人のデブを笑うな

  • 2015/05/15
  • 03:49
「よくアメリカに留学して10kgも太っちゃったよ。みんな1リットルのコーラ飲みながら顔ぐらいの大きさのハンバーガー食べるんだぜ。だからみんな太るんだよな」的なアメリカ人の節操のない食べ方を笑う声を聞くけど,若さ故にお金も健康に気を使う必要もない学生から見た他学生の食生活の描写ではないだろうか。


個人的にアメリカの食の問題はもっと根深いと思っている。



主人の両親は共働きだ。義父は4年前に倒れて病院に運ばれてから『食の根本的な改善』を通院の度に促されているけれど,習慣を変えるにはもう年を重ねすぎてしまったのだろうか,1年の300日の夕飯は外食だ。ほかの50日はテイクアウト。残る15日は料理をして家で食べるというところだろうか。
グリルで肉を焼いたり,パンにコールドカット(ハムやターキーやローストビーフのような薄く切られたサンドイッチ用のお肉)とチーズを挟むぐらいしか料理をしない義父には毎日夕飯を作る生活を期待するのは難しいのだろう。では主人や義妹が学生の頃は専業主婦で今より台所に立つ機会が多かった義母はと言うと「共働きの私だけ食事の料理をするのはフェアじゃない。ハードワーカーなので週末も外食をして休みたい。」
義父は非常に強い高血圧の薬を飲み,定期的な通院を続けている。


最近家族ぐるみで仲良くしてもらっている主人の医大の友人の奥さんは石油エンジニアだ。
奥さんが買った素敵なお家で子供2人と4人暮らし。
旦那さんは料理が出来ないのか聞いたことがないけれど,奥さんは平日は忙しくて料理をしない。サンドイッチ屋で10個サンドイッチを買って冷蔵庫に入れる。お腹が空いた人が食べたいタイミングで食べる。無くなったらまた10個買って冷蔵庫に入れる。
7歳のお兄ちゃんは偏食だ。家でパーティーを開いたときに私が作った野菜とトマトソース,ペスト(バジルのソース)とトマトの2種類のピザもクロウフィッシュ(ザリガニ!!)のマックアンドチーズも主人が作ったデビルドエッグ(ゆで卵の黄身に味付けした前菜料理)も一切口にしなかった。


別の友人の家のお父さんは体が不自由だ。お医者さんだった彼は頭脳は変わらず明晰だが車椅子の生活。奥さんはフルタイムで働いている。仕事から帰って来て作る平日の夕飯は,オーブンで焼いた鶏肉,サラダ,パン。毎日そればかり食べる。何を作るか悩まないのが自炊を続ける為のコツだそうだ。


別の友人家族は夕飯を食べない。チーズとクラッカーと果物で済ませる。



勿論,みんながみんなそうではない。以前住んでいた近所で仲良くして貰っていたお友達家族の奥さん(日本人)はお仕事をしていても世界で一番美味しい煮浸しやカボチャの煮付けを作って我が家にまで差し入れてくれた。



一つ言及しておきたい点は,主人の父親も含め今まで言及した家族の夫婦のいずれか或いは二人ともアメリカの高収入ベスト10の職業に就いている。


アメリカの食の問題は高所得層と低所得層に二分化され根本的に原因が違うと認識している。


最近女優のグウィネスパルトロウが29ドルで一週間食事をやりくりするチャリティーに挑戦したという記事を読んだ。記事
日頃セレブ故にマリーアントワネット的な発言で庶民から反感を買いがちな彼女。ここでもバッシングの対象のよう。


冒頭でも触れたように日本人から見て肥満は贅沢病のイメージは拭いきれない。

アメリカのテレビは体の大きな子供たちの姿をテレビで流し子供たちを貧困から救おうと呼びかける。
これはアメリカに来て受けた大きなショックのうちの一つだ。

一人に付き週平均40ドルのフードスタンプの支給で貧困家庭が子供達に与えるのは何だろう。野菜や果物はシリアルやパン,スナック類に比べたら高級品だ。ニューヨークで公立小学校の教員をしていた友人の言葉を思い出す。子供たちは野菜と果物の区別がつかないというのだ。


貧困層の男性の肥満率が低いという記事もある。記事貧困イコール肥満の図が当てはまらないという指摘だが,男性の低所得の職業は肉体労働が多いということで説明出来るのではないだろうか。




高所得層の問題の原因のひとつは女性の社会への進出と家庭での役割の軽減ではないかと思っている。我が家に限って言えば,主人は医大に通いながらもフリーランスで翻訳の仕事をしていて多忙なのと私自身4人の子供達を抱えながらも専業主婦なので食事は既製品ではなく手作りのものが食卓に並ぶように心掛けている。夕飯は勿論朝ご飯のマフィンやパンも小麦粉から作る。デザートも手作りしたい。


正直まだまだ手のかかる8ヶ月の赤ちゃんを抱えて毎日しっかり料理することがしんどいことがある。抱っこをせがむ末っ子をあやしながら夕飯を作る時に上の子たちがおもちゃの取り合いでもされた日にはテスト勉強してるとはいえ主人にさえ恨みを言いたくなるぐらいだ。それに比べ最初から家事を完璧にしなくてもいいじゃないというスタンスの専業主婦なり兼業主婦なりのお母さん達はストレスが少ないように見える。いつも余裕のない私と違って楽しく子どもたちと接しているように見える。


でもだからといって,既製品の大味のペストリーなりパンなりスーパーから買って来て毎日食べたいかというとそうでもないし(オーガニックスーパーWhole Foodsのは美味しいけれど軽く10ドル以上するペストリーを毎日買えるような経済状況じゃない),ケール(日本の青汁の原料の野菜)のサラダが好物の長女や大人と一緒にザリガニ料理や羊肉といった比較的クセのある料理でさえ楽しんで食べる子供達の食生活を変える気もない。



まだまだ日本は女性が家族の健康を守って然るべきという考えが根強い。企業も政府も守ってくれず男性にそれも期待するのが難しい現状で,フェアじゃないのは承知で言えば女性がその役割を果たすことが最悪の選択ではないはずだ。しかし家族の形態が変化している昨今の現状と最近指摘されている貧困層の増加に伴う格差社会で,家族単位での従来の役割分担の見直し或いは根本的な法整備を必要としているのは明白だ。


肥満大国アメリカの食の問題は全く別世界の問題ではない。

他人の肥満を笑ってはいられない。











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コメント

No title

かにこさん、またまた、面白い課題を持ち出してきたのね。 かにこさんの言うように、ただ単に『アメリカ人=デブ」と決め付けるのは、アメリカを分かっていない人たちの解釈だと思う。

かにこさんが、述べた以外に夫婦2人や1人暮らしは、外で食べた方が安く付くという事もあって、皆、外食が多いんだと思う。 ただ、外食は、やはり、栄養が偏るのと量が多いからね。 太る原因は、ここに有り。

私もランチは、なるべく家から持ってきています。 週に1度だけ出掛けるって感じ。 夜は、子供たちがいる週は、殆ど家で作っています。 でも、もう少し、お料理が上手で、好きだったら、もっと美味しい物を作ってあげれるのにね。 

それとお友達と話していたんだけど、Organicや食事に気を使っている人ほど、癌や病気持ちが多いって事です。 友達が、Organicの物しか食べなくって、ヨガとか健康に気を付けていたのに昨年、大腸癌になって、その反対の彼は、健康そのもの。 辻褄が合わないと言ってました。 元主人のお母さんも同じ。 かなり口にするものにこだわっていたのに数年前にいきなり、Gluten Free, Wheat Freeのもの意外食べれない病気にかかり、酷い目にあってます。 

かにこさん、お子さん4人もいるのですね! 知らなかった。 スーパーママですよ。 

  • 2015/05/16(04:37)

kikoさま!!!

同じメニューでも家庭料理のほうが外食の料理より体に良いという記事読んだことあります。
お弁当持っていくKikoさんが正しいと思います。週に一回の外食ランチが有り難くなるし!

私も絶対オーガニックじゃないと嫌ってわけでは無いのですが,wholefoods は何でも美味しいし,いちいちパッケージの裏面見て買い物しなくてよいのでうちは専らwhole foodsです。

オーガニックも曲者でオーガニックって書けばオッケーみたいな空気もありますものね。
主人のお父さんは「これオーガニックだって!」と嬉々としてハイフルトスコーンシロップ入ってる商品とか買ってきますもん。どこでオーガニックって聞いてきた?(笑)みたいな。

スーパーママ!!嬉しいです。いっぱいいっぱいであっぷあっぷですが。

そのうちネタもキレるんじゃないかと不安です。その際は脱ぐしかないですかね?←あ,今四方八方から石が当たりましたw

  • 2015/05/16(08:02)

お久しぶりです!

とても興味深い記事です。私の前職は知っての通り、Nutrition Program Associate。貧困層の方の健康改善のための仕事でした。なので、かにこさんの友人の方とは真逆の生活。フードスタンプは勿論ほぼ生徒全員が受けていましたし、食への意識も低い。とりあえず毎日食べて生きれれば良いの人たちでした。可哀想なことにそういう人が大企業の餌食とされ、「とりあえず安く多いものは良い」の精神で限られた予算でやりくりしていました。悲しいことに学校までグルになって子供達までから搾取しようとする。ペプシは学校で販売するのをやめたそうですが、まだコカコーラは自販機を提供していますよね。ある州では健康的なランチを推進するためにピザを含むファストフードを無くそうととしたのですが、大企業のピザが議員をまるめこみ、「トマトソースは野菜だ」と変な言い訳をして、ファストフードをランチに出したままでいられるようにしたという話もあります。日本とは違う意味での貧困の原因。アメリカの将来が本当に心配です。私たちは二人とも共働きですが、週末など作れる時に大量に作ってそれを2−3日食べ、また多めに作って食べる生活です。なかなか難しいんですけどね…。外食よりは安いし、健康的かと。
  • 2015/05/18(04:41)
  • Yuima URL

ReYuima さま

新しい仕事は勿論,前職もかけがえのないお仕事ですよね。やり甲斐があったことでしょう!

お腹を空かせた子供を見るのは辛いですものね。フードスタンプ受給者が質よりカサを重視してしまうのは母親として母性を働かせなくとも容易に理解できます。
Yuimaさんの仰るように企業の責任も大きいと思います。子供たちに資本主義の名のもとに不健康を売っていることが堂々とまかり通っているのはやるせない気持ちでいっぱいです。
義母は私立の幼稚園教諭なんですが,保護者の要望で数年前から(小中学生も利用する)カフェテリアでのメニューがファーストフード寄りのメニューに大幅に変更されたと言っていました。加えてデザートに大きなアイスクリームも買えるようになったと。とても評判の良い私立学校の比較的裕福な家庭の親達の食に対する関心の低さに驚きました。

私も勿論外食するのが好きです。どうせ出掛けるなら子供たちとおしゃれをして自分が作るより美味しいプロの料理を楽しみたい。365日の一食を楽するためではなくて。
食が毎日こなさなければいけない面倒ではなく,以前,Yuimaさんの自身のブログで仰っていたように未来の健康への投資でありたいですね。
  • 2015/05/18(08:06)
  • かにこ URL

凄いです

こんにちは。
このところここの(かにこさんと書くには少しばかり恥ずかしいです)ブログ訪問するのが楽しみです。
なぜなら、日本のつまらぬBS海外ニュースを見聞きしているより、ここで記述されている内容の方が、アメリカの庶民の実情があると感じるからです。
貴方は現実を正しく把握し、それをバックボーンにして鋭い洞察力で展開されていると感じます。
少し褒めました。

「人のデブを笑うな」のタイトルに、貴方がそうなのかと思いました(失礼しました)。プロフィールの写真は、プロの写真家が撮られたような構図に魅了されます。この方が「デブになったのか」と思ったわけです。重ねて失礼。

映画が好きなんですね。私の好きなスターは、オードリーの次にイングリット・バーグマン、ソフィアローレン、ゲーリークーパー、ユリ・ブリンナーと記述すれば枚挙にいとまがありません。邦画では時代劇です「紅孔雀」はガキの頃の最高傑作です。

貴方の過去の記事をこれからゆっくりと読ませてもらいます。

間抜けなハンドルネームでごめんなさい:(

ここに住んでいて日本人の私から見たアメリカ,若しくはアメリカから見た日本の「おかしいぞ」を忘れないうちに書留めようと始めたブログ,始めた当初は(といっても日が浅いのですが)こうやってコメントを頂けることを想像もしていなかったのでただただ感激です。ありがとうございます。

もっと感受性の強い若いうちに渡米していたら,また違ったブログになっていたかも知れません。日本に住んでいた若い頃は,周りの人に上手くフィットせず生きづらさがあったものの,外国に住んで私の中にちゃんと「日本」が根付いていることに驚きと喜びを感じています。

プロフィールの写真はぼんやりしているので実物以上のファンタジーを掻き立ててしまっているかもしれません(苦笑)すみません。
ありがたいことに代謝が悪くないのか,太る心配は特に無いものの育児疲れのせいかやつれ気味です。(泣)

クラシックな映画がお好きなんですね!アメリカは映画文化からテレビ文化に移行している為,最近は映画を観る機会がめっきり減っています。
それでもやはりバーディー3様と同じく子供の時から映画漬けで好きな映画をあげたらきりがありません。
ブログで紹介したようにウディアレン監督の「カイロの紫のばら」,フランクキャプラ監督の「ある夜の出来事」,「フェリスはある朝突然に」,最近だと「アーティスト」。これは私の不動のベスト4です!

  • 2015/05/23(01:57)
  • かにこ URL

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