BOSSエフェクターを本気で使ってみる! ~其の1 BD-2編~
- 2017年01月30日 20:20 更新
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近年コンパクトエフェクター業界は賑わいを見せ、実に様々なブランドが誕生し、星の数もあろうかと思う程多くのペダルが存在する様になった。数十年前からエレキギターを弾いているギターリストにとっては夢のような時代である。大手老舗ブランドをはじめ、モディファイ系、ブティック系、ハンドメイド系、多機能デジタル系、コピー中国ブランド系など大きな括りを挙げていくだけでも多岐にわたり、筆者もそういったエフェクター達に大変お世話になって来た1人だ。もちろんエフェクターはギター・サウンドを構成する1つのファクターに過ぎないのだが、ギターリストの心を掴んで離さないのもまた「エフェクター」なのである。これだけ多くのブランドから自分の好みに合ったサウンドを選べる様になった時代に改めてエフェクター界のスタンダードへ目を向けその魅力を探ってみたいと思う。「こんな今だから!BOSSエフェクターを本気で使ってみる!」と題してBOSSの定番、代表機種に改めて触れてみたので興味のある方は少しお付き合い頂ければ幸いだ。
BOSSの中でも1番人気のこのモデル!「ブルースドライバー BD-2」
1995年の発売以来、絶大なる人気を誇るブルースドライバー。それまでに無かった新しいオーバードライブの形を作り上げた名器と言っても過言ではないだろう。当時の定番オーバードライブといえばTS系(チューブスクリーマー系)が圧倒的に多く(今でも多いのだが)、中音域をマイルドに押し出す音色こそがオーバードライブというイメージを誰もが持っていたと思う。そこに登場したBD-2は歪みの質感やギター側のボリューム操作に対する追従性なども含め、他のオーバードライブとは明らかに違う路線だった。BOSSといえば「定番」というイメージが定着しているが、常に新しいチャレンジをしているからこそ「次世代の定番」を作り上げることが出来たのだ。BOSSにはそういう名器が多数存在する。エレキギターと長く付き合っていると様々な機材に触れ、いつの間にか「定番」である事を「つまらない」とか「好みではない」と深く試す前から敬遠しがちになるのは「ギターリストあるある」である。初心者の頃に触れたイメージを取り払い、今、ご自身の持つ「耳」と「スキル」で、もう一度、定番のエフェクター達と向き合ってみると驚きの化学変化が生まれるかもしれない。定番で良い音を出せないギターリストは、ブティック系エフェクターを山の様に積んでも良い音にたどり着けないのもまた「ギターリストあるある」である。
皆様ご存じの通りエフェクターに使い方の決まりは無い。使っているギターやケーブル、アンプなどの組み合わせ、そしてプレイヤーの個性など「音色」を構成しているファクターを探っていくとキリがない。ここでは1例として「美味しいセッティング」をご紹介するので少しでも参考になれば幸いだ。
≪ブルースドライバーのサウンドについて≫
ブルースドライバーと言えば、ほぼクリーンに近い状態からHRのリフやリードくらいまでなら1台でこなせてしまう「幅広いゲインレンジ」と「ザラザラ」とした質感の歪みはギター側のヴォリューム操作やピッキングに対する追従性も良く幅広いジャンルに対応出来るオーバードライブである事は皆さんご存知のとおりだ。近年では「ロキノン系サウンド」と呼ばれる事も多く、モデル名の「ブルース」というイメージとは違い若い世代のギターリストにも愛用者は多い。(もちろんブルースで使っても良い仕事をするオーバードライブである事に違いはない)深く歪ませると中低域側が潰れた質感になるのが特徴だが、BOSSの数あるオーバードライブの中でも、やや高音域側にシフトしたトーンレンジを持っており低音域側の「もたつき」を感じさせない絶妙な味付けとなっている。一方、倍音は暗めに出るのでサウンド全体が明る過ぎる様な事も無くコードの分離感とアタックの鋭さのバランスが気持ちいい。さすが1番人気のオーバードライブである。逆にちょっと深めにドライブさせた時の潰れた質感や、歪みの「ザラザラ」とした粗さに使い辛さを感じているギターリストも多い様なので今回はその辺りのサウンドメイクに迫ってみたい。
≪BD-2の美味しい組み合わせ ~キレッキレのクランチ~≫
普段はあまり使用する事のない組み合わせでも「実は使えるサウンド!」になる事もしばしば。先入観を捨て、機材の特性とシンプルに向き合うのもまた楽しい時間である。今回は、より自然なサウンドを目指す為にあえてベース用のイコライザー「BOSS GEB-7」を今回の主役「ブルースドライバー BD-2」のバディに選んでみた。
「何故、ギター用のGE-7では無いのか?」という声が聞こえて来そうだがベース用のGEB-7の方がカバーしている周波数帯域が広い事に加え「低音域」と「高音域」のQ幅が広めに設定されているので「より自然なサウンド」が作りやすいのだ。もちろんアグレッシブなサウンドメイクが必要な場合はギター用のGE-7の方が使いやすく感じるだろう。他メーカーでも色々とイコライザーはラインナップがあるので好みの物を探すのも楽しいだろう。(調整出来る周波数レンジが同じでもQ幅が違うと異なった印象になるので是非試して頂ければと思う)
GEB-7のコントロールパネルにプリントしてある「赤い曲線で書かれた範囲」がQ幅である。操作出来る中心周波数からどの位の範囲を含んで「ブースト」「カット」が出来るかのイメージを解り易く表示した物である。超高域の「10k」Hzと低音域側の「120」Hz、「50」Hzの3箇所のみ赤いラインが緩やかになっているのが分かる。
接続順は「ギター」→「GEB-7」→「BD-2」→「アンプ」というシンプルな構成、イコライザーをブルースドライバーの前段に設置して「ブルースドライバー」の魅力を最大限に発揮させるのが狙いだ。イコライザー側の音量を上げていけばブースターとしても使える訳だが今回はイコライザーを「カット」して音作りする方法にフォーカスしてみた。前段でブーストさせると太いサウンドになり音圧を感じやすい反面、ブルースドライバー特有の「潰れた質感」が色濃く出てしまう事や、大音量で鳴らした時の「ノイズ」や「ハウリング」に悩まされるといったケースも多い。特に「JC-120」などのトランジスターアンプを使う場合、原音より大きな音を入力するとクリップしてしまい心地良い音にならないケースもあるので使用環境により異なりはするが気を付けたいところだ。
音作りのポイントはブルースドライバー単体で「ギターソロ」が弾けるくらいの歪量に設定し、前段のイコライザーのマスターボリュームを低く目に設定、低域の「潰れ」感が薄くなるところまで「ロー、ミッド」をカット。ギター側のボリュームを絞った時に起こる高音域側の減衰をカバーする目的で「プレゼンス」を調整している。基本的にハイゲイン設定でブルースドライバーは「ON」のまま使用し、「ソリッドなクランチ」が欲しい時にはイコライザーも「ON」、さらにクリーンが欲しい時にギター側のボリュームを下げるというセッティングだ。こうする事でペダル操作は「イコライザー」のON、OFFのみ、そしてギター側のボリューム操作も併せれば「クリーン」「クランチ」「リード」の3音色をシンプルにコントロール出来るという仕組みだ。
サウンドサンプルとして、「ストラトタイプ」のギターと、アンプは「ローランド JC-120」での試奏動画を貼り付けておくので「BD-2 + GEB-7」で作る「キレッキレのクランチサウンド」を雰囲気だけでも感じ取って頂ければ幸いだ。
≪BD-2の美味しい組み合わせ ~シンプルセッティング~≫
ギターの音作りにおいて美味しい組み合わせはエフェクターのみに限った話ではない。大掛かりなシステムも魅力的だが「足元に1台」だけという美学も存在する。先程はイコライザーを使ってのサウンドメイクをご紹介したのだが、それに近いサウンドをギターの電気回路をちょっといじってやるだけで再現出来てしまうのでご紹介しよう。例えばテレキャスターのボリュームには「ハイパス」という回路が入っている。「電気的にエレキギターの音は抵抗を受けると高音域側から減衰していく特性がある」ちょっと乱暴な言い方かも知れないが、そうなのである。ストラトやレスポールのボリュームコントロールを絞っていった時に「こもった」サウンドに変化する「あの音」である。ちなみに長いシールドケーブルを使う程この特性は表れ易い。(シールドケーブルの特徴や音質にまで話を広げると長くなるのでケーブルの話はまた別の機会に・・・)簡単に言うとテレキャスターのボリューム回路は絞っていった時にも高音域をそのまま流し続け、その下の周波数帯域からボリュームを下げていける回路になっている。これを利用する事でイコライザーを使って「ロー、ミッド」をカットした時に似たサウンドを狙える訳だ。もちろんテレキャス以外のギターにもこの様な回路を組み込む事は可能なので、普段ボリュームを絞ると「こもった」音になるのでフルアップでしか使っていない、というギターリストは試してみると劇的にボリュームコントロールが使える様になるのでオススメしたい。(他にもロー、ミッドのカットではなく、聴感上同じバランスでボリュームを操作出来る回路も可能なので興味のある方はご相談頂ければと思う。CTSなどに代表されるボリュームやトーンに使われるポットは抵抗値の誤差が予想以上に大きい場合もある、テスターなどで抵抗値を測定する必要があるが適正な数値のポットに替えるだけでも、こもった音質が改善される場合がある)
(テレキャスター内部のハイパスコンデンサー)
もう1つ「ローカット・トーン」を搭載するという手がある。通常ギターに搭載されているトーン回路は「ハイカット・トーン」と呼ばれコントロールを絞っていくと高音域が削れて暗いサウンドになっていく。「ローカット・トーン」はその逆で低音域側から削っていく回路である。比較的に低音域が多めに出るハムバッカーPUを積んだギターなどでも「ローカット」を入れてやればカッティング時にも「すっきりしたコード感」を演出する事が可能になる。有名なギターだとシェクターのSDシリーズなどにはこの「ローカット・トーン」が入っているので店頭で見かけた時には試してみるのもいいだろう。ブルースドライバーの様にピッキングの強弱やギター側のボリューム操作に繊細な反応をするドライブペダルはこういった回路と組み合わせる事でより性能を発揮するので多彩なサウンドメイクが可能になる。
(シェクター SD-Ⅱに搭載しているローカット・トーン。ノブを引き上げる事でローカットとして使用出来る)
動画はシェクターのSD-2を使って「ローカット・トーン」と組み合わせて演奏してみた。アンプやエフェクターのセッティングを変えずに「バッキング」と「ソロ」の音色切り替えをギター側のコントロールのみで行えるのもブルースドライバーならではの魅力である。
今回は「こんな今だから!BOSSエフェクターを本気で使ってみる」と題して「BOSS BD-2」にスポットを当てて解説してきたが如何だっただろうか?エフェクターの使い方は人それぞれ、まだまだ「美味しい組み合わせ」があるので店頭で声を掛けて頂いた時にでもあなたに合った組み合わせを「こっそり」お伝えしようと思う。次回は「BOSS SD-1」について少しばかり解説する予定なのでお楽しみに。
≪今回ご紹介したエフェクター≫
BOSS BD-2
| メーカー | 品番 | 販売価格(税込) |
|---|---|---|
| BOSS | BD-2 | ¥9,720 |
BOSS GEB-7
| メーカー | 品番 | 販売価格(税込) |
|---|---|---|
| BOSS | GEB-7 | ¥11,880 |
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筆者紹介
取手店のギター・アンプ・エフェクター担当。取手周辺のギターリストからは「イッチー」や「市さん」と呼ばれ親しまれている。数々のギター関係機材を使い倒し数十年。自他ともに認めるエフェクター好きである。今まで所有してきたエフェクターは数知れず数百台を超える、本人も数を把握できていないという有様だ。ギターアンプ、スピーカー、真空管から、レコーディングまで、ギター周辺機器が大好物。豊富な知識と経験からエフェクターボードの組込みを数多く行っている。近年では口コミで地元周辺のギターリストからボード組込みの依頼が増え、その作業で一向に自身のボードが組めないという事に悩まされている。
お問い合わせ
| 店舗名 | 島村楽器 ボックスヒル取手店 |
|---|---|
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