地球内部の活動を主軸に、地球と生命の関わりの歴史について書いた本。98年に出た本なので多少古めかもしれない。ジャンルとしては地質学ということになるが、地球全体のことを考えるとなると学際的な感じがするというか、こういうのが今のアストロバイオロジーとかに繋がっているんだろうなあと思う。

筆者は、プルームテクトニクス説の提唱者の1人で、この本もこれに則って書かれている。プルームテクトニクス説は90年代初頭に提唱されたようなので、当時の最新学説ということになる。最近だと、上田早夕里『華竜の宮』で取り上げられたことでも有名。読んでいて、「あ、これ(メガリス崩壊とか)『華竜の宮』で見た奴だ」と思うところもあったw


本書ではまず、地球史七大事件というものを挙げており、その後、これらの事件を中心にしつつ、生命、プレート、大気や海洋、マントルなど個別の歴史が続く形になっている。

また、地球史上何度か起きた大量絶滅、いわゆるビッグ5についても章が割かれている。

地球地質年代は大きく分けると、冥王代、太古代、原生代、顕生代となっているのだが、恥ずかしながらこれを読んで初めて知った。冥王代は知ってたけど。

冥王代、太古代、原生代というのは、いわゆる先カンブリア時代にあたるもので、顕生代をさらに細かく分けると古生代中生代新生代というおなじみの奴になる。おなじみではあるのだが、地球45億年の中でいうと5億年ちょっとでしかない。

この本では、地球史七大事件というのを挙げているのだが、そのうち顕生代にあたるものは2つしかないのである。というわけで、この本の内容も冥王代、太古代、原生代というあまり馴染みのない時代の話が多い。ほんと、19億年前にどうの、7億年前にどうのと言われて、なかなかその感覚は掴めなかった。もっとも、ビッグ5は全部顕生代で起こっていることで、そのあたりの話ももちろん載っている。とはいえ、三葉虫とか恐竜とかマンモスとかの話が載っているのかなあと期待してはいけないw


あと、後半は結構地質学の話になってきて、難しかったなあという印象

しかし、今までよく知らなかった時代のことがなんとなく分かった気がした

地球が最初火の玉っていうかマグマで覆われてて、それが段々冷えて海ができてっていうのは知ってたけど、冷えていく過程でマントルの動きとかが変わったりして、それが地球表層の環境にも大きな影響を与えていて、それが生物にとっても重要なターニングポイントにもなっていて、という因果の連なりがすごいなと思った。

目次

3 初期生命の歴史

4 生命の発展

7 地球のテクトニクス

9 生命と地球の共進化


とりあえず列挙してみると

(1)微惑星の衝突によって地球の基本的な成層構造が出来た(45.5億年前)

(2)プレートテクニクスの開始、生命の誕生、そして大陸地殻の形成の始まり(40億年前)

(4)超大陸の形成(19億年前)

(7)人類の誕生と科学の始まり(500万年前)

となる。

正直、人類の誕生は、これらに匹敵するほどすごいの、どうなの、もっと気象コントロールしたり、テクトニクスコントロールしたりする技術を手にしてからでも遅くないんじゃないのと思わなくもないけど、まあいいか。

本書では、氷期についてはちらっと記述があるだけで、ほぼ触れられていないといっていい。


プレートが滞留したスラブのかたまり(メガリス)が崩落する話とか

上部マントルと下部マントルのあいだで浮力が生じて沈まない奴があって、これが溜まってくるとどさっと落ちる(メガリス崩落)。これが全地球的になるとマントルオーバーターン。それによってスーパープルームの活動が活性化する、みたいな話かなあ。

初期生命の歴史

ここでは、最初にオーストラリアのピルバラ地域はノースポール地球最古の生物化石を発見したチームが、最古の生命は浅い海に住んでいたと考えていたことに対する反論として、深海熱水活動域を挙げている。

そもそも何故、当初は浅い海だと考えられていたのかというと、同じ地層からストロマトライト様の構造が見られたからだ。しかしこれは、形はストロマトライトに似ているが、シアノバクテリアによる構造ではないことがのちに確かめられたという。


生命の発展

当時は全地球規模で生息していたらしいが、今では捕食者が少ないところだけに生息

人間が利用している鉄の多くは、縞状鉄鉱層というところから産出される。この酸化鉄が堆積したピークが、25~20億年前。太古の地球の環境は還元的で、海に還元鉄が溶けていた。そこに光合成生物が現れ、酸素が増えることで酸化鉄となって堆積したのではないか、と言われている

「生命と地球の歴史」となっているが、まあおおかたは、生命は地球に対して受け身の存在で、地球側のことが生命に対して大きな影響を及ぼすのだが、こと酸素についていえば、生命が地球環境を大きく変化させたものだろう。酸素の話、面白い。

で、まあ酸素増えるから、呼吸できる奴が勝利して、21億年前くらいに真核生物が現れる。五大湖周辺で見つかったグリパニア化石というのが細胞が大きくて、これは原核細胞じゃ無理なサイズで、真核生物だろう、と。

10億年前には多細胞生物が現れ、8億年前頃にストロマトライトが減少

そして、6.2~5.5億年前のベンド紀にエディアカラ生物群が現れる。この本ではこの時代をベンド紀と呼んでいて、「斬新なアイデアを出す個性的な古生物学者」ザイラッハーによる「ベンドビオンタ」という呼称も紹介されているけれど、最近だどベンド紀という呼び方はエディアカラ紀に変わっているみたい。

生物誕生→光合成開始→真核生物誕生→多細胞生物出現ときて、生命に関する最後の重要なイベントが5.5億年前の硬骨格生物の誕生。ここが、顕生代の幕開け。

ここまでの生物は海底を這い回るだけであったが、これ以降、海底を掘り下げる生物が現れる(これを指摘したのもザイラッハー)。これは、捕食者があらわれ、それから隠れるため。バージェス頁岩などで有名なカンブリア紀の生物たちの時代。


1980年代に分かってきたことらしい。

ここでは、5回の大量絶滅のうち、特に3つを取り上げる。それぞれ、原因がよく解明された例、解明されつつある例、未解明の例である。まだ原因が分かっている二つについては、外因説と内因説でもある。


白亜紀末の大量絶滅。白亜紀第三紀の頭文字をとって、K/T境界と呼ばれると本書には書いてあるが、最近では、第三紀を古第三紀、新第三紀と呼ぶようになったらしく、古第三紀の頭文字をとって、K/Pg境界と呼ばれている。あと、6500万年前ってのも微妙に修正されて6550万年前とかになっている。いやしかし、ここまで10億年前だ20億年前だいってきているので、6500万年前だろうと何だろうとすごく最近の出来事に思えてしまって不思議w


P/T境界事件とも。種レベルの絶滅率は96%で史上最大。

この時期には、大量絶滅以外にも大きな事件が起きている。超大陸パンゲアの形成と分裂、スーパーアノキシアである。

スーパーアノキシアとは、海洋における超酸素欠乏事件である。チャートという岩石を調べると、酸化的な地層と還元的な地層で色が異なり、酸素が少なかった時期が分かる。この時期はパンサラッサ全域において、2000万年にわたって酸素が少なかった。

これを引き起こしたのは何か。それこそが、パンゲアを分裂させたスーパープルームの活動による火山活動だったのではないか、ということだ。スーパープルームの活動によって起こる火山活動で玄武岩が噴出することが分かっていて、この時期に噴出したと考えられる玄武岩シベリアにある。しかし、玄武岩は爆発力が弱く、太陽光を遮蔽する(=つまり光合成が遮断されて酸素が減る)ほどの火山活動が期待できない。一方、南アダイヤモンド原石を中に含んだキンバーライトという岩石なら爆発力が高く、またスーパープルームとも関係していると考えられている。ところが、この時期にキンバーライトが噴出したという証拠は見つかっていないらしい。


こちらは未解明の例だが、こちらにも超大陸が関わっている可能性があるという。


地球誕生当初は、水蒸気を多く含んだ大気だったが、地球の表面が次第に冷えてマグマオーシャンが固まり地表ができると、それらの水蒸気が雨となって地上まで届き海ができる。すると、そこに二酸化炭素が溶け込み、二酸化炭素温室効果がなくなって、さらに冷える。

大気も海洋も、当初は二酸化炭素が多かった。それが、35億年前、27億年前、6億年前と段階的に酸素が増えたらしい。


  • 冥王代~岩石が残ってない時代~

冥王代は、地質の証拠が残っていない時代である。それゆえ、金星や月のデータなどから推測されている。

何故冥王代の岩石はないのか。海ができると含水鉱物ができる。含水鉱物が沈み込むと溶けて花崗岩ができる。花崗岩玄武岩よりも密度が小さいので下部マントルまで沈み込まず、地表へと残り大陸を形成する。冥王代にはまだ海がなく、含水鉱物も花崗岩もできなかった。よって、当時の岩石はみなマントルの中へ沈み込んで溶けてしまった。


太古代では、現在と同じようなプレートテクトニクスが働いていたが、マントルの温度が現在と違っていて、マントル対流が上層と下層の二層構造になっていた。27億年前、沈み込んだプレートが滞留し、下層へと沈降することで、現在と同じ全マントル対流が始まった。対流の直径とプレートの大きさが大体対応するため、マントルが二層対流から全マントル対流になるとプレートのサイズも大きくなる。これで、プレートの数が現在と同じ10個となった。


  • 原生代~ウィルソンサイクルと超大陸

太古代の陸地は、島ばかりで大陸と呼べるようなものはなかったが、19億年前、原生代にはいって、最初の超大陸、ヌーナ超大陸が生まれている。ただし、これはすぐに崩壊していて、どのような形だったのかよく分かっていない。すぐに崩壊したのはマントルオーバーターンのせいらしい。

超大陸が誕生して崩壊する過程を、ウィルソンサイクルと呼ぶ。プレートテクトニクスでは、このサイクル、なぜ大陸が一つになるか説明できない。そこでプルームの概念が導入される。マントル内部の上昇流ないし下降流である。ランダムに発生した下降流が次第に接近・合体することでスーパーコールドプルームが誕生し、ここにプレートが集まってきて超大陸ができる。その後、スーパーコールドプルームホットプルームに変化するのだが、理由はよく分かっていない。


顕生代に入ると、さらにマントルの温度が下がり、含水鉱物が脱水せずにマントルまで潜り込むことになる。7.5億年前に、マントルへ海水が注入されたと考えられる。そうすると、海水の量が減る。

実は39億年前の、海ができた頃の岩石記録から、海水の総量が今より多かったことが分かっている。また、海水準の変動を調べたり、花崗岩や堆積岩でいつ頃できたのが多いのか調べることによって、7.5億年前頃に陸地が増えていることが分かる。

陸地が増えると何が起きるか。

海水の塩分濃度が高まる。生物が地上へ進出したのは、塩分濃度の高くなった海から逃げ出すためだったのではないかと仮説がたてられている。

生物の地上進出の時期に、酸素の増加が起きている。このことも、陸地面積の増加によって説明できるのではないかという。酸素光合成酸素を増やすが、死ぬと光合成の逆の反応、つまり酸化されて無機物へと分解される。植物が分解されると酸素は増えない。どうすればいいのか。地面の下へと隠してしまえばいい。堆積物の中に埋まって分解が起こらなければ、酸素は増え続ける。

また、酸素濃度が23%を越えると、植物は自然発火してしまうらしい。現在の大気は、限界まで酸素濃度を高めた状況で、それによって動物は効率的なエネルギーを手に入れることができて、巨大化することができたのだという。

マントルへの海水注入の影響はそれだけではない。マントルに海水が注入されると、粘度が下がるため、プレートの動く速さが速くなる。この時期、ロディニアゴンドワナという超大陸が立て続けにできており、この時期だけウィルソンサイクルが早まっているのはこのためかもしれない。


核の働きで重要なのは、磁場を作っていることである。

この磁場は、鉄でできている核で対流が起きていることによる。これを地球ダイナモと呼ぶ。

しかし、地球が誕生した当時、核は安定していて対流は起きていなかったようで、また地球磁場も27億年前頃から強くなりはじめ、19億年前くらいに現在の強さになった。

何によって核の対流が起きたのか。


地球における変動の規模と絶滅の規模って相関にあるんじゃないか話

例えば、白亜紀末の絶滅って有名だけど、隕石の衝突ってしょせんは地球表層に限った変動なわけで、絶滅の規模も超でかいというわけじゃない。ペルム紀末の絶滅は、スーパープルームの活動でパンゲアができたり崩壊したりして、スーパーアノキシアが起きてって感じで、固体地球とも関係した大規模な変動で、絶滅の規模も超大きい。

ただ、原因のよくわかってない絶滅や、地上は無事で深海で絶滅が起きたという例もあって、あまりはっきりとは分かっていない。

あ、あと、酸素濃度が6億年前に増えたときに、オゾン層ができて、地上進出が可能になったという話も。

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