005より改変
じんましんの憎悪・背景因子
- 1. 感染(細菌、ウイルス、寄生虫など)
- 2. 疲 労
- 3. 時 刻(日内変動;夕方から明け方にかけて増悪)
- 4. ストレス
- 5. IgEまたは高親和性IgE受容体に対する自己抗体(慢性蕁麻疹)
- 6. アトピー性皮膚炎 (コリン性蕁麻疹に対して)
- 7. 食物中の防腐剤、人工色素、サリチル酸 (イントレランスに対して)
- 8. 食物中のヒスタミン (サバ、マグロなど)
- 9. 仮性アレルゲンを含む食品(豚肉、タケノコ、もち、香辛料など)
- 10.
薬剤 NSAIDs、防腐剤、コハク酸エステルなど→イントレランス ACE阻害薬、ARB→血管性浮腫 造影剤など - 11. 膠原病および類縁疾患 (全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など)
- 12. 寒冷凝集素(寒冷蕁麻疹に対して)
- 13. 蕁麻疹を伴う症候群
- 14.
その他の内臓病変 ※これらの因子は各々単独で蕁麻疹の原因となる他、複数の因子が複合的に病態形成に関与することもある。特に急性蕁麻疹では感冒などの急性感染症、慢性蕁麻疹ではヘリコバクター・ピロリ菌感染などが蕁麻疹の病態に関与し得ることが知られているが、それだけでは説明できないことも多い。従って実際の診療に当たっては、症例毎の病歴と蕁麻疹以外の身体症状などに留意し、もしこれらの因子の関与が疑われる場合にはその程度についても併せて判断し、適宜必要な検査および対策を講ずることが大切である。
じんましんの治療法
皮疹を誘発することのできる蕁麻疹(下段)では、症状誘発因子の同定ないし確認とそれらの因子の回避を行います。
特発性の蕁麻疹では、対症的な薬物療法が中心となります。原因・悪化因子が明らかではありませんが、ヒスタミンH1受容体拮抗薬で、症状の出現を抑制できる例が多くあります。
| ●突発性の蕁麻疹(明らかな誘因がなく出現する) ・急性蕁麻疹 ・慢性蕁麻疹 | 対症的な薬物方法が中心 |
| ●皮膚を誘発することができる蕁麻疹 ・外来抗原によるアレルギー性の蕁麻疹 ・食物依存性運動誘発アナフィラキシーにおける蕁麻疹 ・外来物質による非アレルギー性の蕁麻疹 ・不耐性(イントレランス)による蕁麻疹 ・物理性蕁麻疹 (1)機械性蕁麻疹 (2)寒冷蕁麻疹 (3)日光蕁麻疹 (4)温熱蕁麻疹 (5)遅延性圧蕁麻疹 (6)水蕁麻疹 ・コリン性蕁麻疹 ・接触蕁麻疹 | 症状誘発因子の同定ないし 確認とそれらの因子の回避 |
秀 道広 他 日皮会誌 115(5): 703, 2005より改変
蕁麻疹の多くを占める特発性蕁麻疹のうち、急性蕁麻疹は発症して1ヶ月以内のもの、慢性蕁麻疹は1ヶ月以上持続するものをいいます。慢性蕁麻疹の場合、小児の発症頻度は低く、成人の患者さんが多くみられます。どちらの症状にも共通していえることは、ヒスタミン受容体拮抗薬の適応があり、有効であることです。
突発性蕁麻疹 | ||
急性蕁麻疹 (発症して1ヶ月以内のもの) | 慢性蕁麻疹 (1ヶ月以上持続するもの) | |
| 皮疹を生じさせる直接刺激ないし誘因 | なし | なし |
| 膨疹の性状の特徴 | さまざま | さまざま |
| ショックを起こす危険性 | ある | 低い |
| H1受容体拮抗薬の適応 | ◎ | ◎ |
| H1受容体拮抗薬の有効性 | △~◎ | △~◎ |
| ステロイドの有効性 | △~◎ | △~◎ |
| イントレランス合併の可能性 | あり | あり |
| 好発年齢 | なし | 小児には少ない |
1. 数週~数ヵ月に一度間歇的に出現する場合
症状の程度に応じて下記のいずれかを選択する
(1)、予防的に毎日内服を行う
(2)、症状が出始めた時に対症的に内服する
(3)、経過観察をする
2. 毎日ないしほぼ毎日出現する場合
(1)、H1受容体拮抗薬
(2)、補助的治療薬
H2受容体拮抗薬、漢方薬、抗不安薬、抗ロイトコリエン薬、DDS、トラネキサム酸
グリチルリチン製剤、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液、など
(3)、ステロイド
副腎皮質ステロイド(プレドニン換算量5~15mg/日)内服
(4)、試行的治療
免疫学的治療(シクロスポリン、プレドニン換算量20mg/日以上のステロイド、など)、入院・安静、など
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の原因・治療の全体像
憎悪・寛解を繰り返す痒みのある湿疹を有する疾患であり、遺伝的要因と環境要因がある。
原田昭太郎、川島 眞:アトピー性皮膚炎治療のポイント、メディカル・プロフェッショナル・リレージョンズ社
アトピー性皮膚炎患者さんの皮膚 | Dry Skinの皮膚 |
こちらの写真はアトピー性皮膚炎患者さんの病巣部位の典型例です。
患者さんは日々、耐え難い「痒み」に苦しみながら生活しておられます。
掻くことにより増悪し皮膚表面の防御機構の破壊により衣類の接触や汗等の些細な刺激によっても過敏に反応してしまう、いわゆる「かゆみ過敏」な状況となっております。
こちらの右の写真は、Dry skinの皮膚の表面を走査電子顕微鏡で見たものです。
表面の角質は通常はキチッとくっついていて外からの異物の侵入を防いでいるのですが、
Dry Skinの場合、表面はかさかさして乾いており、この部分からアレルゲンや異物が侵入しやすく、また物理的な刺激を受けやすくなっています。
かゆみの神経伝達のしくみ
サブスタンスP:感覚神経C線維に含まれる神経伝達物質の1つで、マスト細胞からヒスタミン遊離を起こす
アトピー性皮膚炎における痒みのメカニズムとIL-31の作用
こちらは、アトピー性皮膚炎における痒みのメカニズムについて図式化したものです。
アトピー性皮膚炎における「痒み」については、肥満細胞から放出されるヒスタミンやトリプターゼ、Th2細胞などの炎症細胞から放出される各種サイトカインが痒みのC線維に作用し、痒みを生じることが知られております。
さらに、表皮細胞から放出される神経成長因子(Nerve growth factor:NGF)やストレスによって生じる神経ペプチドなども関与していると考えられており、これらによって生じた「痒み」がさらなる掻破行動による物理刺激を生み、アトピー性皮膚炎の重症化に関係する痒みと掻破の悪循環(itch-scratch-cycle)をもたらすとされています。
最近の報告によると、Th2型T細胞により優先的に産生されるインターロイキン31(IL-31)がアトピー性皮膚炎患者の皮膚でも増加しており、掻破行動による物理的刺激によっても産生されることが示唆されております。
このことから、インターロイキン31(IL-31)はアトピー性皮膚炎の痒みと掻破の悪循環、そしてアトピー性皮膚炎の疾患活動性に関与する痒みの誘発因子として、最近最も注目されております。
アトピー性皮膚炎の治療法
薬物療法の基本例
| タクロリムス外用薬 | 特に顔面・頸部には有用、ステロイド外用薬で効果不十分又は副作用により投与ができないなど |
アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005、厚生労働科学研究
尋常性ざ瘡(ニキビ)
ニキビの原因
ニキビを克服するために、ニキビができる仕組みを確認しておきましょう。
まず、なぜニキビができてしまうのでしょうか?ニキビの原因には、いったいどんなものがあるのでしょうか?
あなたがニキビに気づいたのはいつでしょうか?
ほとんどの方が、「肌にポツンとできたとき」と答えるかもしれません。
ところが、ポツンと肌にあらわれる以前に、すでにニキビはできています。
それは、微小面ぽうと呼ばれる、皮脂が毛穴につまりはじめた状態。目に見えないくらい小さなものです。
まだ炎症は起きていない段階ですが、目に見える段階(面ぽうと呼ばれる白ニキビや黒ニキビ)、さらには炎症性の赤ニキビへと、放っておくと進行してしまうのです。
ニキビの種類
ひと口でニキビといっても、その状態はさまざま。実は、どんな状態かによって呼び方も違うし、治療の仕方も違います。
しかも、ひとりの患者さんの肌には、いろんな状態のニキビが混在しています。
炎症のないニキビ
面ぽう | ||
| 目に見えない段階。毛穴が狭くなり、皮脂がつまり始めている状態です。 | 皮脂が毛穴につまった状態。 ポツンとした小さな白い点に見えますが、見逃してしまう場合も。 皮膚の内側では、毛包が広がるととに、アクネ菌が増え始めます。 | 白ニキビの毛穴が開き、メラニン色素や酸化された皮脂などによって黒く見える状態。 シミや小さなホクロのように見えたり、不潔な印象を与えたりするため、気になる人も多いはず。 |
炎症を起こしたニキビ
| 白ニキビが悪化し、炎症が起きた状態。 毛包では、増殖したアクネ菌が盛んに活動しています。 炎症を引き起こすさまざまな物質が、このときにつくられてしまいます。 | 赤ニキビがさらに悪化し、炎症が激しくなった状態。てっぺんに黄色い膿が見えるため、黄色いニキビといわれたりします。皮膚の内側では、アクネ菌が生んだリパーゼが薄くなった毛包の壁を壊し、炎症を起こす物質が一気に外へ… ニキビの炎症がまわりに広がってしまいます。 さらに、重症化すると、ニキビ痕が顔にできてしまうおそれがあります。 |
進行すると、どうなるの?
炎症を引き起こす物質が活発につくられています。
さらに悪化して化膿すると、毛穴の奥にある毛包の壁が壊され、炎症を起こすさまざまな物質が周囲に流れ出ます。ニキビがある肌は、ニキビのできやすい状態になっているわけですから、化膿したニキビのそばにも、微小面ぽうや面ぽうがあるはず。
そこに、炎症を起こす物質が影響を与えると…? そう、化膿したニキビがどんどん増えていくことになるのです!化膿が進んでいくと、毛穴のまわりの組織が壊されてしまい、元に戻らずにニキビ痕(あと)として残ることがあります。クレーターのように凹んだもの、皮膚の表面が盛り上がった凸状のものなど、できた部位や状態の違いでニキビ痕もいろいろ。
けれども、どのニキビ痕にもいえることは、肌を元に戻すのは至難のワザですといえますので、ニキビ痕にならいないように日々、管理することが大切なのです。
ニキビの病態
監修:ジャパンアクネボード
微小面皰・非炎症性皮疹
微小面皰 (病理組織学的変化) | 非炎症性皮疹 (閉鎖面皰) | 非炎症性皮疹 (開放面皰) |
監修:ジャパンアクネボード
炎症性皮疹
紅色丘疹 | 膿庖 |
監修:ジャパンアクネボード
ニキビの治療
ニキビの種類や状態はもちろん、体質や生活習慣などでも治療方法は違ってきます。
症状に合わせて、長期的な治療計画を立てて、場合によってはいくつかの処置を組み合わせて治療することもあります。
保険が適用される治療
海外では、ニキビ治療の標準薬として使用されている、毛穴のつまりを取り除く塗り薬です。 | |
塗り薬と飲み薬があり、炎症を起こしたニキビに使われます。いくつかの種類がありますが、症状に応じて処方されます | |
| ニキビに直接塗ることで、毛穴につまった角質をはがし、開きやすくします。 初期の炎症のないニキビに効果的。 | |
| 専用の器具を使って、毛穴からつまっている皮脂や角質などを物理的に取り除きます。 |
尋常性ざ瘡治療アルゴリズム
※集簇性ざ瘡や劇症形ざ瘡は、病態が異なるため、本アルゴリズムには含まない。
林 伸和:日皮日誌 2008.118(10).1893